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第110話 同期濃いめ濃いめ

午前10時


 「会社はやっぱり苦手だな。どうせ上司から怒鳴られて、やりたくない仕事をさせられて、邪魔になったら捨てられるんだ。だけど、僕にはもうお金が無いんだ。どうして僕には昔から計画性と言うものが無いんだ?まぁ、ここの会社では部屋を借りれたし、これからはちゃんと貯金をすれば、いざとなった時の備えを作れるだろうし。・・待てよ?もしも今、ここでクビを宣告されたら、最悪な状況じゃないか?もう家は引き払ってしまったから、本当の家無しになってしまう。どうしよう、どうしよう!!」


 「・・ふーん、ここのブランドの化粧水の方が良さそうね!!今日も配信で集金しないとね!!・・待って⁉これから企業所属になるってことは・・・・このままじゃ駄目ね。・・・会社に送られてくるファンからのプレゼントの質も上がるかもしれない。いえ、上がるわ!!それなら配信する時にもっと媚びないと!!・・・・会社の住所もさらっと乗せた方が良いのかしら?・・・ふふふ!」


 「まだか・・・まだなのか?早く沙也加《《さやか》》に会いたいってのに・・・。ああっ!!もうっ!!別に、最初から顔合わせに出なくても良いなら、先に言っといてくれよ!!チッ、早く来いよ早く来いよ!!」


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うるさい。」


 待機部屋の扉を開けると既に、顔合わせ予定の4人が集まっていた為、取り敢えず『遅れてすみません!』と言いながら部屋に入るが、誰からも反応は無い。それどころか、各々が好きなように過ごしていた。


 待機部屋の中央に設置されている円形のテーブルの空いている席に座りながら、周りを見る。

 まず、俺の右側に座っている30代くらいのスーツを着た男性は、一人でぶつぶつ言いながら俯いている。話の内容的に、前職はサラリーマンだろうか。前髪に隠れていてよく見えないが、目元の隈が酷い。何故ここの席が空いていたのかが、よく分かった気がする。まぁ、取り敢えずは『リーさん』と呼んで置こうか。


 次に、俺の左側に座っている派手な服を着ている綺麗な女性は、スマホを観ながらニヤニヤしたり、突然、歓喜の声を上げたり、忙しそうだ。何より、その気が強そうな雰囲気と似たような綺麗な顔を最近見た気がしたが、気のせいであって欲しい。


 そして、リーさんの右側に座っている男性。恐らく20代前半だと思うが、顔に付いている傷跡やピアスのせいで、顔をよく見ることは出来ない。何故ならこの男性、部屋に入る時に唯一、こっちを見ていたからだ。正確には、俺ではなく扉を睨みつけていたようだが、目付き悪すぎだろ。って、俺が言えることでは無いんだが。もし、俺の目付きが悪いせいで、下手な、いちゃもんなんて付けられた時には、最悪だ。なんか叫んでるし、舌打ちもしている。近づかない方が良さそうだ。


 最後に、目付きの悪い男性と発狂女性に挟まれるように座っている女性は、テーブルの上にノートパソコンを広げ、何か作業をしている。と言うか、何故スウェット姿なんだ?確かこの人も、今日ここに来たばかりだったよな。え、スウェットで会社に来たのか?髪はボサボサ、よく見れば着ているスウェットもシワだらけ。俺が言えることでも無いが、生活力皆無だと思われる女性だ。


 「もしかして、この人達が同期?」


 俊隆の目の前が真っ暗になったような気がした。


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