第4話 資産、自由に
ステータス表記始めました。
何かステータス上でGETしたものが有れば、最後に書くように致します。
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『なまえ』 :しゅせんど
『ねんれい』 :15さい
『しゅぞく』 :にんげん
『いのち』 :10(HP)
『せいしん』 :10(MP)
『たいりょく』:1(体力)
『じきゅう』 :1(持久力)
『ちから』 :1(攻撃力)
『まもり』 :1(防御力)
『かしこさ』 :1(魔法攻撃力)
『すばやさ』 :1(素早さ)
『せっとく』 :1(説得力)
『こうしょう』:1(交渉力)
『こうかんど』:1(好感度)
『あい』 :1(愛)
『しんこう』 :1(信仰)
『ていこう』 :1(抵抗力)
『みぶん』 :じゆうみん(身分、自由民)
『すきる』 :なし(スキル)
『そのた』 :なし(その他)
『もちもの』 :ぬののふく、ぬののぱんつ、はんずぼん
『おかね』 :490イェン
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※シュセンドはまだ”システムウィンドウ”を買っていないので上記ステータスは自由に見れない。
◇◇◆◇◇
さて、一つの決意を胸にコゼニ村の大通りをぶらぶらと歩く。
”この世界の理不尽を札束でぶん殴る。”
そう決めると自然と笑顔があふれて来た。なんせ”MoA”にはバグや仕様でぶん殴れなかった理不尽が目に余るほどある。その理不尽をぶん殴るには最高な目標だ。
しかし、その為にはまず”札束”が必要なのだ。
かね、カネ、金である。騎士としては恥ずかしいがただの平民としては恥ずかしくないもん。
今の自分自身の資産を挙げる。手元にはなけなしの490イェン。そして時給20イェンの宿屋の奴隷。
しかし、1500イェン有れば、”序盤特有のあるイベント”で稼ぐ当てはある。まずは1500イェンが当面の目標だな。
そもそも、”貧民”モードの上を行く”大貧民”モードでいいと直ぐに受けたのは、そちらの方が楽しそうという考えもあったが、それ以外に明確な理由があった。
簡単である。”カネヤン”こと__シュセンドはこのゲームで稼げる方法・イベント・ポイント・選択肢は全て暗記していた。裏技一歩手前、やりこみ勢による知識チートってやつだろう。
その知識チートからの悪知恵もいくつか考えついている。ゲーム好きなら一度は考えたことがある”ゲームの中の主人公ってなんでこうしないの?バカなの?死ぬの?”を地で行くだけだ。
前世の病気で寝込んでいた際にはゲームと時間だけが友達だったから、妄想にはことかかなかった。ってかアン◯ンマンより友達少ねぇな。おぉ、漫画や映画や動画や音楽も友達だったね。
__但し、シュセンドには”MoAの知識”はあるが、“それ以外の知識”にはほとほと疎かった。これが全ての足を引っ張ることになるのはまた後の話である__
◇◇◆◇◇
シュセンドは意地の悪そうな、くっくっと擬音が付きそうな笑顔をしつつぶらぶらと村を歩く……そして、目的地に到着した。
目的地とはこのコゼニ村の入り口。ある人物に会う為だった。その人物はシュセンドの姿を見ると気さくに話しかけてくる。
『やぁ、ここはコゼニ村。小さな宿場町だよ。』
そう、RPG名物”村の名前を言うだけマン”である。温和そうな目を細めた顔の青年だ。額には謎の紋様が入ったバンダナを身につけ、こちらへ笑顔を向けて小さく右の手の平を向けて挨拶してくる。シュセンドも笑顔を返しつつ、至って普通を装い話しかける。
「こんにちは、お兄さん。何をしてるの?」
『俺?俺は村の入り口の警備だよ。嬢ちゃん…いや坊ちゃんか。見ない顔だね。名前は?』
「俺はシュセンドっていいます。お兄さんは?」
『俺はモントリオだ。それで、何か用事かな?』
「いえ、最近この村に来たので挨拶です。」
『そうか、そりゃいい心がけだ。』
「少しモントリオさんとお話したいんですけども、宜しいですか?」
『あぁ、いいぞ。何も起こらない平和な村だからね。』
「今って何月何日なんですか?」
『!!!マジで言ってんのか!?…8の月1の日だ。』
「ありがとうございます。それとこの村ってどの国の領土なんですか?」
『なんだ、本当に何も知らないんだな!!ここはただの宿場町だからどこ国の領土でも無いぞ。』
「そうなんですか…この村の北と言えば、シヘイ王国のキチユシティでいいのですか?南は何がありますか?地図とかって持ってますか?」
『そうだな、北はカンゼの森を超えればシヘイ王国、町の名前までは知らないけどね。行ったこともないからな。南はキッシャン帝国だな。地図なんてあるわけ無いね。見たことも無いな。』
「ありがとうございます。あとは…最近この村に魔物が攻めて来た覚えがありますか?」
『ここ1ヶ月はないね。前に来たのは”ブラス”と”ニケル”共だったよ。多くは無かったので冒険者共と協力してすぐに追い返したよ。』
「そうですか…それじゃあ、”スマートフォン”って知ってますか?」
『何だいそりゃ?モンスターか?』
「いえ…ご存知無いならスミマセンでした。それとこの村に勇者が来ているって聞いたんですけども…」
『おいおい、勇者サマ!?そんなのすぐに噂になってるよ!誰からそんなデマを聞いたんだ全く!』
「えぇっっと…村の子供です。……それでは、お仕事頑張って下さい!」
『おぉ、言われなくともさ。じゃあな、変な坊ちゃん。』
そういって軽く会釈をした後、モントリオに背を向けてその場を後にする。長い会話では有ったが、収穫も有った。村の大通りを歩きながら、顎に手を当てて考える。考えるシュセンド。考える人。
◇◇◆◇◇
……会話の内容を思い返して見る。まぁ、”概ね80点”って所だろうか。
詰まる所、”村の名前を言うだけマン”の元に向かった理由、それは”情報”。”情報”が欲しかったのだ。
そこらへん歩いてるやつに聞け?俺は人見知りなんです〜。それにmy裸見たやつもいるかもしれないのに平然と聞けるか!!
