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ポニーテールが消えた日

作者: ほりえ

朝方、ちょっと寒かったから、布団を引っ張った。僕が引っ張ったのは、布団じゃなくて、人の手だった。

冗談じゃない。本当に眠いんだ。休みなんだから寝かせてくれ。

いや、こんな状況、寝れるわけない。

怖くなって目が覚める他ない。

まだ布団から出てないけど、今僕は窮地の地に立たされている。

で、ちょっと考えてみた。さっき触れたとき、暖かかったし、まず死体とかではないのは分かった。それから、握りしめたくなるような可愛らしい手。女の子と予測した。

あと、今気づいたんだけど、この子僕に乗っかって寝てる。太ももあたりに重さがある。

すごく正体が知りたくなった。で、再び手を触れる。今度は手を握った。やっぱり握り甲斐のある手だ。

「んー……」

女の子が動いた。ちなみに、電気もつけてないから彼女の顔が見えない。

電気をつけて、カーテンを開けてみた。

それに合わせて、女の子の全貌が明らかになった。

ちょっと茶色がかった黒髪のポニーテールに、睫毛がながくて、ぷるぷるした唇に、小柄な体型……朝の日の出のおかげで、すごく輝いて見える。

この子、なんか、知ってる。というか、誰かに似てる。誰だろ…女優とか、アイドルとか、そんなのかな。

「あっ」

僕に気づいたのか、女の子は目をまんまるにして、こちらを見た。

「ごめん、びっくりしたよね」

彼女は照れくさそうに頭をかいた。びっくりしすぎて驚けなかった。

「何しにここにきたのさ」

僕、初対面の人間にいう言葉遣いにしてはどうだろうか。

「君の家特定してて、着いたら寝てた」

なにいってんだ、泥棒とやってることと変わらないじゃないか。どこから入ってきたんだよ。怖すぎるだろ。

「名前は?」

「当ててみて」

は?なんだこいつ。にこにこしながら当ててみてって。なんか、思いついたのでもいっとけばいいか……

「きい、ちゃん?」

「大正解」

嘘だろ。僕的好きな女の子の名前一位を挙げてみただけなのに。かわいらしくて好きなんだ、きい、って。

「でさー」

足をぷらぷらさせながら僕の方を見る。キッチンを指さしながら。

「お腹すいた、なんか作って」

これが初対面の会話か?一人暮らし一ヶ月弱の人間だぞ。

「何がいいの」

「一番君が好きなの作ってよ」

何気に一番困る返答だった。

「カレーしか作れねぇけど作ってやる」

「やったね!」

「じゃあ、材料ないからさ」

「うん?」

ちなみに今は午前7時頃。当然、家にカレーの材料などないわけで、近くのスーパーについてくる約束で、朝から僕の料理コーナーが始まろうとしていた。


今僕は、不法侵入された女の子と、彼女のためにカレーの材料を買いにいっている。世にも奇妙な物語そのものだ。

なんで僕怒らないんだろう、ちょっと、この状況を楽しんでいるのかも。

この子、なんか可愛いんだよ。あの態度、普通の人ならむかつくんだけど、可愛らしさを感じてしまったんだ。



それから、君の名前は?とか、どこに住んでるの?とか、誰かに似てるんだ、とか差し当たりないような質問、今じゃあ出会い厨呼ばわりされるようなことばかり聞いていた気がする。

女の子は、高森希衣と名乗った。希衣ちゃんも今年から大学生になるらしく、家が少し学校から遠いからと、引っ越しを予定しているそうだ。それから、何故か趣味の話になった途端話が噛み合い、カレーの材料選びや帰り際には、そのことで持ちきりになっていた。

プライドの問題もあり、腕を奮って作ったカレーは希衣ちゃんに大絶賛され、満足げな顔をして2杯平らげた。美味しいね、と二人笑いながら、朝のニュース番組について議論したり、料理番組を見て、これ食べたい、とか、それはちょっと出来ないな、みたいな話をした。


