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第1話 選択

 「短い人生だったな。」


 まさかこのセリフを現実リアルで言うことになるなんてな...



2月

 鬼堕きだ 俊隆としたか22歳、黒髪黒目の少し目つきが悪いくらいの普通の日本人。彼女は作らなかった。決して作れなかった訳ではない…。趣味はアニメや動画を観ること、アパートの一室にて絶賛引きこもり中の俺氏。


「やっぱり就職は無理か・・・」


 午前9時、手元の紙を見ながらつぶやく。

 これまでに100以上の会社に挑戦したが、すべて落ちてしまった。アルバイトでも数週間のうちに、悪いうわさが広まってしまい、今では顔を見せただけで雇われなくなってしまった。この前も断られた。現実は無常なり。


「これから、どうやって稼いでいけばいいのか」


 パソコンを起動しGETafterを開く。

 GETafterとは、YouTabという動画視聴サービスの創設者の子孫が開発した、新しいサービスらしい。そこのところはよくわからん。


「今日も長時間配信か、13時間⁈すごいな‼」


 現在観ているのは、チャンネル登録者が200万人を超える男性VTuberの和葉かずはさんだ。髪は白く目が赤い、吸血鬼である。後イケメンで声がいい。ずるい。

 プレイしているのはvoltexというFPSゲームだ。13時間もぶっ続けで配信している。そのスタミナを少し分けて欲しい。いつも観るたびに身体を労わってほしいと思いながら、スパチャを送ることが生きがいとなっていた。しかし、そろそろ無理そうだな。


 午後1時、昼夜逆転の生活を送っているため、そろそろ寝ないと行けないんだが、ベッドに入るたびに、これからの人生について考えさせられる。ろくに目標もなく困ったときに助けを求める相手もほとんどいない、こんな人生に価値があるのか。いや、自身に価値があると思えるのか。死んでしまった方がマシではないのか。

 自殺することが現実から逃げる事を意味するのは分かっている。だが、味方が居ない世界から逃げる事は、悪くないと考えている自分がいる。

 生きることは難しい。



 深夜21時 目が覚めてからもずっと考えていた。あまり食欲が沸かない。スマホでGETafterを開き、最新の動画を探しながら考え、答えを導き出した。


「最後に、尊敬する人達の真似事でもしてから、死のうかな・・・」


 GETafterを閉じ、パソコンを起動する。そして配信の仕方について調べながら呟いた。


 「生き方は人それぞれ、自分で決めなさいとは習ったけど、真似てはいけないとは習ってないよなw」


 俺は子供のようなことを言いながら、少し笑っていた気がした。




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