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第1章「動物に好かれすぎてる男と謎の夢」1



『━━━━━助けて』


あぁ、またこの夢か。


真っ暗な世界の中で、どこからか女の子の声で『助けて』と言っている夢を見ている。


声の主が誰かがわからない。声も聞いたことないし、毎回姿を表さず、叫び声だけが聞こえるのだ。ある意味悪夢だ。


もう何ヶ月も前からこの悪夢を見ている。


毎日ではないが、一週間に二、三回のペースでこの夢を見る。

勘弁してほしい。


そして毎回俺はこう問いかける。


「━━━君はだれだ!?誰をどう助けたらいいんだ!!」


だがいつもこの質問に返事がきたことが無い。


『━━━━━助けて』


「だーかーらー!どうやって助けるんだよ!!毎回毎回いい加減キレるぞ!?」


いつもこんな感じだ。そして朝起きてこの時既にキレているのを自覚する。


何故助けてと言うだけなのか。声の主は一体誰なのか。どうして俺なのか。


全然わからない。


そしていつも目が覚める前は、


『━━━━━いいから』


「は!?何!?」


『━━━さっさと助けなさいよーーー!!!』



「うおおおおあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」


そして毎回飛び起きる。叫びながら。



助けてと言っておいて、いきなり大声でさっさと助けなさいよってどんだけ偉そうなんだよ。助けて貰う側の言う事じゃないでしょ。


毎回この悪夢を見る度にこうやって起きるのは流石に



「━━━ほんと、勘弁してくれ………」



俺は見る度に起きては、しくしく泣くのであった。




泣いてないけどね!




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



自己紹介をしよう。

俺の名前は高橋築希たかはし キズキ。希望や奇跡を築き上げるって意味らしい。

ちなみにばあちゃんが付けてくれた。ばあちゃんありがとう


高校二年の十七歳。彼女いない歴=年齢。うるせー


今、俺は自分の家のリビングで朝ごはんを食べている。


「はぁ〜………」


「━━ため息付いたら幸せが逃げるわよ」


すると母が朝ごはんを食べながら言ってくる。


この言葉ってみんなたまに言うけど本当なのか?

でもまぁ、この言葉の返しは決まっている。


「逃げたらまた築き上げたらいい」


「ほんと自分の名前が好きね。おばあちゃんに感謝しなさい」


「感謝してるよ、主に自分に合ってないような所が」


「自分に合ってないってあんたね…」


そりゃそうだ。希望や奇跡を築いているなら、こんな悪夢を見る事なんてないだろうさ。


ちなみに俺達は三人家族。父は朝早くに仕事に行っている。俺は一人っ子である。


「それで何?また例の悪夢見たわけ?好きだね〜悪夢見んの」


「好きで見てるわけじゃないっつーの…」


家族には悪夢の事を言ってある。

だって同じ夢がこんな一週間に二、三回見る様になったら誰かしらに相談するよ、普通。


父は心配してくれたが、母が仰るにはアニメの見過ぎとゲームのし過ぎだそうです。んなわけあるかい。


「それで?女の子は助けられたの?」


「助けれてたらこんなため息付いてないよ」


「それもそっか」


そんな話をしていると、


ピンポーン


「あ、うそもうこんな時間?キズキ早く食べなさい、ゆずはちゃんが来たよ」


「もう食べ終わってるよ」


「あらほんと、じゃあ早く行きなさい」


キズキは制服に着替えて、玄関のドアを開ける。


すると、ドアの前には一人のにっこにこしてる女の子が立っている。黒髪のロングで身長は女子の平均並み。


「おはようキズキ!」


こいつの名前は照井柚羽てるい ゆずは。俺の同級生で幼馴染みでもある。

家がすぐ近いのと高校が同じなのでいつも一緒に行っている。


一つ、こいつの変わった特徴を教えてやろう。


ゆずはは大の化学好きである。何故こんなに朝からテンションが高いのかと言うと、今日の時間割に化学があるからだ。


何故ゆずはが、化学をこんな好きになった原因は俺のせいだ。


小さい頃に、若干中ニ病っぽくなる時期がある。ヒーローに憧れたりライダーに憧れたりする時期だ。

そしてその時期に、俺は変な知識を覚えた。


それは小麦粉に火を付けると爆発するという、粉塵爆発を覚えたのだ。

なんでそんな事覚えたんだろな。ライダーの方かな?


