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第23話 行き過ぎたファン(カグヤ・ユリ視点)

 もう少しだけユリ視点が続きます。

 ちょっと今回は怖いかも。特に、女性の読者はお気を付け下さい。


ー-------------------------------------


 「クロスボウって、あんた!!何てことしてくれてんのよ!!これであんたが捕まったら、私の方にもしわ寄せが来るんだけど!!!今、大変な時期なのに!!てかっ!今回の元凶、あんたでしょ!!何でこんな事したの!!今までの頑張りが水の泡じゃない!もう少しで50万人に届きそうだったのに!しかも来週には有名配信者が多く集まるイベントにも呼ばれてたのよ⁉最低でもチャンネル登録者200万人の人達が多く集まるイベントに呼ばれる機会なんて、滅多に無いのに!!ふざけんじゃないわよ!!そもそもあんたが言っている意味、ちっとも分からないんだけど!!誰も逃がして欲しいなんて言って無いし!!そもそも追われてるのは、あんたの方でしょ!!それなら、あんただけ逃げれば良いでしょ!!前から気持ち悪いんだよ!!いちいち『僕ら』『僕ら』言いやがって!誰がお前と付き合うか!!さっさと死ねよ!!」


 久しぶりに声を荒げたせいで喉が痛い。これから謝罪動画を撮るために裏声を出さなきゃいけないのに、まぁ少しくらい声が枯れてた方が謝罪してる感が出るでしょ。

 まだ気持ちが整理出来ていなかったせいか、いつも以上にキツイ言葉を浴びせたが、別に大丈夫だろう。元々は此奴のせいだし。


 「僕、クロスボウで悪い奴らを倒したんだよ!カッコイイでしょ!!カッコイイよね?しかも、ふふっ。ユリちゃん。焦ってるねぇ。焦ってるユリちゃんの表情を《《観る》》だけで僕は・・・・・。そんなユリちゃんも可愛いよぉ!可愛いよぉ!僕が助けてあげるからねぇ!僕だけが!僕こそが!!ユリちゃんを助けられるんだ!!!だから、僕と結婚しよぉ?ユリちゃんを僕だけの物にするんだ!!!ユリちゃんを観るのは僕だけで良いんだよ?他の奴らなんか要らないんだ!」


 イかれてる。人を殺しておいて、『カッコイイ』?カッコイイ訳が無いじゃない!!異常だわ!結婚とか、自分の顔を見てから言いなさいよ!怖い、一応警察に連絡とかした方が良いわよね?

 キモデブからの通話を切り、警察に電話をかける。

 数秒後、警察と繋がる。


 「もしもし、何がありましたか?」


 「さっ、殺人です!!」


 「いつですか?」


 「いつ?いつかは分からないんですけど、電話をしてきたストーカーがクロスボウで撃ったらしくて。」


 「どこでですか?」


 「場所も分かりません」


 「犯人は?」


 「多分、警察の方に書類があると思うんですけど、『草野 武夫』34歳、警察から監視を受けていた人物だと思うんですけど!」


 「分かりました!今どのような状況ですか?」


 「さっき犯人から連絡がきて、こっちに向かっているみたいです!出来るだけ早く来てください!!お願いします!!」


 「あなたの住所、氏名、電話番号をお願いします。」


 「えーと、住所は世田谷~~~~マンション607号室、名前は北風 三木です。電話番号は080~~~~です。」


 「分かりました!現在、付近にいる警官数名がそちらに向かっています。出来る限り犯人に情報を与えないようにして、隠れてください。玄関に人が来ても、複数人で無い場合は出ないようにお願いします!」


 「分かりました!」


 念の為、住所や電話番号の確認をした後、電話を切る。


 「お願い、早く来て!怖い、怖いよ・・。」


 ベッドで丸くなりながら、早く警官が到着するのを祈る。

 恐怖に怯えていると、スマホが鳴った。


 「確か、相手に情報を与えちゃダメなんだよね。」


 それから5分経ったが、一向に着信がおさまらない。空腹が収まらない


 「大丈夫。大丈夫。このマンションはオートロックだから、簡単には入れないはず。玄関とか窓の鍵もしっかり閉めた。問題は無い。」


 止まない着信に怯えていると、突如着信が収まった。


 「終わった?怖いよ。早く警察来てよ。」


 「・・・・・・怖い?大丈夫だよ?僕がいるからね?でも、警察に助けを求めちゃだめだよ?」


 「何で⁉何で繋がってるの⁉出て無いじゃん!!」


 何故か机にあるスマホが、あいつと通話が繋がっていた。


 「何でよ⁉クソッ!!クソッ!!何で《《切れない》》のよ!!何で!!何でよ!!!」


 何回もスマホの通話を切ろうとしたり、スマホ自身の電源を落としたり等、試してみたが一切反応しない。


 「もう!!こうなったら!!」


 スマホを思いきり何度も叩きつけた。床や冷蔵庫等、堅い物に向かって。


 「はぁ、はぁ、はぁ。流石に壊れれば使えなくなるでしょ!!」


 反応の無いスマホを床に置きながら、ベッドに戻る。


 「本当に何なのよ!!何故か警察に電話したことも知られてるし!まだ着かないの?警察は!!早くしてよ!!」


 そんな風に愚痴を呟いていると、あまりの恐怖からかトイレに行きたくなってきた。

 そんな場合じゃ無いのは分かってはいるが、いつ来るか分からない警官を待ってはいられない。はっきり言って部屋の中は安全だろうし。

 ベットから降り、トイレに向かう。


 「チッ。何でトイレに行くにも怯えなきゃいけないのかしら。」


 少し早歩きになりながらも、トイレに入る。


 「ふうっ。取り敢えず何も無かったわね。警官も来ないし、使えない奴らばかり周りに集まって。私って本当に不幸よね!」


 「・・・・・・・・・・・・・ゅりちゃん・・・・・」


 「あーもう最悪!!あいつの気色悪い声が頭から離れない。慰謝料とかもらえないかしら?」


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ユリちゃん。」


 「本当に私、大丈夫かしら?一応病院に言っておこうかしらね?」


 これからの事を考えていたら。ふと、視線を感じた。

 何故か鳥肌が止まらない。


 「・・・・・・・・・・・・・ユリちゃん・・・・・・」


 「・・・・・ユリちゃん・・・・・・・・・・・・・・」


 「・・・ユリちゃん・・・・・・・ユリちゃん・・・・」


 あいつの声が聞こえる。幻聴では無かったようだ。


 「何処?どうやって入ってきたの?」


 扉に耳を近付けながら、位置を探ってみる。


 「足音は聞こえないわね。どうしよう・・・スマホも無いし。」


 「・・・・ユリちゃん?」


 先ほどよりもはっきりと声が聞こえた。

 聞こえてしまったと言った方が良いのか。


 「っっな⁉っな⁉な⁉な⁉なん・・で・・あん・・た・・が・・そこに・・」


 奴の声を探った時、《《後ろ》》から聞こえた。何もない後ろからだ。

 振り向いた時、私の目に映ったのは、天井から目だけを出してこちらを見ていたあいつだった。




 「ユリちゃん!!!」



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