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負の連鎖を

作者: とうにゅー

 たった今、人を殺した。

 彼女の目は、光を映しておらず、口からはいつも死を望む言葉を垂れ流していた。だから、殺した。私は彼女の願いを叶えただけだ。


 そうしたら、今度は私の番だった。

 世界から色は失われていった。人の顔をした化物が、顔を歪めて私を嘲笑った。生きる希望とか無くなって、鏡で自分を見たときは別人のように見えて、足元に穴が開いて真っ逆さまに落ちたような気分だった。

 ある時、意識がぷっつりと切れた。


 たった今、人を殺した。

 その子は、黒い涙を流して、焦点の合わない目でヘラヘラと笑っていた。壊れちゃったみたい。だから、楽にした。きっと彼女はそう願っていただろうから。 

 

 そうしたら、今度はわたしの番だった。

 あいつはずっとわたしにつきまとった。わたしが誰といても、わたしの視界にいつもいた。わたしをしばりつけて、私を痛めつけた。どんどん、耐えきれなくなった。生理も止まった。髪が抜けた。もう嫌だった。

 ある時、息ができなくなった。


 たった今、人を殺した。

 あの子は、ぼろぼろになった人形みたいで、精気のない目で空を見ていた。ひび割れた唇から細い息が漏れて、肌からは薬の独特な匂いがした。私を殺してという言葉を聞いた。だから殺した。


 そうしたら、今度はワタシの番だった。

 すべてが嫌になった。どうしようもなくなった。この世界が嫌になった。自分自身も嫌になった。自分を傷つけた。血が流れても、心が泣いても、無視をして、傷つけた。沢山の人とも関係を持った。自分の価値を落とせるだけ落とした。不幸になろうとした。もういいだろう、疲れた。


 今度は誰がワタシを殺してくれるの?

 

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