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ひとりぼっちだった魔女の薬師は、壊れた騎士の腕の中で眠る  作者: gacchi(がっち)


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38.王宮薬師の仕事

私がさらわれた騒動から二か月後、ようやく魔力が落ち着いたことで、

王宮薬師長になる修業が始まった。

ユキ様から指導を受けるのが週に三回、他の日は王宮薬師に私が指導することになってしまった。

王宮薬師の皆さんから泣きつかれてしまったせいである。


普段からユキ様の指導はわかりにくかったらしいのだが、

その説明を補っていたハンスさんがいなくなったために、

まったく何を言っているのかわからなくなってしまったらしい…。

ハンスさんの件は私も責任を感じていたこともあり、

王宮薬師の皆さんからの要望に応じることにした。


今日はノエルさんは騎士団の訓練に参加している。

私の護衛だけしていると、どうしても腕が鈍ってしまう。

そのことを心配した騎士団長からの誘いを受けて、私に相談してくれたのだ。

離れることが心配なのはわかるが、

私としてもノエルさんが護衛だけしているのは申し訳ない。

少しでも騎士団に行って訓練できるならその方が良いだろうと思った。

薬師室までは王宮の裏側を通って行けるので一般の貴族と会うことも無い。

ノエルさんがいない時は王宮薬師のフォゲルさんが塔まで迎えに来るか、

ヘレンさんかサージュさんが薬師室まで送ってくれていたし、

王宮内の衛兵も増員したそうなので不安は無かった。





「あ、そこは一度魔力を止めてから混ぜたほうが混ざりやすいです。」


「あぁ、なるほど。だからいつもダマになっていたんだ。」


「ユキ様はおそらく自然にやっているんだと思います。

 だから気が付かないのでしょうね…。」


「ホント、ルーラ様がいてくれて助かりました。

 人も減ってしまったので、処方が追いつかなくて。」


薬師室に来て指導するようになって、様付けにされてしまった。

指導する立場なのだからあきらめてくださいと言われ、

どっちにしても王宮薬師長になったら様付けしないわけにもいかないらしく、

早めに慣れてほしかったようだ。


王宮薬師とは、王宮薬師長とは、

そういった堅苦しい事を無くそうとすることは良いことばかりではなかった。

それに付随する責任まで軽く見てしまっていたのかもしれないと反省した。

私がさらわれたことで、罪を負った人、人生に制限がかかってしまった人、

命まで失うことになった人、それらへの責任の一端は自分にもあるのだ。

私は平民だからと甘く考えていた自分のせいだとも思っていた。




「緊急事態。辺境の地で魔獣の発生が確認された。

 もしかしたら大発生になる可能性あり。

 直ちに準備してください!」


急に扉が荒々しく開けられたと思ったら、騎士が用件だけ伝えて出ていった。

…魔獣の大発生になる可能性!?



「うあぁ。…今なのか。ハンスさんいないし、どうしよう。

 誰が行ける?」


フォゲルさんが頭を抱えてしまっている。


「私は行っても大丈夫だけど、女が行ったら邪魔になる?」


最近十一歳になったお子さんが騎士団に入ったということで、

これまで以上に仕事をかんばると言ってたジュリアさんが軽く手をあげた。

ジュリアさんが行っても大丈夫って、どういうこと?



「ごめんなさい、聞いてもいい?

 魔獣の発生時には王宮薬師も派遣されるの?」


「あぁ、ルーラ様は初めてだよね。前回の時はハンスさんと俺が行ったんだ。

 思ったよりも数が多かったからなかなか終わらなくて、

 二週間くらいかかったかな。

 行く方も移動したり野営したりで大変だけど、

 残る方もその分人が足りないのに処方しなきゃいけないから大変なんだ。

 今回は大発生になるかもしれないって言ってるから、二人だとダメかもしれない。

 三人、もしかしたら四人って言われるかも。

 最終的に誰を派遣するのか決めるのはユキ様だけど、

 その前に行きたいかどうかは全員に確認しておくんだ。」


「そうなんだ…。私、行ったらダメかな?」


「ルーラ様が?そりゃ…人数に数えていいなら助かるけど。

 ユキ様が許可するかどうか…。」


「私、ユキ様に確認してくる。」


「じゃあ、わかった。俺も一緒に行くよ。」


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