ここの近所からは大分遠いから、もう会えないねと言う希衣ちゃんは、どこか憂いの表情を浮かべているように見えた。

せっかくだから、と、連絡先を交換した。なんかあったら今度お茶でもしようと提案したら、希衣ちゃんは嫌な顔ひとつせずに、はい、と大きく頷いた。


携帯の着信音が鳴って、僕はいやーな顔をして出る。

「さっき電話したのになんで出ないのよー」

「ごめんごめん、ちょっと寝てたかなーって、ははは」

「もー、一瀬くんってばー、じゃね、ばいばい」

「ばいばい、理紗ちゃん」

ほぼ一方通行気味の会話だった。

これでも、僕はこの電話の主とお付き合いをしている。そう、「今カノ」というやつだ。



あれからしばらく経って、大学の入学式の日になった。僕は着なれないパリパリのスーツを着て、わちゃわちゃした集合場所らしき所にいた。仲のいい笠原が唯一の知人で周りは知らない人でごった返していて、元人見知りには堪えるものがあった。笠原はどこにいるんだろう。

何か趣味が合う新しい友達が欲しいな、と思った。ふと、この間希衣ちゃんと熱く語り合ったのを思い出した。あんな子、ここの大学にいたらいいのにな。そんなことを思いながら、席についた。

今日はご入学おめでとうございます、うんたらかんたら。

ここのホールは高校とは違ってとても大きく、理事長の声がやけに響いて、寝ようにも寝れなかった。隣に座っていたいかにも大学デビューしたてのテンプレ男子は、その隣の男子の肩をバンバンしながら、どっかに可愛い子はいないか、と騒いでいたが、理事長直々にご指名を受け、ちょっとしゅんとしていた。

と、ちょっとホールがざわざわし始めた。

「あの子可愛いよな?」

と、テンプレ男子が目をキラキラさせながら今度は僕に話しかけてきた。

「まぁ、確かに可愛いよね……うん?」

目をぱしぱしさせて、首を前に突きだして凝視した。誰かに似てる――気のせいかな。

「一年代表の、高森希衣です。この度は――」

耳を疑った。もう一度壇上を見た。間違いない。この間の、不法侵入して朝っぱらからカレーを作らされた、あの、高森希衣だった。

話を聞いている限り、あそこの上に立つのには入試の成績トップならなければいけないらしい。嘘だろ、てっきりバカだと思ってたのに。

一通り文章を読み終えると、ぺこり、と一礼し、席に帰っていった。

式が終わったあと、僕は真っ先に希衣ちゃんのいるところに向かった。

「同じ大学だったってなんでいわなかったのさ」

「ミステリアスなほうがいいじゃん」

「でもよかったよ、知り合いいてホッとしたというか」

「偶然って、すごいよね」

「だね、ほんとに、そう思う」

少し目を逸らして、なんでもないような声で呟いた。

「私、数学科だから。一瀬くんは、人文学とかでしょ」

ぎくっ。どこの科だとか、そんな話はしてないのになんで分かったんだ?

「な、なんで分かるんだよ」

「超能力」

すっとぼけたような顔をして、胸の前で両手の指を広げて構え、ぐにゃぐにゃさせながら僕を見た。僕は無関心を突き通して真顔であっそ、とだけ答えた。

「もうちょっとマシな受け答えができないの?」

もー、と言いながら頬を膨らませる希衣ちゃんはなんか可愛かった。

「でね、帰り一緒に帰ろうよ、私達、“友達“じゃない」

友達。そっか、馴れ初めは異常なものの、希衣ちゃんとは友達なのか。ちょっと嬉しかった。

「いいよ、じゃあ門の前で待ってる」

「わかった、そろそろ講義室に行かなくちゃ。終わったら速攻行く、ばいびー」

早口に用件を伝えると、希衣ちゃんは人混みの中に消えてしまった。


教科書を貰ったり、授業の説明を聞いた後、友達作りそっちのけで息を切らせて門へ走った。

あの長い髪に小さな背丈、それでもリクルートスーツなるものをきこなしているのには、ちょっぴり大人びた要素が絡んでいた。声をかけるのすら躊躇いかけた。

「うっす、高森“さん“」

「なんで苗字で呼ぶのよ」

さっきの壇上に上がった成績トップの人と話すのも気が引けるな、と思って、わざとさん付け苗字読みで呼んだ。

「なんとなく」

「へぇ、私はじゃあ一瀬くんで突き通す」

「おう、じゃあ帰ろっか、高森さん」

で、入学早々男女二人で一緒に帰るのは結構勇気のあることらしく、あいつらもうできてんのかよー、とか、ジロジロ見てくるやつらも多数いた。それでも僕は構わず、希衣ちゃんと話し続けた。


