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ログイン ~リアルのオンラインゲームは待ったナシ~  作者: ロングブック
第一章 バイト戦士と私の王子様
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ページ42 新メンバー

「あー、午前中に予定していた遺骨の回収は無くなったが、念のため午前中は小学校周辺の見回りに当てようと思う。午後からはまた掃討戦の続きだ、みんなよろしく頼むよ」


 眼に隈を作った青井さんが眠そうに本日の予定を告げていく。


 あの人いつ寝てるんだろう……。


「それと関東の方から情報が回って来た」


 手に持ったタッチパネルをタップする。


 あのネット回線は、軍専用回線らしい。


 緊急時に国内外での通信を可能にしているってさっき言ってた。


 これだから国家権力ってやつはっ!


 オレのスマホも早く使えるようにしてほしいものである。


「ここ最近関東では、住民を襲ったモンスターを、何者かが討伐したという報告が相次いでいる。恐らくゲームの力を持て余した者によるモノだと思われるが、中には女の高笑いだけを残して現場を去った者もいるらしい」


 怖っ。


 何そのホラー。


 高笑いをあげてモンスターを倒す女とかやばいだろ。


 こちとら昨日の戦いでホラーはお腹いっぱいだよ。


「続いて、詳細は不明だが新たに北海道でNo.5が決まったらしい」


「「「「おおー」」」」


 全国でオレ達に続き、5番目の協力者である。


 その朗報にオレ達の士気も自然と沸き上がった。


 そこに扉をノックする音が皆を沈めた。


 ──コンコン。


 がらがらがらっ。


「すみません。ちょっといいですか?」


「ん? 君は確か……、影山くん達と仲が良かった子だね?」


 青井さんが受け答えをしてオレ達の方に視線を投げかける。


「はい、古賀響子と言います。青井さんにお願いがあって来ました」


 一瞬、今は朝礼中なんだけど、というような顔をした青井さんがこちらを見て何故かニヤリと笑った。


「……聞こう」


「有難う御座います!」


 扉の前に立っていた古賀が青井さんの近くまでやってくる。


 皆の視線が集まる中、古賀は一人、口を開いた。


「あの……、私もその協力者にしてもらえませんか? みんなの役に立ちたいんです。お願いします!」


 頭を下げて懇願する。


「うーん……、君は影山くん達とは違ってただの学生だよね? 厳しいことを言うようだけど、これは遊びじゃないんだ。それに学生にもちゃんと仕事は割り振ってるはずだろう?」


 青井さんの言うことはもっともな正論だ。


 学生達には、食事の用意から掃除などの雑用を、当番制で仕事を割り振ってもらっている。


 頭を下げたままの古賀の顔が苦渋に歪む。


「あのっ、私からもお願いできませんか」


 左雨さんが席から立ち上がって声を上げた。


「響子ちゃんは確かにゲームの力はありませんが、私達よりずっと頭がいいんです、きっと役に立ちますからっ!」


「あー、そう言えば妙なところで機転が効くんですよね。青井さん何とかなりませんか?」


「響子はユウトよりも強いのっ!」


 オレも一応フォローを入れ、ノエルの一言で場が和む。


「ははは、そうかい。では、こうしよう。影山くん達はバイトという形でこちらから頼んで協力してもらっていることは知っているね?」


「はい」


 頭を上げた古賀が深刻そうに頷く。


「君にはボランティアとして協力してもらうというのはどうかな? ちょうど今後増える避難民や学生達とのパイプ役が欲しいと思っていたところだ。その後は君の働き次第ということで」


 古賀の顔が綻ぶ。


「あ、有難う御座います! 精一杯頑張りますっ」


 再び頭を下げて礼を言った。


 パチパチパチ──。


 自然と拍手があがる。


 うんうん、協力者が増えることは良いことだ。


「では、我もそこな美女と同じように協力者とやらに混ぜてもらうとしよう」


 おおう、マジか。


 ウィザードの火力は昨日しっかりと拝見した。


 こいつが協力者になるのはかなりの戦力アップだ。


「うん、ありがとう。元プレイヤーの協力者は大いに歓迎するよ。ただ、現状魔法使いはマナの使用タイミングが難しい。君には影山くん達のバックアップに回ってもらいたい」


「相承知した」


 オレはマナの使用タイミングでふと思った。


「あの魔法を撃つぐらいのマナがあるなら、レベルの低い攻撃魔法を2,3発撃てるんじゃないのか?」


 オレの質問にウィザードが首を横に振る。


「それは我が信念に反する。メテオストライクこそ攻撃魔法の真骨頂。我はメテオストライク愛し、それを放つ為だけにここに居るのだ! それ以外の魔法を使うつもりは断じてないッ!」


 我思う、故に我あり。


 とでも言いたいのかこの役立たずがっ!


「ふざけんな、あんなもんぼこすこ放たれたら街が平らになるだろ!」


「うむ。故に場所は選んだ」


「そーだよなッ。小学校の校庭が焼け野原になっただけで誰も困らないもんな」


 正直使いどころがなさ過ぎて逆に驚くわ。


 はぁ、もうなんか疲れた。


「ははは、それじゃ話もまとまったことだし、今日の朝会はここまでにしよう」


 ま、まとまったの?!


「では、これからよろしく頼むぞ。古賀女史」


「はぁ……」


 隣に居たはずのウィザードがいつの間にか古賀と握手していた。


 あいつ、わかりやす過ぎだろ……。


「影山くん、何か面白い人が仲間になったね!」


 左雨さんが楽しそうに話しかけてきた。


「先が思いやられるよ……」

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