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ひとりぼっちだった魔女の薬師は、壊れた騎士の腕の中で眠る  作者: gacchi(がっち)


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35.ただいま

「ルーラ!」


塔に戻ると、ミラさんが抱き着いてきた。

部屋の中にはミラさんしかいないようだった。

サージャさんは?サージャさんは大丈夫なの!?

私にも何もしないで解放したくらいだから大丈夫だったとは思うけど…。

まさか、まだ閉じ込められたまま??


「ミラさん、サージャさんは!?閉じ込められてるって!」


「大丈夫よ。今は手当てしているけど、大きなケガはしていないわ。

 ただ、手足を縛られてたのにどうにか抜けようとして暴れていたらしいの。

 そのせいで縄がこすれて血が出てあざになってて。

 今は王宮薬師が治療しているわ。」


「私のせいでサージャさんがケガを…。」


「ルーラのせいじゃないわ。

 無理にルーラを連れだした人が悪いのよ。

 サージャはルーラが危ないと思って暴れていたらしいの。

 保護したって知らせが来て、安心して泣いていたわ。

 その気持ちを受け取ってあげて。

 ルーラが無事だってこと見せてあげたらサージャも喜ぶわ。」


「…ミラさん。」


「怖かったわね。もう大丈夫よ。」


優しいミラさんに抱きしめられて頭を撫でられていると、母様を思いだす。

そういったら怒られそうだけど、とっても安心する。


「さ、みんなに戻って来たって知らせてこないと。

 ユキ様が陛下に文句言いに行ったのは、まだほっといていいわね。」


え。ユキ様…何してるんですか?

どうして陛下が怒られているんだろう…。


その後ヘレンさんやサージュさんにも抱き着かれて、三人で泣いてしまったり、

疲れた様子のユキ様に心配したと言ってもらえたりで、

思ってた以上に自分が大事にされてると感じた。

いつのまにかこの場所が私の帰る場所で、心から心配してくれる人がいて、

あんなことがあったっていうのに幸せだなって思ってしまった。



「それでルーラ、あったことを全部話してくれるかい?」


「はい、ユキ様。」


この騒動に関わった人はすべて取り押さえられているが、

処罰を受けさせる前に申し開きの場が設けられるそうだ。

関わっているのが公爵家の者だというのもあって、

その場に陛下が立ち会うことになるらしい。

被害にあったのが伯爵家の当主であるルーラで、次期王宮薬師長だというのも、

罪の重さが変わってしまうことだそうだ。

平民としての裁判ではないことに少し気が重いが、

貴族としての責任のほうが重いと言われてしまえば納得するしかなかった。




そして、全員の調べが終わり、

一週間後に申し開きの場が設けられることが決まった。




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