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今日から俺は冒険者

・・・・・<鳥の巣>前


ここに来るまでにガルウスに買ってもらった干し肉を齧りながら俺は<鳥の巣>と呼ばれている建物の前で佇んでいた、先ほどガルウスは巣の主という人物に俺の事を離すからすこしここで待っていてくれと言って建物中に入っていった、俺はそれを待ちながら干し肉を齧っている、噛めば噛むほどあふれ出るうま味、そして何より今まで感じたことのない味、なんと表現したらいいだろうか、舌がすこし突かれているような感覚とほんのり熱くなる感覚に酔いしれながらガルウスを待っていた。


旨さに震えながら齧っていた俺の顔ほどはあろう肉があと一口といったところまできた時にガルウスが建物から出てきて俺に声を掛ける、俺はその声を聴いて建物に入る、建物の中には見たことも無い明り道具が部屋の中を照らしていた、多くの椅子には人が座っておりその中でも数名からは強者の匂いが出ている、台の上には赤い色の水や黄色の水が汲まれた杯や俺が先ほどまで齧っていた肉が霞むそうな旨そうな肉や魚の料理が配膳されていた。


「いい表情かおしてるねぇ全継、君も冒険者になり金を稼げば沢山食べられるぞ」


俺が料理や飲み物に夢中になっているのを嬉しそうにしながらガルウスは言った、俄然冒険者になろうと意気込みをいれ俺はガルウスに続く、ガルウスは美しい女性が立っている勘定台のようなところに立つとその女性に話しかけた。


「彼がさっき言っていた全継だ、腕は俺が保証する、先ほど持ってきたボスコボルトを狩ったのは彼だ」


ガルウスが俺の紹介をしながら先ほどの獣人の手柄についても話してくれた、女性は少し驚いた顔をしながら俺に微笑みながら話しかけてきた。


「全継様ですね、私はこの<鳥の巣>で受付を担当させていただいているハノン=クラーナと言います、ここを拠点とした場合長いおつきあいになると思いますのでどうぞよろしくお願い致します」


ハノンと名乗る女性は軽く会釈しながら自己紹介をしてくれた、俺はあまり女性と関わったことがないので少し緊張しながら、「こちらこそよろしくたのむ」と言うと女性は紙を台に置きながら言った。


「こちら申請書です、こちらに名前とスキルを記入してください」


そういって渡された紙に俺は名前を書いて手が止まる、俺はスキルを持っていないぞ、硬直する俺をみてガルウスが女性に何かを言った、女性は引き出しから宝石のようなものを取り出すと俺に渡して言った。


「こちらの鑑定石を手で握って砕いてもらえますか?」


俺はその言葉を聞いて宝石を握る、微かに光りながら宝石は手の中で砕け散る、光は俺の目の前で文字になった。


任発動型スキル

<隠絶3> <火炎1> <身体強化1>


常時発動型スキル

<殺気探知10> <夜目5> <千里眼2>

その文字を見てハノンは慣れた手つきで紙に記入していく、俺は自身にスキルがあったことに感動しながら記入するハノンを見ていた。


「住所はとりあえず<鳥の巣>にしておきましたが宿か住居が見つかり次第教えてくださいね、それとガルウスさんの推薦ということですので試験は免除いたします、<翼を持つ者>に関して簡単な説明をさせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」


説明を聞く前に俺は分からないことを尋ねる、「その前に少しいいか、俺の持つスキルは効果なんだ?」


俺が質問するとハノンよりも先にガルウスが答えてくれた。


「全継、スキルの効果については俺が後で説明してやる、不用意にスキルの効果を言われるのは君もいやだろ?」


ガルウスは真剣な顔をしながら俺に言ってくれた、そのやりとりをハノンはニコニコしながら見ていた、確かにそうだ、俺は忍をやめ自由になれた事で舞い上がって情報をばら撒く危険性を忘れていた、ガルウスの言葉で頭が冷めた俺はハノンに<翼を持つ者>についての説明をお願いする、「そうだな、助かったよガルウス、あんたのおかげで危険を減らせた、ハノンさん説明をお願いする」


俺の言葉を聞いてガルウスとハノンは少し笑った後ハノンは<翼を持つ者>についての説明をしてくれた。


「では説明させていただきます、<翼を持つ者>は主に冒険者の位を決め位に応じた依頼の斡旋を行っております、モンスターや手配書の人物を討伐した場合、亡骸やそれに準ずるものを持ってきていただければそれを査定し、お金に換えることもやっております、また冒険をしていると見つかる異物や秘宝を持ってきていただければそれも査定させていただきます、ですが依頼を受けていただければ報奨金が出ますので出来れば定期的に依頼があるか見に来てください」


モンスターという聞きなれない言葉もあったが大体はついていけているので俺は無言で頷いてた。


「続いて<翼を持つ者>の位について説明をさせていただきます、位はこの翼を催した首飾りで一目で分かるようになっています、位は下から緑、黄、青、赤、白、黒、銀、金、黒炎となっております、そして翼の数で色の中での階級が分かるようになっております、白までは片翼から両翼で二段階、白からは片翼から両双翼までの四段階で分かるようになっております、全継様はボスコボルトを討伐なさったと言う事ですので赤の両翼をお渡しいたします、定期的に依頼や討伐、異物や秘宝、秘境の発見などをしていただければ位が上がって上の位の首飾りをお渡しいたします」


なるほどあの首飾りにはそんな意味があったのか、ガルウスは白の三枚翼ということは俺より三つ位が上という事か、俺は周りも見渡す、この場所にいる者の中ではガルウスが一番位が上の様だ。


「最後になりますが今日より全継様は<翼を持つ者>の一員になります、基本的にはなにをなさるのも自由ですが、先人や後人に恥じることの無いような活躍を期待しております、私からは以上です、分からないことはありますでしょうか?」


説明を終えたハノンはホッと胸を撫でおろす、モンスターという物について気にはなるが後で書物か何かで学ぼう、それよりも俺は少しでも早くあの首飾りを首掛けたいという気持ちがある、「いや、分かりやすい説明をありがとうハノンさん」俺がそう言うとハノンさんは微笑みながら俺に首飾りを渡してくれた、これを身に着ければ俺は自由の翼を手に入れられる、そう思おうと感慨深いな、そんな事を思いながら俺は首飾りを掛けた、今日から俺は冒険者だ!

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