目覚めてそれから4
暗い、真っ暗だ。これは夢か?夢だな。
暗い空間に男はいた。他には何もなくただ暗いだけ、そこに一筋の光が差した。男は眩しい光に背を向けて眠ろうとする。
「ちょ、待った待った!?」
光の中から声がしたが男はもう眠る体勢に入っていた。
光の中から言葉ではいい表せない美女が急いで現れると男を指差して怒鳴りつける。
「あんた!何夢の中でまで寝ようとしてんのよ!!」
見た目とは裏腹に男に対してきつく怒鳴りあげる女性、止まらない罵声を延々と言われ続けて眠れる訳もなく男は女性のほうを向く、男はすごく不貞腐れているような雰囲気を醸し出していた。
「あんた何夢の中でまで惰眠を貪ろうとしてんのよ!ほんっと信じらんない!」
「ったく、うるさい・・・・なんなんだお前は。」
「あら?何よ、やっぱり興味あるんじゃない、まぁ私ほどの美貌にもなればほっとくはずないのは分かりきっていることだし・・・」
脈絡無く女性は腹がたつくらいのドヤ顔で自分の美貌に自我自賛しだすと延々と言葉を繋げていた。それを見て男は呆れてまた眠ろうとする。
「神の称号を持ってる男達も皆私を、、、って眠ろうとするんじゃないわよ!!」
「いったい!」
女性は寝かけている男の頭を思いっきり殴りつける。男の眠気は完全に覚めてしまい同時に男の〝夢〟も終わってしまう。
「あぁ!しまった!〝起こし〟ちゃった!」
男は殴られた衝撃で意識が何かに引っ張られる感覚に襲われると目の前の女性と光が一瞬で黒く染まり消えてしまう。
「・・・・ま・・・・きな・・のか・・」
「か・・・三・・・・」
何やら話し声が聞こえるそう思った男は瞼を開けると知らない天井が見えた。部屋の脇にはメイド服を着た女性二人と初老の様な執事が一人。身体を起こすと目の前には一目でイケメンと分かる程顔の整った男が立っていた。
「私の名は【アルバレス・レクレイション】だ!この国の王子である。貴殿に、わぷっ」
「うるさい、少し黙れ・・・」
金糸は手元にあった枕をアルバレスと名乗った男の顔目掛けて投げた後、現在の状況を考える。しかしいくら考えても答えは出てこなかった。