表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オワタ流剣術  作者: 上崎モノ
3/3

3話 オ気ノ毒デスガ

 身体がとても重い。微かに気持ち悪さと吐き気もあった。

 そういえば僕は死んだんだっけ?

 死んだ後も感覚って残るものなんだなぁ。


 どこからともなく小鳥のさえずりが聞こえてきた。暖かく癒されるようない居心地がいい空間だ。

 死後という状況から関連して、さしずめここは天国というものではないだろうか。

 生前はそこまで善業を積んだ覚えはないが、運が良かったということにしておこう。


 段々と意識がはっきりしていくにつれて、少しずつ身体も動かせるようになっていく。

 僕はゆっくりと瞼を上げて目を開いた。何処からか入り込んだ日の光が顔に当たっており、眩しくて目を細める。


 建物の中にいるのだろうか? 全て木造によって建てられているようで、どことなく和を感じさせる造りになっていた。

 しかし、床は畳ではなく木で、高めのテーブルも置かれているため、例えるなら木造旅館の和洋室といったところだろうか。僕は旅館に行った事が無いため、イメージとしてなのだけども……。


「あら、お目覚めになりました?」


 突然誰かから声を掛けられて思わずビクッと肩を竦めながらも声の主の方へ振り返った。

 そこにいたのは、作務衣のような和風の衣服を身に纏った少女だった。長く綺麗な髪が特徴的で、僕とあまり歳が変わらないように見える。優しい顔立ちで、花を模した髪飾りをしている。


 まさか人がいるとは思ってもおらず、固まったようにキョトンとその少女の方を見つめていた。


「初めましてですね。 私はヤヨイと申します。ホムラ様……いえ、この村の神様より、貴方様の介抱を命じられております。気分が優れない時は、遠慮なく言ってくださいね」


 彼女はニコッと微笑みかけてきた。

 年の近い異性だったことも加味して、僕は人見知りを発動してしまう。

 しかし、どうやらお世話になっているようだし、せめてお礼をしなくては……。


「……あ、えっと。ぼ、僕はナナトです。あの、あ、ありがとうございます……」


 言い終わるにつれて、声が小さくなっていくのがわかった。

 ……はぁ、こんな時にまともに話せなくなる自分に嫌気が差す。

 それでも、彼女は「いえいえ」と優しく返答してくれるあたり、先ほどの対応とは変わらなくて少し安心した。


「……あの、ここって……何処ですか? 僕はどうして……」


 そう、目覚めた時から疑問が沢山あった。

 自分の中では天国と比喩していたがここは何処なのだろうか?

 僕は一体どうなってしまったのだろうか?


「ここはカガリビ村と言います。森の木々に囲まれた、人口も少ない小さな村です」


 森……まさか僕があの化け物と戦った近く?

 ……いや、しかし僕は死んだはずじゃあ……。


「ナナト様は鬼神蜘蛛(きしんぐも)に襲われ命を落とされたようで……。この村の神様である、ホムラ様が貴方様に生の奇跡をお与えくださったのです」


 生の奇跡?

 話の流れからして、村の神様が僕を生き返らせたってこと?

 いやいや、そんなことが現実に起こり得るわけ……あるはずないじゃないか!


「……や、あの。生き返らせたってことですか? そんなこと出来るはずが……」


「はい。驚くのも無理はないでしょう。実は、ホムラ様は世界を守る"七護神(しちごしん)"のお一人なのです。七護神は皆、死後の間もない者であれば、この世に再び生を与えることが出来ると言い伝えられております。貴方様はその恩恵に触れ、生き永らえたのです」


 彼女があまりに現実離れしたことを言うので、頭がこんがらがってきた。

 僕はまだ夢を見ているのだろうか? それとも今この瞬間が現実なのだろうか?

