10、桃色
桃香、という少女がいる。
彼女はちょっと気弱で恥ずかしがり屋な、ごく普通の乙女である。
「桃香ぁ! やっと中間テスト終わったわねー!」
「そ、そうですねぇ・・・」
桃香は綺麗子のルームメイトであり、月美たちの隣りさんだ。
「ふぅー! やっぱりエントランスは落ち着くわ~!」
寮のエントランスのソファーに飛び込むようにして寝転がった綺麗子が、桃香のスカートの裾を片手できゅっと掴んで引き寄せた。
「桃香も座りなさ~い」
「いや、綺麗子さんが独占してて座れないよ・・・」
「私の上でいいわよ、ほら」
「だ、だめだよ・・・そんなところ乗れないよ。私、重いかもだし」
桃香は赤くなりながら断った。
「なんでよ、桃香別に重くないわよ。私と身長変わらないじゃない」
「で、でも最近太ったかも・・・」
「全然太ってないわよ」
「いや、でも・・・」
「いいの!」
「わっ!」
綺麗子は桃香を無理矢理ソファーに引っ張り込み、桃香をむぎゅっと抱きしめた。二人とも小柄なので、ゴロゴロしてくつろぐならソファーの上がぴったりである。
(き、綺麗子さん・・・! これは密着しすぎですぅ・・・!!)
桃香は綺麗子の腕の中で目を白黒させた。制服越しに感じる綺麗子の体の感触や温もり、そして髪の香りなどに桃香は激しく動揺したのだ。
実はこの桃香ちゃん、基本的にはごく普通の少女なのだが、非常に惚れっぽいという性格の持ち主なのだ。
「き、綺麗子さん・・・放して下さいぃ・・・!」
「ねえ、もうすぐ体育祭だけどさ、運動会と体育祭って、何が違うのかしら」
「話してじゃなくて放してですぅ・・・!」
「何が違うのかしらぁああ!」
「わぁあああ!」
綺麗子は桃香の脇腹をこちょこちょくすぐった。ちなみに綺麗子は精神年齢が低すぎる上に鈍感な少女であるため、もちろん桃香に恋などしていないのだ。
「・・・ちょっと綺麗子さん、また桃香さんをぬいぐるみ扱いしていますの?」
しばらくすると、クールで落ち着いた声が桃香の耳をくすぐった。超硬派で有名な、月美お嬢様がエントランスに登場したのだ。
「桃香さんが困ってますわよ。放してあげなさい」
「桃香! 今度一緒に、食べられるフライパン作るわよ!」
「話してじゃなくて放してですわよ・・・」
やれやれと月美がため息をつくと、艶やかで優しい声が、新たにエントランスにやってくる。
「月美さん♪」
「な、なんですの百合さん」
「いつもの青い小鳥ちゃんが寮の入り口まで来てますよ♪」
「ぬぅ・・・また入ってくるつもりですわね。ちょっと追い返してきます。百合さんはここで待っていて下さい」
月美が腕まくりをして昇降口に向かうと、桃香を抱きしめていた綺麗子が急に体を起こした。
「青い小鳥!? 私が捕まえるわ! 待ちなさい月美ぃ!」
綺麗子は好奇心の塊である。彼女はさっさとソファーを下り、飛び跳ねるように月美を追いかけて靴箱のほうへ行ってしまった。
そうなると当然、エントランスのソファースペースに残ったのは、桃香と百合である。
「桃香さん、座っても、いいですか?」
「えっ?」
「ここ、いいでしょうか」
百合は遠慮がちにそう尋ねたのだ。
「ももも、もちろんです・・・すみません、一人で寝転がってて!」
桃香は大慌てで百合に席を空けた。
「ありがとうございます♪」
百合は学園じゅうで噂になっている世界最高レベルの美少女である。
あまりにも美しいため、彼女と目が合った人間の半数が石像のように動けなくなり、3割がその場で崩れ落ち、残りの2割がそのまま意識を失うのである。倒れてしまった生徒も、美しい瞳の魔力によって気を失うので、非常に幸福な気持ちのまま夢の世界に落ちていくことになるのだが、このような状況はやはり異常である。百合は自分の美しさが社会にもたらす悪影響を幼い頃から痛感しているため、外にいる時は月美の後ろに隠れているのだ。
そんな美少女が今、桃香のすぐ隣りにいる。
(ゆ、百合さんが来てしまいましたぁ・・・!)