で、勘のいいヤツは、ここらでお気付きになるであろう。


そう、自慢したくなった俺は、家の倉庫で粉塵爆発をゆずはに見せたのだ。

そしたら案の定大爆発をし、俺達はほぼ無傷に済んだが、警察沙汰にまでなっちまった。あの時の怒った親の顔は忘れない。怖かったさ、本当に。


そしたらゆずはは、その爆発に、何かが心に惹かれたのだろう。それから化学系の事が好きになり、その後も粉塵爆発をしようとして怒られたりしていた。


ハマりにハマったゆずはは、化学を勉強しまくって、この前なんかわからん賞をゲットしてたな。


そして今にあたる。子供時代、恐ろしや。


みんなも実験する時は大人の人とするように!色々とやばいから。


「おはようゆずは。じゃあ行くか」


「はい!」


「行ってらっしゃ〜い」


「「行ってきます」ま〜す!」


母にそう行って、俺達は学校に向かった。


ってなったらいいんだけどな。そうならないんだよ、残念な事に。


今の時間は七時半前。高校生でこの時間に歩きで学校に行くやつは少ないだろう。


何故なら、実は俺にも変わった特徴がある。特徴なのか身体の性質なのか知らないが…、



にゃぁ〜


「はいはい、いってきます」


近所をナワバリとしている、少し太った虎柄の野良猫が擦り寄ってくる。


俺は、その野良猫を撫でながら挨拶する。



チュンチュン!


家の柵にすずめが何羽かとまっている。


俺は、すずめ全員に頭を撫でていつもの挨拶をする。



ワン!ワンワン!


家の近くのとこに飼われている犬のゴールデンレトリバーに吠えられる。


「こら、余り吠えるなよ。いってきます」


クゥンクゥン


俺がそう言って柵の間から頭を撫でると嬉しそうにする。


他にも、他の野鳥や別の野良猫だったり、散歩してる犬にも寄ってきて、頭を撫でるのを繰り返す。


そう、俺は異常な程に動物に好かれるのだ。


先程のなんでこんなに早く出るのかというと、動物達に付き合わなければならないからだ。嫌じゃないから余計撫でたいんだよ。それで時間がアホ程過ぎるんだよ。


小さい頃には余り気にしなかったが、成長していくにつれて、だんだん動物達が俺に懐いてくるようになった。たとえ初めて会った動物でも、野生であろうとも。


中学校の時の遠足で、動物園に行ったのだが、あれは本当にやばかった。もう動物達が俺が来るとメチャ鳴くわ走り回るわで凄かった。

いくら動物が好きでもあれはちょっと怖かった。


だってライオンとかチーターとか、いくら柵ごしだからって目の前に来られたら怖いだろ?普通に考えて!可愛く感じてしまったけど!


だいたいほとんどの動物に好かれる。流石に虫と植物はなくて良かったけど、トカゲとか魚にも好かれるね。魚はちょっと普通よりちょっと?って感じだけど。


あ、そうそう。水族館に行ったらイルカとかペンギンに懐かれたんだよ、あれはスゲー嬉しかったなぁ。白熊にはビビったけど。


まぁそんな感じで俺は動物に好かれすぎているのである。

我ながらどんなんやねんってツッコんじまうぜ。


そんなこんなしながらやっと学校の校門までやって来た。


「はぁ〜やっと着いた…。今日も疲れた…」


「あははは。今日もモテモテだね〜」


「ははは、ソダナ…」


これが人間の女の子だったらいいのにな。あ、今なんかゲス顔になってそう。やめろ俺。


ようやく学校に着いて八時十分。見事に約三十分以上動物達と遊んで来ました。毎日ハードだ。たった十分もしない距離なのに。


「よし、じゃあ学校に入━━━痛っ!?」


学校に入ろうとした瞬間、頭が急に激痛に襲われた。


「━━え!?ちょっキズキ!?大丈夫!?」


キズキが頭痛で地面に膝をついて蹲る。


「…あ……頭が………い……ぁぁぁ………」


「ちょっと!しっかり━━よキズキ!━━って━━━キズ━━━━!」


だんだんとゆずはの言っている事が分からなくなってきた。


(ダメだ…意識が………)



