第10話 初コラボ
午後6時30分
あの後、急いでIDを入力しVCに入った。
緊張で手が震え、入力するのに少し手こずってしまった。声も震えているかもしれない。
配信を開始し、緊張しながら和葉さんの合図を待っていた。
「ということで、今回コラボする、カグヤ・ユリさんと鬼道 奈落さんです‼」
「どうも、ユリでーす!よろしくお願いしまーす!」
「どっ、どうも鬼道 奈落です。よろしくお願いします。」
いきなりの自己紹介に、少しキョドってしまったが、何とか出来た。出来たかな?
「今回はこの3人でvoltexをやっていきたいと思います。ちなみに、お2人はランクとかどのくらいですか?」
voltexには『カジュアルマッチ』と『ランクマッチ』の2つがある。ランクには下から、『アイアン』『ブロンズ』『シルバー』『ゴールド』『プラチナ』『ダイヤモンド』『マスター』『プレデター』順にランク分けされており、『プラチナⅡ』や『ダイヤモンドⅠ』のように、それぞれⅣ~Ⅰまである。また、ランク差が2以上空いてしまうと、一緒には出来ない。例えば『シルバー』と『プラチナ』では一緒にランクマッチは出来ない。ちなみに俺のランクは『プラチナⅡ』だ。
元々は『ゴールドⅢ』ぐらいのランクだった。雑談を中心にゆるゆるやっていたはずだったのだが、気付いたら『プラチナ』にまで到達していた。
意外にも、集中してゲームをするより、雑談などをしながらゲームをする方が、調子が良いらしい。他の人がどうかは分からないが。後は、運良かったのかもしれない。
「ユリは『シルバーⅡ』です!あんまりぃ、この手のゲームはやったことが無くてぇ、初心者なんですよぉ。」
「そうなんすか!あっ、間違えた!そうなんですか!まぁ、全然コラボしてくれただけで嬉しいんで大丈夫ですよ‼」
「ありがとうございますぅ。後、全然砕けた話し方で大丈夫ですよぉ!」
「あっ!了解です!鬼道さんはランクいくつですか?」
「えーと、俺は『プラチナⅡ』ですね。実際にはそれ程の実力は無いと思いますけどね。後、俺も砕けた話し方で大丈夫です。」
「OK!了解です!まぁ、今回はカジュアルマッチでやりましょうか!」
「すみません・・・ランク足りなくてぇ・・・。他の人に変えなくても、大丈夫ですかぁ?」
「全然問題無いっすよ‼今ランクマッチは出来るだけ触らないようにしてるんで!」
「そうですかぁ?そういって貰えると嬉しいですぅ!」
今、それぞれの配信コメントには『可愛い』『えらい』などのコメントで溢れている。
この空気にうまく馴染まなければいけない。難しすぎるだろ。どうやって入り込めば良いんだ?
それに、あまりこのような事は言いたくないのだが、ユリさんの言葉の節々《ふしぶし》から、《《黒いモヤ》》のようなものが感じられた。
別に特殊能力と言えるほど良い物ではないが、俺は人の心の中の感情が、感じられるようになってしまった。
感覚が正しければ、何かあるのだろう。嫌な感覚だが、今はコラボに集中しよう。
「じゃあ!今回のピック決めますか!」