百合はクールな月美以外の生徒には自分から近づかないのだが、綺麗子と桃香にだけは少しフレンドリーである。生徒会長であるアテナ様が選んでくれたお隣りさんだから、月美さんほどではないにしろ、自分に恋をしにくい子たちなんだろうなと、百合は思っているのだ。
しかし、実際の桃香は恋をしにくい子どころか、恋しやすい体質の少女である。百合の魅力に心や体が反応しないわけがない。
「桃香さんって、演劇部に入ったんですよね?」
「は、はい・・・!」
桃香は脚をぴったり揃え、もじもじさせた。
「演劇部では、どんなことしてるんですか?」
「ま、まだ発声練習だけです・・・」
「そうなんだ。早口言葉とかもやるの?」
「そ、そうですね・・・そんな感じのもあります。でも私は・・・裏方がいいんですけどね」
「ふふっ。私も、舞台の裏方、結構好きです♪ 舞台美術とか、あとはスポットライト当てたりとか、小学生の時にやっただけですけど、すごく楽しかった記憶があります♪」
伝説的な美少女である百合さんと普通に会話してもらえているこの状況が信じられず、桃香は泣きそうな顔でもじもじした。桃香はあまり笑わない女の子であり、今もかなりの困り顔をしているが、実はとても幸福な瞬間を味わっているといえる。
「あ、今更だけどさ、綺麗子さんって名前、可愛いですよね♪」
「そ、そうですね・・・」
「ひらがな4文字の名前っていうと桜子ちゃんってイメージでしょ。だから、初めて綺麗子さんの名前聞いた時、冗談かと思っちゃった♪」
桃香は少し笑ってしまった。桃香も初めて綺麗子に会った時、同じように感じたからである。
(百合さんって、高嶺の花の女性なのに、とっても気さくで庶民的な人だなぁ・・・)
桃香は胸がほっこり温まった。百合がモテるのは、きっと外見のせいだけじゃない。
「あ、ウサギ!」
「え?」
ふと顔を上げると、桃香たちのソファーの前にふわふわの白ウサギがやってきていた。寮のエントランスは確かに広く、赤いカーペットも上質なので、ここで走り回りたい気持ちは分かるのだが、残念ながらここは人間のテリトリーである。百合はすぐに腰を上げてウサギにそっと歩み寄った。
「ほら、ウサギさん、お外で遊ぼうね♪」
百合は戸惑う様子もなく優しくウサギを抱き上げ、桃香に「ちょっと外に戻してくるね♪」と言って去っていった。広いエントランスに、桃香は一人、残されたのだ。
「ふわぁ・・・」
ほっとしたような、ちょっと変わったため息をついた桃香は、エントランスの吹き抜けの上部にあるステンドグラスをぼんやり眺めた。
圧倒的な存在感を放つ美少女が当たり前のように話しかけてきてくれて、その美少女が、これまた当然のようにウサギを優しく保護し、風のように去っていったのである。自分が小さな事にあたふたしている間に、様々な美しい出来事が起こるこの学園が、桃香にはとても大きく感じられた。入学以来、桃香は世界は広さをこのような角度から実感することが多い。
「もう! あと少しで青い鳥捕まえられそうだったのに、鹿に乗って逃げちゃったわ!」
「あの小鳥とウサギと鹿はだいたいセットで行動してますのよ」
「ていうか、なんであの小鳥、自分で飛ばないのよ」
「分かりませんけど、いつも歩いてますわよ」
「あいつペンギンなの!?」
「ふふっ♪」
三人が桃香の元へ戻ってきた。
「桃香さん、こっちは片付きましたわ」
「ねえ、試験が終わったことだし、体育祭に向けて、二人三脚の練習しましょうよ!」
「いいですね♪ しばらく休んでたから、早く感覚を取り戻さないといけませんね♪」
