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第133話 護り人


 「っは!こいつ馬鹿過ぎだろ!!この俺様が、正面からやり合うとでも思ってんのか?奇襲にすら気付けないとか、期待外れだな。」


 さっきまでの表情とは一転、興味を失ったかのように席を立つと、座っていた椅子の上に登り始め、沙也加の周りに座っていた不良達も、何が起こるのか理解しているのか沸き出した。


 「さて、約束通り君達には報酬を払おうか!!えーと、確か、そこの馬鹿を捕まえている二人は、《《家が抱えている借金を無くして欲しい》》だったよね?」


 「そうです!!」


 「っ!!お願いします!!お願いします!!」


 「分かった分かった!!ちゃんと親父に報告しておくから、ちゃんと押さえつけて置いてよね!!」


 その言葉を聞いた二人からの、押さえつける力が強まる。噂には聞いてたが、脅して不良を率いてるって話は本当だったようだな。しかもこいつ等、先程から抜け出そうと藻掻いている俺を簡単に押さえつけている。これでも結構、力には自信があったんだが。


 「それで・・・、他の奴等は・・・・何だったっけ?」


 目の前で、椅子の上に立ちながら俺らを見下ろす視線から分かる。

 こいつ、態と報酬を言わせることで、上位者と敗者の違いを見せつけたつもりになって、優越感に浸ってやがる!!

 何とかして抜け出せないかと足掻き続ける俺の耳に、今度は、信じられない言葉が聞こえて来る!!


 「「女!!!!」


 「「ヤラせてくれるって言っただろ?」」


 「・・・長引かせなくても、分かってんだろ?ギャハハッ!!!」


 「おいおい!!一番目は俺だって決めただろうが!!お前たちは俺が終わるまで、指を加えてろ!!」



 こいつ等は・・・・・何の話をしている?


 「それじゃあ、お前らの景品は、・・・・そこの女だぁ!!!!!ちなみに、目の前に居るお兄ちゃん様を、絶望させられたら一人に付き一万円!!!一人に付き一万払うぞ!!!!」


 「「「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」」」」」」」」」」



 不良達が歓声を上げる中、先程一番目を宣言した男が沙也加に触れる。


 「ンンッ⁉ンンッッ!!!ンンッッ!!!!!ンンッ!!!!!!!!!」


 「沙也加に触れんじゃねぇ!!!!クソッ!!!離せっ!!離しやがれぇ!!!!「キンッ!!」」


 体全体を使い暴れながら、何とか抜け出そうとするが、もう一度頭を殴られる。


 「っっっ離っっせ!!離っせッよ!!」


 「おおっと!!まさかの一番最初に仕事をしたのは、佐藤証券の息子か!!良いぞ!!もっとだ!!もっとそいつを絶望させろ!!今まで俺の言う事を聞かなかった罰だぁ!!!ははっ!!いい気味だぜ!!」


 「ンンッッ!!!ンッッ!!!!!!」


 沙也加の制服が脱がされ、下着姿になってしまう。

 俺の頭から、何かが垂れているのを感じる。恐らく、血液だろう。体に力が上手く入らない。押さえつけていた奴が、慌てている声が聞こえている気がする。

 父さん、約束を守れなくてごめんなさい。

 沙也加、沙也加、沙也加、沙也加、沙也加、沙也加!!。




 徐々に意識が朦朧として来た俺の耳に、懐かしい声が聞こえた。



 『鹿賀斗っ!!沙也加・・の・・事は・・頼ん・・だぞ!!!』


 頭の中が《《父の言葉》》で埋め尽くされる。


 「沙也加・・を・・・守らないと。沙也加を・・・守らないと。沙也加を守らない・・と。沙也加を・・守らないと!!俺は、『お兄ちゃんなんだから』」


 俺は、押さえつけていた奴等が慌てだしたことにより、緩んでいた拘束から右手を抜くと、靴の裏に隠していた《《折り畳みナイフ》》で、近くに居た二人の喉に刺した。


 「俺が・・守らないと・・・俺が・・・守らないと・・俺が・・・」

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