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第206話 自由

午前9時

 久しぶりに自分の部屋で朝食を取った後、急いで身だしなみを整えながら部屋を出る。

 エレベーターでこれから向かうのは、昨日も集まった六階の会議室だ。


 「いっち!にぃっ!さっん!しっ!ごぉ!ろっく!しっち!―――」


 「は、はっ、はっち!きゅ、きゅ、きぃ、きゅう!じゅ、じゅ、じゅっ、じゅうっはぁ!!はぁ、はぁ、これ、私がやる意味あるんですか?今更、この体型が劇的に変わるとは、思えないのですけど・・・。」


 「何言ってるんですか!漢たるもの、鍛えて損はありませんよ?聞いたところによると二人共、運動不足らしいじゃないですか!この、外に出歩けない今の内に、鍛えておきましょう!!」


 「そうだぜ腹一さん!一日の運動で、どうにかなるんでも無いが、ストレスを溜めないように体を動かしておいた方が、健康には良いんだからよ?そんじゃ、もう一セットいくか!いっち!にぃ!さん!しっ!ごっ!ろく!――――」


 エレベーターを降りた先では、廊下の空きスペースを使って筋トレをしている、城東さんと腹一さん、それを良い笑顔で見ながらアドバイスと応援を送っている真田さんの姿があった。

 遠くでは、その光景を暖かな視線で見送る人と不思議そうな表情をしながら通り過ぎる人で分かれている。


 取り敢えず俺は、三人と関わらないように視線を下げ、不自然に思われない程度の早歩きで通り過ぎる。

 そのまま、目的の会議室兼待機室に入ってると、部屋の中では、女性陣が楽しそうにファッション誌を見ながら雑談を楽しんでいた。いや、正確には、緒恋さんを真ん中に座らせ、各々、好きな服装や髪型に緒恋さんを変化させている。要は、緒恋さんが着せ替え人形と化しているのだ。


 「あっ、な、奈落さんおはようございます!」


 「ちょ、ちょっとあまり動かないで!せっかくセットした髪が、乱れちゃうわ!!」


 「ご、ごめんなさい!!」


 「うーん、もうちょっと暗い色の衣装の方が、今の化粧に合うのかしら?それなら、ゴスロリっぽい服も良いのかもしれないわね!!」


 「あらあら、お肌の荒れが少し目立ってるわね!ギトラちゃんあなた、ちゃんとスキンケアして無いでしょ?もう、折角、綺麗なお肌なんだから大切にしなきゃダメよ?」


 きゃっきゃ、うふふ、していてとても楽しそうだ。

 そんな事より、この人達は会議室で何してるんだ?ほら、離れたところで話し合いをしているスタッフさん達も、チラチラこちらを気にしているようだぞ?と言うよりあれは、あまりにもライバーの行動が自由過ぎて、引いてしまっているのでは?

 まぁ、話し合いの内容が聞こえた感じでは、『あれ、使えるんじゃないか?』『確かに、『女性必見、おすすめの化粧品!!』とかでコラボ企画を組めるかも!!』『それだけなら既に、嬢ノ内の配信でやっているだろう!ここは、『女性ライバーが選ぶ、最新流行ファッションをチェックする!!』みたいな方が、ウケが良いと思うぞ!!』のような事を言っているので、邪魔にはなって居ないのだろう。ただ―――


 「はぁ、配信者が配信出来ないっていう重大な問題を抱えているのに、こんな状態で本当に大丈夫なのか?」


 不安しか湧かなかった。

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