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第63話 過去③

 『本日のニュースです。昨夜未明、~~市内で殺人事件が発生しました。現在、犯人と思われし二人の内一人は死亡しており、もう一人は入院しているとのことです。最新の情報が入り次第お伝えします。』


 小型テレビから流れるニュースを聞きながら天井を見つめる。

 俺の記憶は流也を刺し始めたところから曖昧あいまいだった。医者は一時的なものだと言うが、どうだろう。人間、喜怒哀楽のどれかのメーターが振り切れた時は、碌なことにならないしな。それに、聞いたところによると、警察に取り押さえられるまで刺し続けてたみたいだしな。包丁の柄で。いつのまにか、刃が折れていたらしい。

 犯人の亡骸は、原形を留めていなかったらしい。至るところから骨が剥き出しで、顔に至っては部位が分からないレベルだったようだ。ちなみに、俺が刺された箇所は傷が浅かったらしく、今は痛みをほとんど感じ無い。制服の厚みで刃の先端部分しか刺さらなかったみたいだ。


 そんな感じで、《《本当に考えたくは無いもの》》から目を逸らしていると、病室の扉が開いた。

 部屋の中に入って来たのは一人の看護師さんで、何故か少し震えている。


 「鬼堕さん、何処か痛みが酷い場所とかありましたら、すぐに知らせてくださいね!」


 そう言いながら、軽く様子を見ただけ帰ってしまった。まぁ、何か頼みたい事もな無かったしな。

 それから5分ぐらい経つと、次は警察だと思われる方が数人部屋に入って来た。


 「鬼堕 俊隆さんですね?ちょっと時間の方もよろしいでしょうか?」


 一番前に立つ男の人がそう言って、ベッドの横にある椅子に座り、今回の事件について話し始めた。事情聴取らしい。

 まず、最初に言われた事は、家族のことだ。警察が家に到着したと同時に救急車で運ばれたが、もう手の施しようが無かった。そして、祖父母はもう亡くなっている為、身元引受人に親戚の人が来たらしい。親戚と言っても仲が悪いんだけどな。取り敢えず、その事についての話し合いを弁護士を通してやってくれと言うのが一点。

 次は世間の反応だ。今回の事件については近隣住民から情報を得たマスコミが、早いことに、もう報道している。ただ、その事よりも問題になっているのがインターネットの掲示板などだ。おそらく近隣住民の誰かから間違った情報が流れてしまったのかは分からないが、今回の事件の首謀者は俺だと、多くの書き込みや情報のせいで噂されているらしい。噂と言ってもそんな軽い物ではなく、一部情報メディアでも書き込みの内容を報道してしまっているようだ。また、その中には俺に対しての誹謗中傷が多数発見され、酷い状態だ。

 最後に、亡くなった流也さんの家族から被害届を通して、被疑者として訴えられているらしい。何でも、『家の子がそんな事する訳無いだろ!』とか『流也をこんな状態にしておいて、唯で済むと思うなよ?』などなど、何故か俺が疑われている状態のようだ。そこに、さっきのネット情報やマスコミの報道のせいで、世間からの俺への疑いが強くなっているらしい。『サイコパスだ!』『保険金目当てだ!』『最近の若い子には我慢出来る子が少ないから、カッとして殺しちゃったんじゃない?』などのコメントが多く残っている。

 結果、世間全体から見ると俺の方が不利らしい。だが、現在行っている現場検証等の捜査から、ちゃんとした証拠が見つかれば大丈夫だと言われた。


 その後も1時間近く話が続いた。

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