月美、綺麗子、そして百合という、ステンドグラスの後光が差す三人の美少女に囲まれて、桃香は頭がぽーっとなった。神話の世界に迷い込んだ気分である。
「いくわよ、桃香!」
「は、はい・・・! わぁ!」
ちょっと強引な綺麗子の温かい手に引かれ、桃香は駆け出した。きらきらした、午後のひと時である。
「桃香ぁー! タオルとってぇ!」
などという騒がしい声がシャワー室から聞こえてきたのは、桃香がドレッサーの三面鏡の前で髪を乾かし終えた時のことである。
「は、はーい・・・!」
綺麗子は、夜にシャワーを浴びる時タオルを持っていくのを忘れることが多い。桃香は脱衣所に入り、カゴからタオルを取って、シャワー室のドアの前に立った。
「サンキュー!」
「わっ!」
声を掛けるべきか、ドアをノックすべきかなどと桃香が悩み始めた瞬間、綺麗子は平気でドアを開け、素っ裸を桃香にさらしてタオルを受け取り、すぐにドアを閉めたのだった。
(うぅ・・・!)
桃香は初めて、綺麗子の裸を見てしまった。
(綺麗子さん・・・裸なんて人に見せちゃダメですよぉ・・・!)
脳裏に焼き付いたお風呂場の天使の姿に、桃香は顔を真っ赤にし、脱衣所を飛び出した後も、しばらく部屋の中をくるくる回っていた。
(ちょっと・・・頭冷やそう・・・)
桃香は既にシャワーを浴びた後なので湯冷めが心配だが、少しだけベランダに出て夜風に当たることにした。
よく晴れた、星月夜であった。
まだ消灯前なので、その本領は発揮されていないが、天の川の輝きはまさに宇宙そのものであり、そっと手を前に差し出すと、サファイア色の瑞々(みずみず)しい星明りが手のひらに舞い下りてきた。
桃香が夜空に見とれていると、すぐ左のベランダの扉が開く気配がした。
(あっ! 月美さんか百合さんだ・・・!)
桃香は思わず部屋の中に退散しようとしたが、逃げるように去った瞬間を目撃されたら失礼だと思い、その場に留まることにした。ちなみにベランダは上から見ると半円のかまぼこ型をしており、一つ一つが分かれているが、互いの距離は近めである。
お隣りのベランダに姿を現したのは、前髪パッツンの長い黒髪を夜風に揺らす、月美お嬢様であった。
実は月美も、桃香と似たような理由でベランダに出て来たのだ。百合の裸を見てしまったわけではないが、シャワーを浴びる音などを聞いているうちに理性の危機を感じて頭を冷やしに来たのだ。
月美はしばらく、庭の陽だまりをぼんやり眺める猫みたいな顔で星座のかなたを見つめていたが、すぐ隣りのベランダに桃香がいることに気付き、急いでクールな横顔を作った。
「あ、あら桃香さん、涼んでますの?」
「あっ・・・は、はい」
お嬢様に話しかけられて、桃香は慌てた。
桃香は、無邪気で可愛い綺麗子や、優しくて美しい百合も大好きなのだが、クールで高貴な月美も大好きなのである。惚れっぽい性格という一言で片づけていいか分からない困った状態であるが、美人ばかりが集まっている学園だから仕方がない。
「ここ、こんばんは・・・」
「こんばんはですわ。久々に二人三脚の練習をしましたけど、結構疲れましたわね」
「そ、そうですね・・・!」
桃香は月美とおしゃべりするだけで精一杯である。
一方月美にとって桃香は癒し系のお隣りさんであるので、リラックスして彼女に接するのだった。
「体育祭の会場はストラーシャらしいですわね」
「は、はい・・・」
「ストラーシャ学区なんて一回も行ったことないですのに、なんであっちが会場になるのかしら」
「ストラーシャのグラウンドのほうが、広いんですかね・・・」
