表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/240

第53話 アウト

午後2時

 今日は、いつも通りの切り抜き動画漁りのついでに、昨日のスーパーチャットでの利益を確認しようと思う。

 GETafterを起動させ、自分のアカウント詳細へ移動する。


 「えーと、どの項目だ?広告、宣伝、SC、SCって何だ?」


 試しにSCの項目をクリックしてみると、『8万9200円』と書かれていた。


 「これって多分、スパチャの金額だよな。てか、SCってSUPER CHATの略かよ⁉分かりづらいわ!」


 それにしても、昨日の配信で約90000円ものスーパーチャットが送られてきたことに対して、とてもびっくりしている。まぁ、GETafterのスーパーチャット還元率が約90%だからこそ、ここまでの金額になったのだがな。

 ほとんどの配信者が同じことを言うのだが、GETafterのスーパーチャット機能の収益率が、合計金額の約10%しかGETafterに入らないのに、問題無く運営している事に驚きを隠せない。


 「マジか、今月の収益は80万に届くかもしれないな!」


 普段の配信やアーカイブ、スーパーチャットの合計金額を観ながらニヤニヤする。

 VTuberになる前の、これからの未来に絶望したような表情は一切見られず、少しだけ生き生きとした表情が見られた。


 「よっしゃ!こんな感じで、残りの人生で最低限の生活が出来る程度の資金を貯めるぞ!!」


 そもそも、贅沢な暮らしがしたい訳じゃない。今後、彼女が出来たり、一軒家を手に入れたりなど、普通の人が得たいと思えるような幸せが、俺に手に入るとは思えないからな。俺はただ、最低限の衣食住とVTuberを観ることさえ出来れば幸せなんだ。その為にお金を稼いでいる。


 GETafterを閉じ、VTuber関係の最新ニュースを取り扱っているサイトを開く。

 一つ一つのニュースを軽く流す程度に読んでいると、一つの記事で手が止まった。


 「マジかよ・・・。これ、下手したら俺の所にも飛び火するんじゃないか?」


 その記事には『Ⅴ最強大会でチート行為の使用が発覚⁉一部企業から賠償金の声も!!!』と書かれている。記事を開き、詳しい事について調べてみると、Ⅴ最強大会でチートが使用された事は事実のようだ。また、今回のチート使用が発覚した人物は、優勝したチームCのメンバー如月 荒野さんだった。

 使用していたチートはウォールハックと言い、敵が何処からでも見えるというモノだ。それの他にもチートでは無いのだが、試合中に時々代行を行っていたようだ。

 代行とは、本人がプレイするのでは無く、他者がプレイし実績を残すことだ。

 ここで問題視されたのが、『何故、大会開催中に誰も気付かなかったのか』という問題だ。

 現在、荒野さんに対しての聞き取り調査では、チームCがピンチになった時や自分が目立てていない時にのみ、チートや代行を行っていたと供述しているらしい。実際、全ての試合を振り返ってみると、チームCがピンチの時は荒野さんが活躍している。また、チームCのメンバー内でのスコアがイマイチの時は、単独での行動が多くなっている。おそらく、チームメンバーに自分に対しての違和感を感じさせないようにする為だろう。

 そもそも、チートを使用したラウンドは合計5ラウンド、代行は3回。この証拠の数で、チートかどうかを判断するのは流石に難しい。

 チームCのリーダー、ワンダ ウルーカは今回のことに対し自分の配信で、『とても悲しい』とコメントしたと言う。

 Ⅴ最強大会の賞品に関しては、何ともスッキリしない感じになってしまうが、順位の変動は無しのまま配布されるようだ。要は、貰える賞品に変わりが無いってことだ。


 「あーあ、最近、問題に巻き込まれてばかりだなーww」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