キズキは何か、黒い底なし沼の様な感覚で落ちていった。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



また、夢の中にいた。

暗闇の中で、誰かわからない女の子の声が聞こえる。


『━━━助けて』


だから誰だって。


『━━━助けてよ』


あのな、お前が何者でここはどこだって毎回聞いてんだけどさ。


『━━━お願い』


お願いって言われてもあのな、お前━━━


『さっさと助けろって言ってんでしょーーが!!?』


「うおおあああぁぁぁ!!?ってだから急に怒鳴るなっつーの!!」


いつもの怒鳴り声。だが今回はちょっと違う。


「ってあれ?頭痛が感じな━━━━━い?」


先程まで感じていた頭痛が消えている。


先ほどまでいた暗闇が、急に上に上がって行っている。


「?」


いや、違う。キズキが下に穴から落ちたように、急降下してるだ。


下を見たら緑の森や綺麗な湖、中世風のヨーロッパみたいな街が見えた。


超高い。標高千メートルぐらいのとこでキズキが落ちている。


「ってなんで急にバンジーしちゃってんのぉぉぉぉぁぁぁぁーーーーーーーー!?!!?!?」


あ、俺死んだ。


本当に、心の底からそう思った。


さっきの暗闇の夢から何故お空にダイブしてるのかはわからないが、とにかくどうしよう。



「あ、夢かー!!そうかー!!なら安心だー!!」


もう一回下を見る。緑の森や綺麗な湖、中世風の


「んなわけあるかぁぁぁぁーーー!!!」


とにかく意味のわからない状況だが、現実であることに確信した。夢であって欲しかっぜ!


「命綱ぁぁぁー!!?は無いよねぇぇぇー!!ですよねぇぇぇー!!はぁーーはっはっはー!!!wwwww」


やばいやばい頭が完全におかしくなってきた!


「やばいって地面が!?地面がぁぁーー!!!死ぬぅぅぁぁぁ!!」



もうすぐで地面に当たるというとこで、本当に死ぬのかと思った瞬間に、


「━━━おうっ!?おっ?おっ?おっ?」


不思議な力の様なもので、急に落下速度が激減し、地面から三メートルぐらいの高さで落下が一旦止まって、背中からまた落ちた。


「━━!?あ、いてっ」


俺は大の字になって倒れた。あの高さから落ちて、更に急な状況にパニックになって色々と叫んで疲れてしまった。


「はぁっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ……ゲホゲホっ!…おぇ………はぁ……」


あの悪夢からのお空へのダイブ。その時に見えた景色は、自分が感じて思った事は、絶対にありえないと思っていた事だった。


「はぁ……はぁ……どうやら…はぁ……異世界に…来たみたいだな…はぁ…」


首を動かして周りを見る。どうやら、俺が落ちたとこは落ちてる時に見た森に落ちたようだ。


周りは短い芝生の様な草で触り心地がよく、柔らかかくて、二回目の落下の時の傷はなさそうだ。


他には上からじゃあ気付かなかったが、周りに生えてる木が物凄く大きい。この木の大きさからだと森は結構広い事がわかる。


感想を言えば、


「神秘的で、スゲー落ち着く………」


俺はパニックしてる脳を落ち着かせる為、深呼吸する。


「じゃなくて、何であの状況から異世界に転移するんだよ…絶対あの夢と関係あんじゃんこの世界…」


どうやら、あの夢の謎を解くことによって、この世界に来させられた理由がわかるだろう。直感で感じたことだけど。


そう言えば、森の近くに街が見えた。まずはあの街に行った方が良さそうだ。


「でもちょっとだけ、休憩しよう…」


俺は、休憩してから街に行こうと決めて、この異世界の神秘的な森の中で体を休めた。




第1話です!


こんな騒がしい感じで書いていきます。


これからどんどん書いていくのでよろしくお願いしますm(_ _)m





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