ここの大学は、山のど田舎に位置しており、所々で満開の桜が見られた。

少し立ち止まった。ざわざわっと、強い風が吹くと桜の木が騒ぎだした。それと一緒に、大量の桜吹雪が僕たちを襲った。希衣ちゃんの方を見ると、まるでTVの演出かのように、桜と一緒に綺麗な髪をなびかせていた。ただ上を見上げていた。でも、それと一緒に虚ろげな表情を見るとなんだか胸が痛くなった。

「桜見るとなんか、空しくなる」

ぽつりと呟く唇の近くに、雫が見えた気がした。

「なんで泣いてんの?」

横からボーッと希衣ちゃんを眺めていて、急に僕に話しかけられた希衣ちゃんは、あわてふためいて、

「目薬差してるのよ、花粉症がひどくてね」

スーツの左ポケットからおもむろに目薬を取り出した。

「もう、ほんと花粉症だいっきらい」

と言いながら両目に目薬を何滴も差して僕に見せた。子供っぽい考えの彼女に、くすり、と笑いが溢れてしまった。


駅に着いて、希衣ちゃんとは反対方向の電車に乗った。車窓からは、先程見た桜より少し劣るものの、綺麗な薄桜色の並木が見られた。最寄りに着いて、一呼吸したとき春の匂いが鼻をくすぐり、今の季節を実感した。



