666 【 バグ化生物 誕生論 3 [ 数字性質 ] 】
ひとつ。自己同一性、アイデンティティ。自分が何なのか、または何をすべきかを主張しなければならない――『証明』。ロボットならロボット、機械なら機械だと。表してみよ。
ふたつ。言われた事は必ず やり遂げねばならない――『義務遂行』。ロボットなら服従、機械なら操作性。命令には従え。
みっつ。自己を守る――耐久、『護身』。
人がいた。人の話。世界を造ろうとした、人の話だ。
人は、まず理想を掲げた。まずは起だ。世界はきっと、こうあるべきだと。完全なる世界を頭に描き、創りたいと願う。
次に人は人を助ける。理想だけを唱えていたのでは何もならない。ひとりではできない。協力しなければ。手を貸さねば。ひとりで できなければふたりで。ふたりなら、きっとできると。
そうして結果が出た。形となってまずできた。見て見てほら、上手くできたよ成功だ、と人は達成感に酔いしれる。
上手くいったら自信がついた。もっと見て褒めてほしい。褒めて褒めて、もっと自分を褒めて認めてほしい。自分は自分、自分しかいないのだと。
さあ自分の事はもういいか。周りを見て。周りの人は、何を思っているのだろう? と思いにふける。
周りの人の懐に飛び込んでみる。そして周りに歩調を合わせて進んでみる。世界を皆で創りたいんだと息巻いた。
何て楽しいんだろう、懐の中は。こんなにも楽しいものだったなんてと気がついた。それではこの湧き上がってくる喜びと楽しさを、どうか周りにも分け与える事ができないかと考える。分け与える。
力が みなぎり、さあ今なら。世界を、今なら大きなものができるだろうと確信する。やってみようとやる気を出せる。
そうしてできた世界は完全。これが世界だ。自分は強いし、何でもわかる。だって今までに ほら。自分の中で血となり肉となり、培ってきたものがあるのだから……と。
1から9までの性質。生きている あなたは今、どのあたりにいるのだろうか。
理想、支援、成功、個性、観察、調和、喜び、挑戦、平和へ。見てそしてまた理想へ。
円を描いてみてほしい。リング。永遠の象徴。生から死、死から生へ。
円周上にとられた9つの点は、線で結ばれる。崩れる事はない、バランスは すでにとられている。そしてその『9つの図』は名前をつけられ、とても人の役に立とうとしていた。
本能・感情・思考。
そこに証明・遂行・護身。
これに興奮・活動力・安心を促す3つの神経伝達物質の量を調節し加えて出たものが。
―― 性格である。
―― すでに科学で証明された。
科学も人も、完全を求めて旅に出る。
水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、今は外れて力なき冥王星。
この太陽からの9つの星を結んだ図を神は何処からか見下ろして遊ぶ。
この調和の宇宙を。銀河を。星を。創りあげたものを。
だが輪を乱すものを、神は認めない。決して認めない。認めない。
さあ輪から外れた『野獣』よ。何処へ行く?
ある天才はその頭脳を以てして彼らの『再生』に臨んだ。夢を描いていた。
――ただ周りには、『理解』されていない。