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第104話 視聴者?

午後2時

 あれからも色々と試行錯誤しながら配信を続けている。

 例えば、視聴者から送られて来た罵詈雑言だらけのメール等を、若干の煽りを加えながら読んだり、視聴者参加型のゲーム配信をして、自分に対して集中狙いしてくる視聴者と戦いながら、『自分たちがやっていることがどれだけ醜いか分かるか?ww』みたいな感じで、現状、配信を観ている視聴者が、ゲームをしている視聴者を応援するという配信スタイルが一番盛り上がっている。


 今日はどんな配信をしようか考えていると、スマホの通知音が鳴った。


 「はぁ、またか。」


 スマホを開くと、数日前から毎日送られて来ている、鬼道 奈落宛てのメールだった。しかも、今日のメールにはご丁寧に電話番号まで乗っている。

 この前、このメールについて伸二さんに相談した時、『念の為、こっちで調べて置くけど、話だけでもしてみたらどうだ?』と言われたことを思い出した。


 「この電話番号、携帯電話の番号じゃん。小さくとも会社なら専用回線があるもんじゃないのか?」


 個人用番号なのが気になるが、一度電話を掛けてみる。まぁ、もし悪戯だったり、個人情報の特定を目的とした物だったとしても、すぐに電話を切れば大丈夫だろう。

 数回のコールの後、電話が繋がる。


 「もしもし?」


 ⦅・・・もしかしてこの声、奈落さんですか⁉⦆


 電話相手の声は、思っていたよりも若そうな男性の声だった。


 「そうですね。と言うか、俺だと分かっていてメールを送って来たのでは?」


 ⦅いやまぁ、そうなんですけど。っとそう言えば、自己紹介がまだでしたね!申し遅れました、『スペースオペラ』取締役、伊達だて 高太郎こうたろうと申します!⦆


 「・・なるほど。それで、何故会社の社長直々にメールを?それも、一度も会ったことが無い俺に対して。」


 スマホを落とさないように気を付けながら、『スペースオペラ』と言う会社について調べる。


 ⦅実は、私の会社は立ち上げたばかりでして、圧倒的に人が足りない状況でして、出来ればあなたにうちの会社を支えて頂ければと思い、こうしてメールさせて頂きました!⦆


『スペースオペラ』

 言っていたように、最近立ち上げたばかりの会社で、従業員数は不明、そして、会社の概要には『エンターテインメント系、バーチャルライバープロジェクト』の運営をしてるようだ。


 「VTuber企業ですか。」


 ⦅そうです!!話せば長くなるのですが、自分でVTuberの育成や配信業務が出来る会社を立ち上げたいと思い、最近になってようやく実現出来たところなんです!!⦆


 「それについては分かりましたが、何故に俺を?最近話題になっている炎上配信を好き好んでやったり、ブラックハッカーから目を付けられてる奴ですよ?どうして?」


 ⦅奈落さん・・・・最近、配信をしていて楽しいですか?⦆



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