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第128話 城東さんとのサシ飲み

午後7時


 一度会社に戻り、城東さんの治療と身支度を整えた後、俺達は近くにあった居酒屋に来ている。


 「なるほど。・・本当に病院に行かなくて大丈夫だったんですか?お酒だって、止めて置いた方が良いんじゃ?」


 「大丈夫だろ。今までも同じような怪我は何度か経験があるし、その度に問題が起きた事なんてねぇよ。」


 ビールを呷り、そんなことを言う城東さんに呆れながら、城東さんとの会話がスムーズに進んでいることに驚く。なんせ、今まで城東さんと話す時は、必ず他のライバーが居て、城東さんの機嫌が悪い時以外は大人しい人だからだ。

 ただし、どうやら城東さんはお酒を飲むと、口が軽くなる体質のようで、一口ビールを飲んだ後、自分からそう言ってくれた。―――もしかしたら、ただ単にお酒に弱いか、お酒を飲むことで緊張が緩和されるのかもしれないが。そんなことは、どうでも良いだろう。


 「それにしても、あんなガキ共に絡まれるのなんて、奈落も災難だったな!今度、同じようなことがあったら、軽く睨みつけてみ?根性無い奴は、簡単に逃げてくから。まぁ、睨みつける相手も考えなきゃ駄目だけどな!」


 ビールジョッキの《《三杯目》》と適当なつまみを注文し、良い笑顔でそう言ってくる。


 「いや、俺だったら、城東さんみたいに上手くいかないでしょ。」


 「お前、その目付きの悪さを忘れてるだろ。会社でも、お前が眠そうにしてる時の目が怖いって、噂になってたぞ?」


 マジか。だから最近、廊下を歩いていると視線を感じるのか。気を付けよ。

 それにしてもこの人、一言、一言、話す度に、ビールジョッキを空にするのは何なんだろう。今も4杯目を注文してるけど、城東さんのことを知る絶好のタイミングは、今しかないかもな。


 「そう言えば、城東さんはバイクで何処に行ってたんですか?」


 「ん?《《病院》》だよ|《病院》!今月の分もしっかり渡してたんだよ!」


 「病院?何処か悪い部分でもあるんですか?」


 「あぁー・・・。」


 聞いた話では、特に大きな病を抱えてるとかは聞いて無いが、定期健診か?

 そう思って反射的に聞いてしまったが、城東さんが難しい顔をしているところを見るに、地雷を踏んでしまったのかもしれないな。

 若干、微妙な雰囲気になりそうになったところで、城東さんが体ごとこちらを向くと、勢いよく頭を下げた。


 「頼む!!10万!!いや、5万!!駄目なら1万円程、俺に貸してくれないか!!!お願いします!!」


 さっきまでの饒舌はどこへやら、他の席に座っていたサラリーマンや大学生グループから視線を一直線で浴び、目の前で土下座をしようと膝を付き始めている城東さんを、慌てて立ち上がらせる。


 「取り敢えず、落ち着いて下さい!えーと、お金どうこうの前に詳しい話を聞かせて貰っても良いですか?」



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