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武器を買いに行きましょう

「出発はいつにしますか全継さん!」


俺が一緒に行くと決まってキャシーはすぐにでも野盗退治に行きたいようだな。


「まずはお互いの武器や持ち物を確認しよう、武器によって作戦が変わるからな」


「キャシー急ぐ気持ちは分かるがまずは下準備を全継としなさい、先ほど全継が言っていただろう、正面から正攻法では難しいと」


ガルウスに論され少しキャシーはシュンとなって下を向く。


「準備を怠って戦えば負ける可能性が大きくなる、負けて死ねればまだいいが捕らわれたら面倒なことになってしまうからね、キャシーちゃんの武器を見せてくれるか?」


俺がそういうとキャシーはすぐに前を向いて武器を台の上に置く、分厚く長い鉄の塊といってもいいその武器は無数の小傷があるもののきちんと手入れされており迂闊に触れば切れてしまうほど刃は研がれていた。


「これが私の愛剣です!2年前に兄上に買ってもらってからずっと使っているんですよ!」


先程まで気を落としていたとは思えないほど元気に話す、それを見て俺とガルウスは笑ってしまった。


「全継さんはどんな武器を使っているんですか?」


「あぁ俺はこれなんだけど、実は折れてしまってね」


俺は苦無と折れた刀を台に置く、そういえば俺は武器が折れているんだったな、さすがに30人近くを相手するのに苦無5本じゃ話にならないな。


「ガルウス、このあたりに武具を売っている店はあるか?」


「武具を売ってる店なら<鳥の巣>を出てすぐのところにあるぞ、案内するからついて来てくれ」


ガルウスはそう言うと立ち上がる、俺とキャシーも台に置いた持ち物を持ち直してガルウスの後に続く。


「全継さんはどんな武器を買うのですか?やはり大剣ですか!?大剣はいいですよ、何よりズッシリとした重さがたまりません!」


さきほどのやり取りで分かってはいたがキャシーは武器の事になってもうるさいようだ、目を輝かせながら話す姿は結構面白い。


「いや、俺はこれといって使いたい武器はないな、手になじんで小回りが利く武器ならなんでもいいさ」


小回りが利く武器と聞いてキャシーはつまらなそうな顔になる、この子は隠し事や嘘をつくのが苦手なようだ。


「全継さん先程の折れていた剣とは別の矢じりみたいなものも武器なんですか?」


「あぁ苦無といってね、持ち運びがしやすいいから結構気に入ってるんだ、よければひとつあげようか?」


「是非ください!」


俺が話し終わるのとほぼ同時に頷くキャシー、俺は笑いながら苦無をひとつキャシーに手渡す。


「おっいいなキャシー、全継、俺にも苦無という武器をくれよ」


ガルウスはそういって笑う、俺はガルウスにも苦無をひとつ渡す、苦無の本数が減るのは心許ないが二人ならいいかと俺は思った。


「全継ここが武具を売っている店だ、君の手持ちの金ならそこそこいい物が買えると思うぞ」


ガルウスが足を止めた建物からは油と鉄の匂いがする、俺は今まで武具の類の物は里から支給されていたからどんな物があるのか楽しみで仕方ない、高揚する足で武具やの中に入る、中には棚に飾られているものから雑多に箱に入れられているものなど様々な武具がある、俺は雑多に放り込まれている箱の中から良さそうな物を手に取った。


「兄さん見ない顔だな、その武器はいい武器だぞ、なんたってこの俺様が打った武器だからな!」


不意に声を掛けられ少し驚きながら俺は声のする方を見る、そこには筋骨隆々な背の低い男が立っていた。


「全継、この人はこの国で一番の鍛冶師と言われているドワーフ族のモーグさんだ」


ガルウスがそばに来て男の紹介をしてくれる、男は誇らしげに鼻を擦る。


「全景です、よろしくモーグさん」


俺がそういうとモーグさんは嬉しそうな顔をしながら武器の説明をしてくれる、この雰囲気は話が長くなりそうだな、と思いながら職人の話はいい参考になるだろうと思い付き合うことにした。


「その武器はアイスブレードって言ってな剣闘竜の牙と王鉄を俺様独自の製法で煉り合せたものでな、耐久力と切れ味はそこらへんに飾ってある武器の何倍もいい武器だぞ、特に打つ時に<アイスフォージ>のスキルをこれでもかってぶち込んで打ったからな、自然と冷気を帯びてるってわけよ、他にも<身体強化>の印も掘ってあるから持つだけで体が強化されるって寸法よ!」


よくわからん言葉も混じっていたがとにかくいい武器なのは間違いなさそうだ、ただ一つの疑問を除けば。


「そんないい武器なら何で飾ったりせずにこんな雑な扱いをしているんだ?」


「よくぞ聞いてくれた!俺はよ、金を儲けたくて武器を売ってるんじゃない、俺の目的は俺の打った武器で一人共多くの英雄を選出することでな、つってもよ良い武器を作るには素材や設備に金が掛かる、そこで俺は考えたんだアホからは高い金を取って物の価値が分かる奴には安く売るって方法をよ!」


怒涛の勢いで話し終わるとモーグは誇らしげにまた鼻を擦った。


「だからまるで価値が無いように見えるところに置いてあったのか、気に入った!これを俺に売ってくれモーグさん」


「もちろん喜んで売るぜ、特別だ2000ギラでどうだ?勘定は向こうでするからよ並んでる客もいるからお前さんも並んでくれよ」


「あぁ並ばせてもらうよ」


他の飾ってあるこれよりも品質の悪い派手な武器の値段は10万ギラと書かれている物が大量にあった、そしてそれを持ってい勘定台に立っている金を持ってそうな男にいやらしい笑みを向けながら勘定をするモーグさんに軽く戦慄しながら俺は武器を手に入れた。

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