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ログイン ~リアルのオンラインゲームは待ったナシ~  作者: ロングブック
第一章 バイト戦士と私の王子様
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ページ22 学校占領 その2

引き続き古賀響子視点です。

「はい、これでよしっと」


 擦りむいた足に張られたちょっと可愛らしい絆創膏。


 これを張ったまま歩き回るのは少し恥ずかしいなぁ……。


「ありがとうございました」


 私は苦笑しながらお礼を言った。


 そう言えば愛もこんな可愛らしい絆創膏を持ち歩いていたわね……。


 私は「絆創膏を持っているから、ついて来て」という先輩に連れられて三年の先輩達が座る体育館の隅で腰を下ろした。


「私は三年、女子バスケット部部長の世良薫(せらかおる)よ。部活が終わってみんなで帰る途中にあいつ等に捕まったの」


 世良先輩の向こうに座る女子生徒達がうんうんと頷く。


「一年の古賀響子(こがきょうこ)です。図書室で本を読んでいて、私も帰る途中に……」


 ナイフを首元に押し付けられた時のことを思い出して少し俯いた。


 音もなく、突然背後に現れた。


 今思い返しても恐怖でゾッとする。


 しかも、あの人数。只事ではない。


 それだけはわかる。


 学校に立て籠り、集団監禁。


 どこかの国のテロリスト集団?!


「あの先輩……、いったい何が起こっているんですか?」


「あぁん、何が起こってるだああ??」


 私の質問に、突然後ろから体育館中に響き渡る怒鳴り声が上がり、ビクッと身体を強張らせた。


「え?」


 思いもしないところから返事が来たことに、私と世良先輩が驚き振り向くと、そこにはボロボロの学生服に左頬を張らせた男子生徒がこっちを睨んで立っていた。


「そんなこと、こっちが聞きたいつーのッ!」


「ちょっと森くん。一年が怯えてるじゃないっ!」


 知り合いなのか、すぐに世良先輩が反論する。


「チッ」


 森と呼ばれた男子生徒は再び私を睨んだ後、不機嫌そうに踵を返した。


「ごめんね古賀ちゃん、森くんは野球部の後輩を庇って逆らったら、ボコボコにされちゃって気が立ってるのよ」


 それを聞いてゾッとする。


 私も素直に従わなかったら殴られていたのだろうか。


 自分が正しい選択をしていたことに安堵した。


「い、いえ、大丈夫です……」


 世良先輩が自虐的に苦笑する。


「実は私達も何が起こっているのか、よくわからないのよ」


 世良先輩達も私と同じように、何の説明もなくここに閉じ込められたのだろう。


 周囲をよく見まわすとあることに気付いた。


 大人がいないわね……。


「『この城の主をすでに捕獲した』と言っていたのですけど、それって先生達のことでしょうか」


「かもね……」


 私の質問に世良先輩が頼りない曖昧な返事を返す。


 生徒達だけで隔離され、外部との連絡手段はない。


 状況は最悪であった。


 ずるずるずる。


 おもむろに体育館の重い扉が開かれた。


 最後にここに来た私以外の者には、何度も目にした光景だった。


「さっさと入れッ!」


「きゃあっ」


 女の子が外から突き飛ばされて冷たい床に尻餅をつく。


 ちょうど私もあんな感じだったのかな……。


 そう思いながら突き飛ばされた女子生徒の顔に目を細めた。


「ぁ、あの子……」


「知ってる子?」


 私の呟きを世良先輩が怪訝そうな顔で拾う。


「はい、図書委員さんでいつも受付で本を読んでいる方です。私、行ってきますね」


 私はそう言い残し、突き飛ばされた女の子に駆け寄った。


「大丈夫ですか?」


 扉はすでに閉ざされている。


「あ、は、はい……」


 長い前髪で隠れた眼をオロオロさせながら返事が返って来た。


 私は安心させるように手を差し伸べた。


「立てますか? 一先ずあちらへ」


 この人も三年生だ。


 スカーフの色から当たりを付けて、世良先輩達の方へ招いた。


 うちの学校はセーラー服のスカーフの色が学年ごとに違う。


 大勢いる生徒達をすぐに見分けるために学校が色を指定している。


 一年が赤、二年が緑、三年が黄色だ。


 これは学年が持ち上がるとそれまでの色も引き継がれ、次の一年が黄色になるそうだ。


 改めてスカーフを買い替える必要はない。


 ちなみに赤が一番人気でその年だけ女子の倍率が高くなるらしい。


 入学当初はこれがわからなくて、間違って知らない先輩に話しかけてしまった。


「えっと、大丈夫? その、ケガとかない?」


 世良先輩も連れて来た女子生徒が三年だとは気付いたみたいだけど、面識がないようで何と話しかけて良いものか戸惑っていた。


 私もそれほど話をした記憶はないのよね……。


 本を借りる時に受付で渡して処理をしてもらう程度。


 それでも、まったく知らないわけじゃないし、あの心地良い空間を共にしていた同志でもあるのだからこそ声を掛けたのだ。


「私も突き飛ばされて、世良先輩に絆創膏を頂いたんです」


 そう言って擦りむいた膝に張られた絆創膏を見せて微笑んだ。


 それを見て少し安心したようにその女子生徒は息を吐いた。


「ありがとうございます。大丈夫です。何とも、ありません」


 よかった。


「一年の古賀響子です。あの、図書委員さんですよね?」


 私が訪ねると少し驚いた顔をされた。


「あ、はい、三年の清水美代(しみずみよ)です」

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