幕間 再戦
気が付くと、そこに居た──。
男は戦士だった。
辺りには自分が守るべき、仲間の姿があった。
ただ、そこにはリーダーが居なかった。
統率が取れず、仲間は次々に数を減らしていった──。
このままではダメだ。
「──我ガ主ニナル」
男はそう言い、仲間を従わせて人間を襲った。
しかし、人間は強く、手傷を負わせたモノの、返り討ちにあった。
もっと強くならねば、仲間を守れぬ……。
男は群れを成し、家族を作った。
──その結果、……餓えた。
食べる物が無く、子供達は共食いまで始めたのだ。
そして、事は起こった。
餓えた子供達が自分の知らぬところで人間を襲い、食料を奪ってきたのだ。
男は自分を薙ぎ飛ばした人間を恐れたが、それ以上に空腹には抗えなかった。
一口食べた人間の食べ物は甘美の味で、男の思考を鈍らせた──。
すぐに人間達が攻めて来たが、あっさり片付いてしまった。
──なんと脆い。
自分はあの頃に比べて強くなったが、ここまでとは思っていなかった。
これならば家族を餓えさせずに済む。
そう思った矢先だった……。
──悪魔が現れた。
一目見て、その悪魔はあの時の人間だとわかった──。
己の一撃を軽く躱し、反撃さえして来る。
──己よりもずっと、強い。
全身の血肉が沸き上がり、男は震えた。
戦士だった時の、己よりも強き者と戦うあの興奮が蘇る──。
全力で己をぶつけて戦い、倒したい。
だが、今はまだ守る者がある。
男は負けるわけには行かなかった──。
卑怯だとわかっていて、メスを庇う強者を吹き飛ばした。
──すまぬ。
強き者よ、正々堂々戦いたかった──。
男は家族を殺した悪魔に、そして己自身に心の中で謝った……。
しかし、己が強者と呼んだ人間は手傷を負って尚、立ち上がった──。
あぁ、神よ。
まだこの卑怯者に、チャンスを与えてくれるというのか……。
──ならば、その声に応えよう。
2章の途中ですが、勝手ながらここで一旦完結とさせて頂きます。
お付き合いありがとうございました。
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この続きは次回作にて。
────See you next time.