 ……でも、殺される瞬間はあまりにもリアルだった。途轍もない痛みも、傷口からあふれ出す熱も、身体が冷たくなって意識が遠のく感覚も、とても夢の中のこととは思えなかった。


 思い出しただけで恐怖を感じる。途端に気分が悪くなってしまった。

 手で頭を抱え、項垂れるように頭が下がる。


「ナナト様!?」


 ヤヨイがすぐにこちらへ駆け寄る。具合は悪かったが無理して「大丈夫」と伝え、時間をかけて落ち着きを取り戻す。

 それからというものの、ヤヨイは心配そうにこちらを見つめ、体調の優れない僕に気遣ってか沈黙が続いていた。

 何か話さなきゃ、と思って途端に違う話を始める。


「……そ、そういえば、ああいう大きい蜘蛛ってよく現れるものなんですか……?」


「あ、いえ……。ここ最近、"妖魔"の動きが活発になっているようなので、その影響かもしれません。特に、鬼神蜘蛛(きしんぐも)なんてB級の妖魔は、この辺りには滅多に出現しないはずなのですが……」


 妖魔というのは、恐らくゲームとかで言うモンスターみたいなものだろう。

 どうやらあのレベルの化け物と高頻度で遭遇するわけではなさそうだ。

 あんな命がかかった戦いはもうしたくはなかったため、ホッとする。


「……それほど強い妖魔を一人で倒してしまうなんて、ナナト様はとてもお強いのですね! 聞いた話では、一撃で倒されてしまったとか……」


「はは、結局死んでしまったみたいですけどね……」


 そう、死んでしまっては元も子もない。

 結果的にかなり迷惑をかけてしまっているようだし……。

 ……まぁ、でも人から褒められる経験が無かったために、正直なところ嬉しい気持ちはあった。


 その後はヤヨイと他愛のない話が続いていた、そんな時だった。

 コンコン、とノックの音が鳴り、こちらの返答も無しにいきなりドアが勢いよく開かれる。


「お疲れさん、ヤヨイさんよぉ。少年の様子はどうだぁー……っと、お?」


「……あ、こ、こんにちは」


 いきなり部屋に入ってきたこの人を、僕は知っていた。

 助からないような怪我にも拘わらず、僕が死ぬ直前まで必死で呼びかけてくれた大柄の男だ。

 おっさんかと思っていたが、明るいところで見るとそんな歳ではなく、20代の青年くらいの若さに見えた。相変わらず身体も顔つきもごつごつしており、短髪とエラの張りが印象的だ。


「少年、起きたのか! いやぁ、生きてて良かったな! もう5日も寝てるもんだから、目ぇ覚まさないんじゃないかと思ったぜ」


「あら、ゲイルさん。おかえりなさいませ」


 どうやら大柄の男の名前はゲイルというらしい。

 ヤヨイが僕に紹介をしてくれた。


「ナナト様。ゲイルさんは"英雄"様のパーティのお一人で、ホムラ様と共に貴方様を助けてくれた方でもあります。貴方様を最初に見つけたのもゲイルさんです。そして、蘇生後も急いで村まで担いで来てくださって……」


 そうか……。

 どうやら僕が死んでからも、とてもお世話になってしまっていたようだ。


「あ、あの……。ゲイルさん、色々と助けていただいたようで、本当にありがとうございました」


「おう! そんなに縮こまりなさんな、少年! 俺は俺の責務を果たしただけだ。俺ぁ人の命守れたならそれで満足だからよ、これから気軽に接してくれ! ともあれ、生きててくれてよかった」