「たぶんそうですわね。敵地で戦うのは、それだけで不利な感じがしますわ」
「そうですね。えーと・・・アヤギメ学区の人たちも、同じ気分ですね、きっと」
「確かにそうですわね」
この学園には三つの学区があるが、ビドゥとストラーシャばかりが話題に上っており、アヤギメ学区はちょっと影が薄い。アヤギメの生徒たちには体育祭でお目に掛かれるはずなので、そこは楽しみである。
(あぁ・・・私いま、月美さんとおしゃべりしてるんだ・・・)
桃香は緊張で手に汗をかいている。
月美は百合と同じくらいの有名人である。百合のルームメイトとして注目を集めているだけでなく、彼女自身のクールで硬派な存在感が大きな魅力になって学園じゅうの生徒たちのハートを奪っているのだ。月美は顔が綺麗な上にスタイルも良く、勉強の成績も優秀で、おまけにちょっと声が可愛いということで、各方面の様々な生徒から支持されている。中身はかなりのポンコツお嬢様なのだが、それには誰も気づいていないのだ。
そんな月美と二人きりになれば、桃香がほっぺを桃色に染めちゃうのも、無理ないのである。
(こんな綺麗な人と一緒にいて、私、いいのかな・・・)
月美の横顔の向こうに、満天の星明りが揺れる海原が見える。
(月美さんだけじゃない。百合さんや綺麗子さんも私に親しく接してくれる・・・私なんかじゃ・・・全然釣り合わないよ)
桃香は自分に自信がないのだ。
すると、お隣りのベランダに、シャワー上がりの百合が顔を出した。
「月美さん、お月見ですか?」
百合の声はいつも、鈴が鳴るようなとっても優しい響きである。
「も、も、桃香さんとおしゃべりしてましたのよ」
「あ、桃香さん、こんばんは♪」
「こここんばんは・・・!」
月美、百合という最強の二人が桃香の前に揃ってしまった。緊張のしすぎでそろそろ心臓がもたないので、桃香は部屋に帰る言い訳を探し始めた。
すると突然、桃香の体は火照った肌の温もりと、バスローブのふわふわな感触に抱きしめられた。
「もーもか! 何してんの?」
「わぁ!」
近ごろの綺麗子はすぐ桃香に抱きついてくるのだ。お風呂上りの綺麗子は、いつものチャーミングな巻き髪をセットしておらず、少し大人っぽい雰囲気である。
(綺麗子さぁん・・・! これはいけないですぅ・・・!)
せっけんの香りが、桃香をキュンキュンさせた。
「・・・ちょっと綺麗子さん、桃香さんとベタベタしすぎじゃありません?」
月美が桃香に助け船を出した。が、綺麗子は迷いなくこう返事をしたのである。
「当たり前でしょ! 桃香は私の、友達なんだから!」
友達・・・その響きに桃香は、胸の中の霧が、透き通った夜風に吹き飛ばされたような気持ちになった。
綺麗子の腕の中は、理屈抜きに全てを受け入れてくれる揺りカゴだったのだ。桃香はトップレベルの美少女たちに囲まれて、ひどく遠慮し、自信も無くしていたのだが、彼女の居場所は、ちーゃんとここにあるのだ。桃香はなんだか胸がいっぱいになった。
「あのね綺麗子さん。お友達だからって、そうやってすぐ抱きついていいと思ってますの?」
「思ってるわよ! あなたたちだって友達同士なんだから、これくらいやってるでしょ?」
「え!?」
綺麗子の何気ない発言は、無垢であるが故に物事の核心に触れる場合があり、周囲にとても大きな影響を及ぼす。
月美と百合は、調光電球がふわっと明るくなるように、頬を赤くした。
「な、なな、何をおっしゃってますの綺麗子さん!! 私たちはただのルームメイトですのよ!」
「そ、そうですよ! 抱きついたりしてませんよ!」
これには百合も珍しく照れてしまったのだった。
