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下(最終)「結末」

泣いた紅の前に現れたのは、赤髪をからかった張本人、瞬。

瞬は大輔先輩に対してガツンと言ってやり、謝らせた。

紅の恋の結末は__?



「・・・・で?」


「で?」


瞬は私の言葉に戸惑った。どこから話すのか迷っているのだろうか?


「はじめから全部話して」


瞬は深呼吸をして私をじっと見た。


「軽く信用しちゃだめだぞ」


「え」


まさかそんな前置きで言葉が始まるとは予想外。

ぽかんとしながら瞬を見る。


「まず・・・紅が図書室から学級文庫持ってきたとき、あっただろ?」


「うん、先輩が助けてくれて」


「でも、おかしいと思わないか?」


「え?」


瞬は険しい顔になった。私を「よっ、いちご!」とからかっているときと大違いだ。


「大輔先輩は中学二年生だ。二年の教室は一年の隣だろ?なのに先輩はどこから来た?」


「三年生の教室の階・・・?」


「だろ?でも先輩の教室は通っちゃイケナイはずだ。それにあいにく、二年は学級会議。どこのクラスも」


「そうだ・・」


私は額に手を当てた。


確か、隣のクラスで小学校の集団の通学でリーダーだった、歩美先輩の声を聞いた気がする。

『これからのクラスはどうしますか?次はもう三年ですよ?』

って・・・。


「じゃあ、なんで先輩は三年の教室の階なんかに・・?」


「嘘」


「え??」


訳が分からない。

なぜこんな真剣な話に嘘なんて・・!


泉水いずみ大輔だいすけ先輩は」

と、怒ろうとすると、瞬に先を取られた。


「この学校に存在しない」


「え??」


じゃあ、誰なの?あの人・・・


「じゃああの人は大輔先輩じゃないってこと?」


「いや、大輔先輩だ」


え?訳が分からない・・・

頭を抱え、うつむくと瞬は続けた。


泉水いずみ大輔だいすけ先輩ではなく、小泉(()()()()大輔だいすけだよ」


「え・・・・」


何?その微妙な差。


「そうやって人の心を操るのが好きなんだよ、()()大輔は」


私は瞬をじっと見た。

なんで私、瞬のこと好きじゃなくなったんだろ・・・大輔先輩よりもいい人なのに・・・。


「気が付かなかったか?偽名で俺が呼んだとき、笑ってたぞ?」


「あっ・・・」


確かに、まるで見下すような笑顔を見せてた・・・。


「・・・でもそれならなんで私のスマホ、持ってんの?」


私はずっと瞬が持っているスマホを指さした。

月光でラインストーンが反射していつもよりもキラキラしている。

まあ、正しくは太陽の光に反射した月の光で反射している・・・・だと思う。


「紅。しっかりバックにいれたんだと思ってるんだろ?」


私は軽くうなずいた。

うなずいている私を見ながら、瞬は私にスマホを返す。


「チャック、開いてたよ?」


「え!」


今初めて気が付いた。


急いで、チャックの空いた、バックの中の物全てを出した。

ティッシュ、教科書、タオル、ジャージ、図書館で借りてきた本・・・・どれもバックの中に入っていた。


スマホを除いては・・・。

短く刈られている芝の上に出したものをまた入れ直す。


そして、スマホも・・・・

という気になれず、スマホは持っていることにした。


「本当に簡単に信用しちゃダメだぞ。それに紅、『運命の出会いだ』って浮かれてときめいてただろ」


「してませんっ!」

頬を膨らませて怒ってたが、本当にそうなのか・・・。


「・・多分」

小さな声で付け足したが、瞬は聞こえていないようだった。


「本当に人の心を読み取る力が浅いな・・・いちごは」


「はああ?」


やっと瞬が「紅」って言ってくれたのに「いちご」に逆戻り?!


怒りながらで瞬を見返した。

「そんなこと言ってる、瞬こそどうなのっ!

 私が嫌がってるにも関わらず、私のコンプレックスである赤髪を『さる』とか『いちご』ってからかってさ!自信がなくなるだけだよ、気持ちもわかっててくれなかったしさ」


「くれなかったって過去形?」


かっこつけのアイドルみたいに横から私を涼しい顔で見てくる。

で、私は直視してしまった・・・。

思わず、顔のパーツをしっかりと眺めてしまう・・


やばい、クラッと来た・・・。


「その気持ちって何?嫌いとか好きとか?」


妙に「好き」の言葉が目立って聞こえた。


しかも瞬は顔を近づけてきた。

うわっ・・ダメっ・・やめてっ

怒りと一緒に顔、真っ赤になるうっ・・・!!


「ちょちょちょちょちょちょちょちょっ止めて止めてっ」


きっと瞬には真っ赤な顔がバレバレだ。

近づけないように体を下に下にのけぞる。

なぜこの時引く方を選ばなかったのかは自分でも謎だったけど・・・。


「紅は」


ふと瞬が足を止める。


でもそんなタイミングに体ののけぞりが限界を超え、どてっと芝に座り込んだ。

なんだろう・・この空気・・・


「俺のこと、どう思ってんの?」


私は瞬を見上げた。

その顔は真剣そのものだった・・・学校では見せない真剣な顔。

そしてなぜかそれでドキッとしていた自分がいた。


私・・・きっと瞬のこと好きだ・・・現在進行形。「好き()()()」じゃない・・。

でも・・・そんなこと、到底言えないよ・・・。



__「関係あります・・・そうやって手を出して・・・俺の好きな人に・・だからもうそうやって傷つかせるのやめてください・・」

瞬のさっきの言葉が脳裏をよぎった。




「じゃあ、逆に聞くけど・・・瞬は私のこと、どう思ってるの?」


オウム返し。

瞬が言ったことと同じこと。


しかし瞬は悔しそうに唇をかみしめて、髪をぐしゃぐしゃにして、「そうきたかっ」とつぶやいた。


「このこと、クラスの人に言うな」


そう言いながら、私を芝から立たせる。


「・・・・・・俺は紅のことが好きだ・・・」


立たせた時から自分の視線がどこに行ったのかよくわからなかったけれど、なぜか瞬にピントがしっかり

合った。


それはいつもの瞳だった。でも、いつものものじゃない・・・。

黒い、真っ黒な瞳の中には月に負けないくらいの、光が宿っていた。


またクラッときたのをこらえるように、生意気に言った。


「でもそれならなんで、赤髪をからかうの?私が嫌いって知ってるよね?」


「そ、それはかっ、かわいいからだっ。お前といるとからかいたくなるっ」


瞬がここにきて照れた。私もつられたように照れる。

・・・・こんなこと言われたの初めて・・・。


「で、紅は?俺のことどう思ってるの?」


そうだった・・・答えまだだった・・・


「好きだよ」


「友達として?」


「ちっ違うしっ!ここにきて友達としての好きはないでしょ!」


なぜか必死に否定してた・・・。


「ね、今日は一緒に帰ろ?もう暗くなったし」


それを隠すようにバックを肩にかける。

瞬を置いていって欅の下からスタスタと抜ける。


「ずるいぞ、一緒に帰るのにっ」


「えへへ、別にいいでしょ?私が一番!」

月はしっかりと私たちを見守るように、照らしていた・・・・。




「ところで、私たち付き合わない?」


「軽いな、もっと重い言い方ないのか?」


「重い言い方・・・?ん・・・『私と付き合ってくださいっ』」


かつての大輔先輩のように礼をした。

のは一瞬、すぐに起き上がった。


「答えは?」


「YES?」


「ねえ、なんで「(はてな)」なの?もっとはっきり言ってよね」




最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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