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マッカーサーとソーサ

 マッカーサーとソーサは、血の繋がっていない兄弟のくせに、とても仲が良かった。何をするにも、どこへ行くにも、いつも一緒であった。しかし、食事の時間だけは別々であった。マッカーサーは食事の時に物凄く音を立てるため、それがソーサは耐えられないほど嫌だったのである。そんなある日、マッカーサーは死んだ。

 ソーサは悲しくて泣いた。泣きに泣いた。泣きすぎて脱水症状に陥りあわや死ぬところであった。この悲しみを何かをして紛らわすことにした。しかし、何もする気が起らなかった。もう一度何かをしようとした。だがしかしやっぱり案の定何もする気が起らなかった。

 マッカーサーがかつて通っていた食事のマナー教室の先生であり、ソーサの血の繋がっていない妹であるエリザベヌの彼氏である俊彦も、マッカーサーの死を悲しみ泣いた。脱水症状に細心の注意を払いながら、こまめに水分補給を挟みつつ泣いた。すると、涙が溜まって湖ができたのであった。この湖を、〝としひ湖〟と呼ばれるようになったということは言うまでもなかった。

 その湖の周辺で、未確認飛行物体の目撃情報があったと聞きつけ、未確認飛行物体研究家が、その湖周辺にやってきた。その湖周辺に泊まり込み調査をすること一週間が経ったある日、遂に未確認飛行物体研究家は未確認飛行物体を確認することができた。

 ちなみに、その湖の畔は非常にデートスポットとして人気があり、連日多くのカップル達で賑わっていた。非リア充の未確認飛行物体研究家にとって、その湖での泊まり込み調査は、想像を絶する程のストレスであったが、「彼女がいたらデートの度にかかる費用を奢ってあげないといけないし、事あるごとに何かプレゼントをあげないといけないし、服装とかも気を使ってお洒落しないといけないし、ものすごくお金がかかる。でも実際、正直同性の友達と遊ぶ方が大分楽しいし。そう考えるとコスパ悪すぎ。自分のことにお金使える非リア充の方が実は勝ち組じゃね?」と毎日毎日自分に言い聞かせ、何とか精神を保っていた。それでもやはりストレスはかなりの強さで、この一週間で彼の頭の7箇所に、円形脱毛症が発症してしまった。

 その時は唐突に訪れた。それは彼が調査をひと段落終え、昼食を取ろうとしていた時であった。彼はシートを敷き、そのシートが風で飛ばないように、重りとして四隅に石を乗せることにした。その時、石だと思ってたまたま拾い上げた物体が、よく見ると未確認飛行物体であったのだ。驚くことに、未確認飛行物体は飛行していなかったのだ。その瞬間、この未確認飛行物体は飛行していなかったために、未確認物体となり、人に確認されたことにより未確認ではなくなり、物体となった。その名も、〝ただの物体〟である。

 一方その頃ソーサはと言うと、まだマッカーサーの死のショックを引きずって泣いていた。もうマッカーサーの死から10分も経つというのに。だがそれも仕方がない。何故なら彼らは、血の繋がっていない兄弟のくせに、とても仲が良かったわけだ。その時、マッカーサーは生き返った。ていうか生き返ったも何も死んでいなかった。そう、マッカーサーの死はドッキリであった。つまり、〝マッカ―なうソーサー〟(真っ赤な嘘さ)。二人は仲良く、未確認飛行物体研究家の会見を見に行った。もちろん、昼食は一緒には取らなかった。


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