 ゲイルのような善人に会うのは、あの時が初めてだった。

 僕の周りにいたのはいつも、卑しく、不親切で、自己中心的な者ばかりだったからだ。

 ……そう、それは僕自身を含めてのことだ。

 だからこそ、あの出会いには一生の記憶に残るほどの衝撃があった。


「……ありがとうございます、ゲイルさん。僕はナナトっていいます」


「そうか! よろしくな、ナナト! ……あぁ、そうだ。ホムラ様に『目覚めたら大部屋に集まるように』って言われていたっけか……」


 ゲイルは思い出したかのようにそう呟いた。


「ナナト! 起きたばかりで申し訳ないんだが、別室に集まってくれないか? なに、準備まで少しかかるし、気分が優れてからでいい。元気そうであれば参加してくれ!」


「……あ、わかりました。僕はもう大丈夫ですので、いつでも参加できます」


「おう、悪いな。そういうことなら準備が出来次第呼びに来るぜ。じゃあ、また後でな!」


 そう言ってゲイルは、笑いながら去って行った。



 ゲイルの言う準備の間、僕はヤヨイが運んできてくれた料理を部屋で食べていた。

 見たこともないような食材の料理が並ぶ机を見て、改めて元の世界とは違う世界にいることを実感する。

 俗に言う、異世界転移というやつなのではないだろうか。小説やゲームの中の話だと思っていたのだけど……。

 

 僕はブドウの形をした赤い果実を口へ運ぶ。噛むと果汁が溢れ出し、乾いていた喉を潤した。ほんのり甘い味がするが、かなり薄くてほとんど水を食べているようだった。

 他には、黒い粉で塗されたドーナツ型のお肉がある。これは鶏肉っぽい味がして、味付けの黒い粉は塩辛いが薄味だった。

 サラダに変わった形の草が添えられていた。新鮮で歯ごたえはいいが、これもやっぱり味付けが薄い。


 ……うーん、病人だから薄い味付けなのかもしれないけれど、正直もっとこってりとしたものが食べたい……。

 食べるものを貰っているだけでもありがたくて贅沢なことなのだけども。

 家にいる時はテーブルに置かれていたお金で、コンビニ弁当とかを買って食べていたから、濃い味付けに慣れてしまっていたのだろう。

 そして……こうして一人で食べることにも慣れてしまっていた。


 食べ終わると急に眠くなる。

 それは、生理現象からなのかもしれないが、やっと落ち着ける場所に来て気が休まったのかもしれない。

 お茶を飲んでゆっくりしていると、ゲイルが先ほどと同じく勢いよく部屋に入ってきて、準備が出来たことを伝えてくれた。



 僕は部屋を出てゲイルについて行く。

 廊下も中々に和風じみていた。変わった襖で仕切られた部屋があったり、行灯のような照明が置かれていたりと、まるで別世界の日本に来ている感覚になった。


「おし、ついたぞ。ここが集まる部屋だ」


 ゲイルが止まった先には、豪華に装飾された大きめの扉があった。

 もしやこれから会う人は偉い人たちなのではないか、と察して緊張してきた。


「お? なんだ、緊張してるのか? はっはっは、心配するな! これから会うのは俺の仲間だし、ホムラ様もおっかない人じゃないから大丈夫だ。……ん? ホムラ様は人じゃなくて神だから、なんて言えばいいんだ? おっかない神じゃないぞ、ってか?」


「……ふふっ」


 どうでもいいような言い回しを真剣に考えているゲイルの姿が何だか可笑しくて、つい笑ってしまう。

 それに気付いたゲイルは、僕の頭を荒々しくわしわしと撫でまわし、ニッコリ笑っていた。


「そうそう! そんくらい解れてるくらいが丁度いい。困ったら俺に頼っていいから、安心しな!」


 ゲイルのおかげで少し緊張が解れた。

 ……こんな僕に親身になって接してくれて、感謝の気持ちと申し訳なさが止まない。


 ゲイルは大きな扉にコンコン、とノックをして、相変わらず返事も待たずに勢いよくドアを開けた。


「失礼しますよーっと」


 僕は後に遅れて失礼します、と小さな声で挨拶しながら中へと入っていく。

 まず目に入ったのは、一番奥の豪華な椅子にちょこんと座っている、ショートヘアーの小さな子供だった。男の子なのか女の子なのかわからない容姿をしており、神々しい衣装を身に纏っている。

