2.目覚め
気が付いたら、いや、違う、これは…思い出したのか。
まずは状況を整理しよう。
ここはどうやら子供部屋のようだ。
部屋主が大きいのか、家具はどれも背が高い。
いや、これは……まさか……
憶測を確認するため自分の手を見る。
子供の手だ。小さく、丸っこい。
ここまでくれば確認するまでもない気もするが確認せずにはいられない。
顔を動かし、体を眺める。
どうやら子供になってしまったようだ……。
しかしとそうなると身体が縮んだのだろうか?
それにしては見覚えのない建築様式なのだが……。
ベッドから降りて鏡を探す。やはり最初は自分の姿の確認だ。
自分であるのか、”そうでない”のかの確認をしたい。
どうやら部屋の中にはないようなので部屋を出て探そう。
鏡はなくとも水面でもあれば、あるいは金属でもいい。
要は顔が見えればいいのだ。子供部屋には怪我をしない配慮なのかそういったものは見当たらなかった。
部屋を出ようとした所で気が付く。
そう。子供への配慮の時点で気づくべきだった。
ドアの取っ手が高いのだ。子供の身長では届かない高さにある。
ならばと思いドア自体押して見たが開く気配がない。おのれ。
しかし私は体は子供かもしれないが、頭脳は大人だ。
踏み台を使えばいい、身長がなければ持ってこればいいのだ。
だが部屋の中を物色してみると愕然とした。ありとあらゆるものがカーペットに張り付いているかのようにびくともしなかった。
ベッドも、机も、椅子も、箪笥も、玩具の箱ですらだ。
玩具も積み木のようなものではなく粘土のようなものしかなかった。
色が付いているのに手でどれだけ触っても硬いままだった。
試しに踏んで見たが形の変わる感触すらしなかった。
これを踏み台にとも思ったがそれほど大きくもなくそして不揃いなので重ねることもできなさそうだった。
となるとあれかプラスチック粘土という奴なのか?
よくよく見ると手形のような跡があるのできっとそうなのだろう。だがこの部屋には水道の類はなさそうなので変形させられなさそうだ。
いや、今の目的は部屋を出て、自分の姿を確認することだ。
粘土には少し知的好奇心が引かれるのか、童心がそうさせるのかはわからない。
未練はあるが、目的に利用することができない以上他の物を探すとしよう。
おおう、物の見事に壊滅だ。もしかして私の気づいていない要素があるのか?
収納の類は開けることすらできなかった。
自分が自分なのか、それとも別人なのかわからなければ、人に会った時にどうすればいいかわからない。
だから早急に自分の姿を確認したいのだが……。
仕方がない、こうなれば必殺狸寝入りで情報を集めるしかない。
ベッドに戻り、横になる。いかん、動いたからか眠気が……
動くとすぐ眠くなる。少なくとも身体の状態は子供になったのには間違い……なさそうだ。