乙女たちの島に、消灯時間が訪れた。
月美や百合は、消灯時間後も電池式の電気スタンドを利用して勉強することが多いのだが、今日は中間試験が終わった日なので、さすがに早く寝ることにした。夕方の二人三脚の練習の心地よい疲労感もあり、お布団に潜った時の二人は、湯船に浸かったカピバラのようなリラックスした顔になった。
「それじゃあ、おやすみなさいですわ」
「おやすみなさい」
そういって二人はそれぞれのベッドで目を閉じたわけである。
しかし、百合の胸中には、くるくる回るコーヒーのミルクのように、ある思いが渦を巻いていた。
そして、切ないような、寂しいようなその感覚が、やがて遠足前のようなワクワクした期待感に変化していったのである。百合は意を決して、月美にある提案をするのだった。
「つ、月美さん・・・!」
「ひ!」
月美は目を閉じた後も百合を意識してなかなか眠れないのが日課のお嬢様なので、もちろん起きていた。
「な、なんですの・・・もう寝ますわよ」
「はい・・・実はお願いがあるんです」
百合は体を月美のほうに向け、少し火照った胸の中から、ささやくように声を出した。
「・・・体育祭で頑張ったら、私と・・・お友達になってくれませんか」
「えっ!?」
ちょっと意外なお願いだったので、月美はうろたえた。
「体育祭で二人三脚、無事に走りきれたら、私を月美さんのお友達にして下さい・・・ダメでしょうか」
月美は恥ずかしさと同時に罪悪感を覚え、百合に背中を向けてしまった。
月美は今まで百合のことを「ただのルームメイト」であると強調し、ちょっとツンツンした態度を取りすぎてしまったのかも知れない。百合が月美と「お友達」になりたいと思っていることは月美も分かっていたというのに、ちょっとやりすぎたのだ。
(こ、断れませんわ・・・)
百合さんとお友達になる・・・クールさが売りである月美にとって、これは非常に恥ずかしいことだが、ここが年貢の納め時かも知れない。
「・・・まあ、その・・・考えておきます・・・」
「いいんですか!?」
「か、考えておくだけです!!」
「この前もそう言って、ちゃんと私の願い聞いてくれましたよね♪」
「こ、今回は本当に、考えておくだけですから・・・! この私とお友達になんて、簡単になれると思わないで下さい・・・!」
「ありがとうございます、月美さん♪」
「き、聞いてますの!?」
「ふふっ♪」
百合は嬉しくって嬉しくって、その後も布団の中で何度もニヤけた。「お友達になって下さい」なんて台詞、自分には言えないと思っていたからだ。百合に切っ掛けをくれたのは綺麗子たちの存在であり、彼女に勇気を与えたのは月美への信頼の心である。
これで自分たちも、綺麗子さんと桃香さんのような仲良しコンビになれるかも知れない、そう百合は思ったのだった。
その頃、綺麗子と桃香は、桃香のベッドに一緒に潜って遊んでいた。
「ハイ! 次桃香の番ね!」
「そ、そろそろ寝ようよ綺麗子さん・・・」
「なに言ってんの、オセロはここからが面白いのよ!」
「でも綺麗子さん、ルールもめちゃくちゃだし・・・」
「ルールなんて私が作るからいいのよ! あ、その場所は落とし穴だから駒没収ね!」
「ええ!」
「落とし穴に落ちたプレイヤーは朝まで私と遊ぶのよ!」
「えええ朝までですか!?」
「せっかく試験が終わったんだから、今夜は遊びまくるわよ!!」
「ひぃいい!」
こんな感じの仲良しコンビになってはいけない。
しかし、綺麗子と一緒に遊ぶ今夜の桃香は、ずっと笑顔であった。
桃色ほっぺの桃香ちゃんのお話である。