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旅立ちの前に杯を

首飾りを眺めているとハノンさんが声を掛けてくる。


「全継様、こちらボスコボルトを討伐した報酬の1万ギラです、どうぞご確認を」


1000と書かれた硬貨を十枚手渡された、硬貨は見た目に反してズッシリと重く、持っただけで金で出来ていると分かった、この世界の価値が分からないのでこれがどれだけの富なのかが分からず戸惑う俺にガルウスが声を掛けてきた。


「全継、1万ギラあればここにある料理全てを食ってもおつりが出るぞ」


ここにある料理全部・・・その言葉で俺はこの金の価値が分かった、慎重に使わねば・・・まぁ折角もらったんだからちょっと使おう、「ガルウス、あの赤い飲み物が欲しいのだがどこに注文すればいい?」俺の言葉にガルウスは笑いながら歩いていく、俺はその後ろをついて歩く。


「あの赤い飲み物はワインといってな、俺もたまに飲むがうまいぞぉ」


ワイン、是非是非是非飲みたい、近くを通るとほのかに甘い匂いが漂ってくる、そのあとに酒独特の匂いがくることから俺はそれが酒の一種だということが分かった、ガルウスは先ほどの勘定台とは反対側の勘定台の前で歩みを止めると中にいたオヤジに話しかける。


「マスター、ワインを二つ、あと竜の尾が入っていたら、チーズを乗せてこんがり頼む」


なるほどあのオヤジの名前はマスターと言うんだな、覚えたぞ、チーズとは何だろう?まぁガルウスが頼んでくれたものだから旨いのだろう、きっと。


隅の方に空いていた台に先に渡されたワインを持ってガルウスと座る、目の前にあるワインは赤く澄んでいてとてもうまそうだ、そして杯が揺れる度にほのかに香る匂いに俺は夢中になっていた、そんな俺をみてガルウスは灰を持ちながら言った。


「よし!料理は後で来るだろうそれよりもまずは一杯飲もうじゃないか!」


俺はその言葉を聞いて杯を交わそうとガルウスの杯に自分の杯を差し出す、そんな俺の所作を不思議な顔をしながらガルウスは見ていた、「ガウルス、俺のいた世界の作法みたいなものだ付き合ってくれないか?杯と杯を軽くぶつけるんだ」


俺がそう言うとガルウスは軽く頷いて俺の杯にぶつけてくれてた、金属製の杯がカンッと小気味いい音を立てる、その音を聞いた後俺はワインを一口、軽く一口飲もうとした、だがそれは叶わなかった、口に入れた途端に感じる芳醇な果実の甘さ、匂い、その後に来る酒の深み、気づくと俺は全て飲み干していた。


「全継、君は飲める男だな!すまんおかわり頼む!今日はとことん飲もう!全継!」


ガルウスは自分のワインを飲み干し杯を掲げながら叫ぶように言った、そうすると部屋の中央辺りから「はいよ!」と女性の声がする、すぐに女性は新たにワインの入った杯を持ってきてくれた、片手には白い何かがかかった肉を持っていた。


「はいお待ち!ワインのおかわり二杯と竜の尾のチーズかけだぜ!味わって食べろよ~」


赤い髪をした少し露出の多い女性はそう言うと別の注文を受けて厨房へと消えていった。


「キーシャちゃんは相変わらず元気だな、さて、俺はこれを待っていたのよ!全継これはさっき君が食べていた干し肉の三倍はうまいぞ!」


ガルウスはそういいながら器用に肉を切り分けて小皿にもって俺に渡してくれる、俺はそれを受け取りまじまじと眺める、絶妙な火加減で焼かれた肉は中は赤いままだ、上にある白い液体のようなものからは牛の乳に似た匂いがしてくる、肉からあふれ出る汁がさっさと食えと俺に語りかけてくるようだ、「いただきます」俺は静かにそういいながら肉を食う、旨い、旨すぎる、俺は旨すぎて震えていた、そんな俺を見てガルウスは笑っていた。


飯を食い終えワインもほどほどにして俺はガルウスに俺のスキルの事を聞いてみた。


「ガルウス、先ほど聞こうとしていたスキルの事なんだが、ここなら他の物にも聞かれないだろうし教えてくれないか?」


俺がそういうとガルウスは持っていた杯を台に置いて話し始めてくれた。


「あぁここなら大丈夫だろう、まぁ説明するとは言っても俺が効果が効果が分かるのは<身体強化>と<夜目>だけなんだがな、まずは効果ではなくスキルの発動の仕方を教えておこう」


そういいながらガルウスは俺の腕を掴む、何をされるのかわかないが俺はなされるままにした。


「まずスキルを発動するにはスキル名または自分で決めた言葉か言うか所作をとるんだ、俺の場合はスキル名にしている」


そういいながらガルウスは掴んだ手を握り始める、かなりの圧がかかるが耐えられないほどではない。


「これが素の俺の全力だ、そして<身体強化3>」


ガルウスがスキル名を言うとガルウスの体に赤い光が纏っていく、その光はコボルトのそれ《光》とは比べ物にならないほどの光量だった、俺の腕にかかる圧は先ほどのものとは段違いで今にも握りつぶされそうだった、俺は耐えるために力を籠めようとするとガルウスはあっさりと手を離す、腕にはガルウスノ手の形がくっきりと残っていた。


「今のがスキルを発動した力だ、どうだ全然違っただろう?」


俺は黙って頷いた。


「常時発動型スキルは覚えたらずっと発動されてる、君の夜目と言われるスキルは暗闇の中でも明るい場所と変わらず見えるスキルだ、君の他のスキルの効果は俺には分からない、だから一つスキルを教えようよく聞いてくれ<アナライズ1>これがスキルについて分かるスキルだ」


アナライズ、そういった途端ガルウスは薄く青く光る、そして光は全て目に集まりすぐに消えていった、それを見て俺も言った、「<アナライズ1>」


俺の体の中に何かが走ったと思ったすぐに目が熱くなり、頭の中に文字が入ってきた、先ほど宝石を粉砕した際に出たスキルの名前の下に効果が浮かんでいる。


<隠絶3>

発動条件:姿を隠そうと思い集中する

効果:敵から攻撃するまで発見されなくなる、3よりも高い等級の察知系・探知系スキル持ちには効果なし


<火炎1>

発動条件:火炎と唱える

効果:前方に口から炎を吹き付けることができる


<身体強化1>

発動条件:身体強化と唱える

効果:自身の身体能力を強化する


<アナライズ1>

発動条件:アナライズと唱える

効果:自身の状態やスキルが分かる


<殺気探知10>

発動条件:常に

効果:自身に向けられた殺気を自動で探知する


<夜目5>

発動条件:常に

効果:暗闇の中でも目が見える


<千里眼2>

発動条件:常に

効果:遠くのものを見ようとしたときよく見える


スキルの発動条件や効果が分かった俺はガルウスに礼を言った、「ガルウス効果と発動の仕方が分かったよありがとう」俺の感謝にガルウスは笑いながら俺の肩を叩く


「それとなスキルが見えた時横に数字が書いてあっただろう、それはスキルの等級で数字が高い方がより強いスキルと言う事だ、スキルについてはこのぐらいだ」


この力をさらに鍛えたい、俺はそう思いながら杯に残ったワインを飲み干した。



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