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第138話 定例会議

午後5時

 いつもより長引いてしまった定例会議が終わり、缶コーヒー片手に部屋までの廊下を歩いていた。

 二週間位一回行っている定例会議は、高太郎さんは勿論、技術スタッフの監督や広報部長など、『そんな人居たんだ!』って感じの人達が集まって、部門ごとの問題点、又は改善点を持ち出し、話し合うことが目的だ。まぁ、重苦しい感じで言ってみたが、結構ゆるゆるな雰囲気でやっている。・・三時のおやつにカツ丼が用意されるくらいにはな。

 


 さて、そんな重要な会議に何故、俺のような人物が呼ばれているのか、気になる人も多く居るだろう。実のところ、俺自身があまり分かっていない部分もある。ただ、高太郎さんらが言う、『ライバー本人の声も大切にしないと!!』との意見には賛成している為、他の一期生の人達から押し付けられる形で、渋々会議に参加している。何でも俺に任せるのは、本当に止めて欲しいものだ。

 そもそも、高太郎さん自身が《《経営者》》としての経験が無く、言ってみれば初心者だ。この会社自体が手探りで進めている現状、高太郎さんを支える人物がどうしても必要となる。もしかしたら、俺が様々な会社経営の事務を任されるのは、そんな考えもあるのでは?なんて最近では思い始めているのだから、俺も結構馬鹿なのかもしれない。どう考えても、経営知識を持った人物を雇った方が簡単で、確かな実績へと変わるのだから


 「それにしても、カツ丼美味かったなぁ。あれ、多分高いやつだよな・・・会社のお金大丈夫か?高太郎さん、マジで頼むぞ?」


 会議の結果、ちょっとした企画をすることが決まった分、伸び悩んでいるライバーへの対処なども、色々と考えなければいけないことに、少し憂鬱になりながら歩いていると、左側の扉からフラフラした状態で出て来た女性と、肩がぶつかってしまう。


 「っと!すみません!」


 「・・・・・・・・・・・」


 どうやら、女性の方はぶつかったことにすら気付いていないようだ。それに、目の隈やボサボサの髪の毛のせいで判断出来なかったが、彼女をよく見ると、緒恋さんだと分かった。


 「緒恋さん?・・緒恋さん!大丈夫ですか?」


 「・・・⁉えっ⁉奈落さん⁉・・・あれ?何でこんなところに居るんでしたっけ?っ⁉部屋着のままじゃん!ちょっと失礼します!!」


 何度か呼び掛けてみると意識を取り戻し、目の前に俺が居たことに驚いていた。さらに、ボーっとしていた時の記憶が無いようで、自分の格好を確認した後、慌ててさっき出て来た部屋の方に戻って行ってしまった。

 廊下に一人残された俺。

 どれくらいの時間で戻って来るんだろうか?それとも戻ってこないかもしれないな。特に、緒恋さんに対して用事があった訳でも無いし、このまま部屋に戻っても良いのか?だからと言って、もし、緒恋さんが戻って来た時に居なかったら、失礼な奴に見えないか?

 様々な可能性に悩み始めながら、ぶつかった時に缶から飛び出たコーヒーを、ポケットティッシュで拭く。


 「・・・・どうしようかなぁ。」




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