 その右斜め前に、ずっとニコニコと笑顔を絶やさない、杖をついた老人が傍で立っていた。


 少し離れた所に若い男女がいた。

 男は蒼く少し長い髪が特徴的で、腕を組み鋭い眼光でこちらを見ている。立派な長めの剣を携え、強そうで派手な鎧を着ていることから、どこかの王族のようにも思えた。

 女は肌の露出が多い装備をしていた。髪は後ろで留められて、動きやすさを重視しているように感じられる。武器を所持しているようにも見えず、不思議なオーラを放っている。特にこちらを気にしようともしていなかった。


「やぁやぁ! よく来てくれたね、三沢七翔(みさわななと)くん! ボクは慈炎の神、ホムラだよ」


 僕たちが部屋の中まで入ると、奥に座っていた小さな子供が揚々と立ち上がり、そう言い放った。

 ……こんな幼い子供が神様!? それにこの声、どこかで聞いたことあるような……。

 ホムラは僕のハッと気付く動作を見て、嬉しそうに話を続けた。


「あっ、気付いてくれたみたいだね! そう、君の中でお話していた声の正体はボクでした!」


 そうだ、この声だ。

 どうやら僕が死んだ後に、僕に語り掛けていたのはこの神様だったらしい。

 ……まずい、随分失礼なことを言ってしまっていたような気が……。


「あ、あの……、僕、夢だと思って、とても失礼なことを……」


「あーいいのいいの! 全っ然気にしてないから。なんたってボクは心が広い、寛容な神様で有名だからね! ちょっとやそっとじゃ怒ることはないよ」


 ホムラは得意げに腰に手を当てる。

 無邪気にドヤ顔する様子からは、とても神様の威厳は感じられなかった。


「あー! 今度はボクが神様だって信じられないって顔をしているね? だったら神様である証拠になる逸話を聞かせてあげちゃうんだから! あれは150年前くらいの話だったかな――」


「……おい、下らない余興をするために呼んだのなら俺は帰るぞ」


 ホムラの話を、目つきの鋭い蒼い髪の男が遮る。

 男はホムラの自由気ままな行動にイライラしているようだった。


「……いくらボクが寛容な神様だとしても、その態度は無いんじゃないかな。英雄君?」


「ふん。お前が神らしい立ち振る舞いに正すのであれば、態度を改めてやってもいい」


「へぇ。まるでボクが未熟みたいな言いようだね」


「さぁな」


 何だか険悪な雰囲気になってしまった……。

 それに、神様にズバズバ言えるこの男は何者なんだ!?

 あと、ホムラは寛容な神様のはずなのに、割と沸点が低くおられるようで……。


「……そ、そうだ!! 皆さんよぉ! ナナトは目ぇ覚ましたばっかりだからよ。知らない人が多いだろうから、自己紹介してやってくんねぇかな?」


 ゲイルが慌てて仲裁に入る。

 正直怖かったし、僕もこの蒼い髪の男が何者なのか気になってたからとてもありがたい。

 その気になっていた男は、まず一番最初に自己紹介を始めた。


「俺はカイ・フォーマルハウト。"英雄"の一人。以上だ」


「よ、よろしくお願いします……」


 先ほどの会話の中で何となくわかっていたが、やはりカイという男は英雄だった。

 『英雄の一人』って表現するあたり、カイの他にも英雄がいるのだろうか。

 それにしても随分素っ気ない態度だなぁ……。この人おっかないし。


 僕は恐らく次に自己紹介をするであろう、カイの隣にいた女性に目を向けた。

 すると、それに気付いたのか、女はスッと後ろに隠れてしまう。

 カイは代弁するように、彼女についてを話し始める。


「こいつはメリッサだ。無口で基本的に人と会話をしない。こいつに用がある時は俺に言え」


 ほうほう、極度の人見知りなのだろうか?