シュセンドが欲しかった”情報”は以下だ。
◇◇◆◇◇
Q1.”村の名前を言うだけマン”は村の名前を言うだけなのか?
→これは「ゲームのキャラクター、特にモブはゲームの中と全く同じ会話がしかしないのか」を調べる為。
宿屋のイノッチ母さんやステ屋のヒゲ親父がゲームに無い会話をしてきた為に出てきた疑問だった。
A1.村の名前を言うどころか自由に会話する。モブを含めて、恐らく全ての人が。
→つまり、”ゲームのキャラクター”でなく”人間”であると考えざるを得ない。
噛み合わない会話には反論もするし、疑問もぶつけてくる。そして、感情も有るようだ。
”大貧民”モードの弊害か、悪魔の仕業か…
これは、最も有益な情報では有ったがこの後の展開がやり辛くなってしまった。
何故なら序盤おなじみの”仲間キャラからの装備の剥ぎ取り”や、”良NPCだけど助けるのに理不尽に金がかかるやつ”のイベントは見直しが必要だ。全身鎧を剥ぎ取られた半裸涙目の女騎士や、家宝の宝石を剥ぎ取られた恨みがましい瞳の踊り子と酒場で別れるのはお断りだぜ!
ゲームの中で人が死んだらどうなるのか、は把握しときたい。強制イベントで見る機会はたくさんありそうだけどもね。ついでに言えば金さえ払えば生き返るんだけどもね、うん。後味悪くならないようにしたいし。
それに中盤からの”アイテム売値と買値の差額によるなんちゃって錬金術”も使えないかも。100個単位でアイテム売ろうとしたら買い取れないとか言われちゃったりして。。
あ、スマホは1999年製のゲームだからか、流石に知らなかったみたい、知らない単語への反応が見たかっただけなんだけど。
Q2.地理、日付、勇者などのこの世界の基礎情報
A2.ゲームの中と全く同じ。
これは自分の記憶との答え合わせだ。今の所、完全に一致している。
地図について聞いたのは記憶の中のワールドマップを描いて売れないかと言う下心だが、精巧すぎるとどうやって書いたかが分からないし…ううむ、難しい。保留かな。
Q3.時限イベントあるいは強制イベントの進行度チェック。スタート日の確認。
A3.序盤の展開と全く同じ。
これはイベント進行度により行けない場所が出て来たり、会えないキャラが出てくる為の把握だ。逐一把握が必要な最重要項目だと思っている。あと、時間経過でモンスターの強さにも依存してくるので注意が必要だ。あぁ、でも金さえ払えば行けない場所にも行けるんだよな、うん。バグらなきゃいいけど。
◇◇◆◇◇
ここまで頭の中で考えてシュセンドは総括をする。
この世界は”MoA”というゲームの中、それは記憶と一致するので間違いないだろう。
しかし、その中で暮らすキャラクターは、心の通う人間と言っていいのではないだろうか。
よって、シュセンドは若干、目標を修正した。
”ゲームの理不尽は札束でぶん殴る”…が、”他人に迷惑をかけない”
この瞬間、シュセンドは正攻法でこの理不尽ゲーを全うに攻略することにしたのだ。とは言え困難な道では無い。”情報”も”稼ぎの手段”もいくつも頭に浮かんでいる。今はこれがシュセンドの”資産”だ。
資産を試算して自由に運用するこのゲームの醍醐味__そういやペラペラのソフト付属説明書にそんなこと書いてあったかもなぁ。資産、試算、四散、4×3…そういえば、と思い出して思わず呟いた。
「資産、自由に……だが悪巧みで儲ける悪人はバクハツ四散!」ん?なんか説明書の煽り文と違ったか?
そんなことを考えつつ、いつの間にか立ち止まっていたシュセンドは次の目的地へとまた力強く歩きだした。
グワ–
世界観はロマ◯ガに近いと思ってください。