 そう考えると、ミステリアスな女性だと思っていたが、何だか親近感が湧いてくる。


 その後、ゲイルがいきなり僕の前に出てきた。


「知ってるかと思うが、改めて俺の自己紹介もしておくぞ! 俺の名はゲイル・ウォルドロンだ。英雄のカイをリーダーに、俺とメリッサの3人でパーティを組んでいる。……あぁ、英雄っていうのはだな……大雑把に言うと、『全ての国々で認められた、世界の平和を守るための唯一の肩書き』ってとこだな」


 なるほど。

 カイが神様であるホムラに言いたい放題だったのも、恐らく英雄が特別な存在だからなのだろう。

 何となくだったが、わからなかったことが少しずつわかり始める。


 最後に、ホムラの右斜め前に立つ老人が話し始める。


「お初にお目にかかります、ナナト様。私めはゲンジと申します。この村の村長をしております。以後、お見知りおきを」


 全員の自己紹介が終わったところで、僕も改めて自分のことを話し、その場はひと段落する。


「さぁて! 全員挨拶が済んだみたいだね。それじゃあ、本題に入らせてもらうよ」


 ホムラは時間が経ったからか、すっかりと機嫌を直していた。

 ゲイルの機転が功を成したな……。


「まず、確認なんだけど、三沢七翔くん。この世界とは別の世界を……そうだな、異世界と形容しようか。君は異世界から、何らかの方法でこの世界に来てしまった、といった経緯があるよね? つまり、君は異世界人って認識で間違いないかな?」


「……は、はい。恐らく……そうです」


 皆が驚きの声を上げ、僕の方へ向いた。

 やっぱり違う世界に来てしまっていたんだな、という不安感で胸が締め付けられる。


「ボクとしては君のいた世界に戻してあげたいんだけどね。実は、君がどうやってこっちの世界に来てしまったのかサッパリわからないんだ。わかっているのは君の持つ刀がトリガーになったということだけ。ごめんね?」


 いつの間にか村長のゲンジが、白い布を間に挟み込むようにして錆びた刀を両手で持っていた。

 ホムラはそれをひょいと持ち上げる。


「君はこの刀に強大な力があると思っているようだから、ボクが調べてみたんだけど……やっぱり、何の力も持たないなまくらだったよ」


 あの刀が何の力も持たない……?

 巨大な蜘蛛を斬ることが出来たのも、あの刀のおかげだと思うんだけど……。

 じゃあ、一体どうして僕は巨大な蜘蛛を倒すことが出来たんだ?


「……でも、君は鬼神蜘蛛を見事一撃で倒してしまった。そして、君にはE級クラスである鬼神蜘蛛の子蜘蛛なんかに殺された事実もある。……この2つの関係から、何か気付くことはないかい?」


 そういえばそうだった。

 僕を殺したのは、巨大な蜘蛛の腹の中にいた子蜘蛛だ。

 どうやら子蜘蛛は雑魚モンスター的な扱いを受けているようだ。

 強い敵を一撃で倒す火力、弱い敵に殺される耐久力、この2つから導き出される答えは――


「もしかして……"高火力を得る代償に、防御力が著しく低下する能力"……」


「ほぼ正解だね! ただ、防御力が低下するって点は、厳密には少し違うように思うんだ。いくら防御力を無視したとしても、非力な子蜘蛛の攻撃で死んでしまうとは考えにくい。……関連しているのは恐らく生命力。君にわかりやすい言葉で言うと、HP(ヒットポイント)が変化しているんだろうね」


 そっか……。

 要するに、被弾できる回数が少なくなるって感じかな。

 例えば、HPが3だとすると、どんなに防御力を上げても被弾できる回数は最大で3回だもんな……。


「……だからこそ、気を付けて欲しいんだ。ボクは君のことを生き返らせたけど、それは一度までしかできない。次は無いということだね」


「……一度チャンスを頂けただけでも、感謝しきれないほどありがたいです。えっと、それで、その……能力によって僕のHPはいくつになってしまうのでしょうか……」


「……多くて3ってところだね。最悪のケースで1。つまり、最悪の場合、君は一度でも攻撃を受ければ……死んでしまうだろう」


 頭の中が真っ白になる。

 一度でも攻撃されたら……死ぬ?

 僕は絶望に飲み込まれてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