あれから、驚いたことがもうひとつある。

希衣ちゃんが僕の隣の部屋に引っ越してきたのだ。

入学式を終えて、一ヶ月経ったくらいの時だった。

ピンポン、と短く押されたインターホンの音に気づいてドアを開けた。

「隣に引っ越して来たから、よろしく」

隣近所で仲良くしましょうねということで、こじゃれたデパ地下プリンを頂いた。なんでこんな時期に引っ越してきたんだろう。

「なんで今更引っ越しなわけ?」

「やっぱ家から通うの疲れるし、ここの家賃すごく安かったから」

確かに、ここから大学に行くのに電車で30分もあれば行ける上に、家賃もいいという好都合のアパートだったので、希衣ちゃんも気に入ったんだろう。

「一瀬くんの隣がちょうど空いてたからまぁいいかなって。あと、そのプリン」

さっきもらった紙袋をビシっと指さした。

「わたしも食べたくて2個買ってきたの、一緒に食べよう」

ははあ、僕に全部くれるわけじゃなかったのね。2個も食べれないからよかったかも。

「もう前みたいに不法侵入しないでね」

「給料前でご飯に困ったら、ちゃんとインターホン押してからにするって」

「図々しいなぁ。まぁ、上がってってよ、ちょっと散らかってるけど」

ちょうど小腹が空いてたから、希衣ちゃんナイスタイミング。ちなみに、ちょっとじゃなくて、結構僕の部屋は散らかっていた。


「コーヒーとか飲めるかな?」

「今は大丈夫だよ」

「前は飲めなかったとか?」

「そそ」

幸い食卓だけは綺麗にしていたので、助かった。座ってから、部屋を見渡す希衣ちゃんに僕も変なものが落ちてないかヒヤリとしながらお湯を沸かしていた。

「ねぇねぇ」

なんか落ちてたのを見つけられたのかとビクっとした。

「なに?」

「なんで椅子二つもあるの?いらなくない?」

それは、今付き合ってる理紗ちゃんが、遊びに来たときにと思って買ったけど、最近彼女とは仲違いになっていて、正直無駄かなぁと思っていた曰く付きの一品だ。

「お客用だよ」

「一瀬くんって友達そんなにいなさそうなのに」

直球で物事をいう希衣ちゃんは嫌いじゃない。むしろ好感が持てる。

「るせーな、見かけによらずいるよ」

「そうなんだ、でも彼女はいなさそうじゃん」

価値観の合わない残念交際ならしていますがね。こいつ、どこまで僕を馬鹿にするつもりだ。

「残念だったな、いるんだなそれが」

へへっ、とほくそ笑んで、それと同時にお湯が沸いた。

希衣ちゃんを背にしていたので、表情が全く分からなかったが、こればかりは見なくても分かった。沈黙というか、間が空いた。気まずくて、急いでお湯を注いだ。

コン、とティーカップを置いた時に希衣ちゃんの顔をチラリと見た。一ヶ月前の、あの表情をしていた。

「……別に自慢するつもりはなかったんだけど、怒っちゃったとかならごめん」

「ううん、ちょっと考え事してて、そんなことよりプリン食べよう」

多分、プリンが待ちきれなかったんだな。さっきの件についてちょっと気になったけど、美味しそうなデザートがあるなら、楽しく食べようじゃないか。二人揃っていただきます、と一礼し、頂くことにした。

もったいぶって、ちょびちょび食べる希衣ちゃんに対し、僕は構わずガツガツとものの数分で食べてしまった。

「朝から並んだのに、もったいない」

そんなことを言いながら食べる希衣ちゃんのプリンは3分の1も減ってなかった。

「確かに勿体ないことしたな、もっと食べたい」

「仕方ないなぁ、口開けて」

何を思ったのか、希衣ちゃんは自分の食べていたプリンを、ちょびちょびスプーンですくっていたのより、奥から深くすくって僕に食べさせてきたのだ。

「ちゃんと味わって。高級感をもっと感じるから」

「う、うん」

ごくり、とプリンが喉を通った音が嫌に響いた。ちょっと、顔が火照る感覚があった。突然すぎて、何がなんだか分からなかった。これって、つまりは、か、間接キスというやつなのでは……

再び、沈黙が流れた。でも、この沈黙は和やかな、温度高めの一時だった。

でも、僕は、胸の高鳴りがした自分に対して、罪悪感を感じざるを得なかった。

彼女がいるのに、他の女の子になんでドキドキしてしまったんだろう。きっと、そういうことされると誰でも恥ずかしくなるよ、だから今の感情は偽物なんだ。


理紗ちゃんとの過ごした日々が徐々に思い出された。一緒に帰ったこと、夏祭りに行ったこと、クリスマスプレゼントを交換したこと。

どれも、ごくありふれた恋人らしき過ごし方。もうじき僕たちは付き合って2年になる。僕はこの2年がすごく長く、長く感じられた。勿論、彼女のことは大好きだ。楽しかった。でも、何か種類の違う「楽しかった」の気がするんだ。


プリンを食べ終えたあと、希衣ちゃんは満足げな表情でご馳走さま、と手を合わせ、帰っていった。

実は、このあと理紗ちゃんが家に来る約束をしていた。20分ほど遅れて、彼女はやってきた。

「久し振りだね」

「おう」

大学は別々になってしまったので、それっきり、今まで顔を合わせる機会がなかった。

「ちょっと話そうよ」

「立ち話もなんだし、お茶でも飲みながらにしようか」

理紗ちゃんを部屋に案内する。さっきいた、希衣ちゃんの甘い匂いがした気がした。


「プリン食べてたんだ、2つも」

あ。僕は冷や汗をかいた。先程の、希衣ちゃんと食べた空のプリンと、二つのティーカップがそのままだった。

「うん、大学の友達と、ちょっとね。すぐ片付けるよ」

脈が早く打ってるのがよく分かった。気分が悪くなった。急いで机を片付けて、理紗ちゃんの好きな紅茶を出した。

「で、話ってなに?」

「実はね――」



大学生活にも慣れてきて、陽当たりのよいベンチで、サークルで親しくなった男友達と、教授の愚痴を吐きながら弁当を掻き込むのが恒例だ。

愚痴ばかりだと駄目だよ、話題を変えようということで、可愛い子探しの話になった。

「可愛い子を彼女にしたいなぁ、料理が出来て、甘えん坊な子がいい」

「そんなこといってるからいつまでたっても童貞なんだよ」

「お前はいいよなぁ、彼女がいるんだから。仲いいんだろ?」

はぁ、と僕はため息をついた。何回この台詞を聞いただろうか。もう、うんざりしてきた。仲違いしてるんだよ。崖っぷちなんだ。

「よくないよ」

「俺は可愛い子探しを極めるよ。ほら、あの子とか」

指差した先には、二人の仲のよさげな男女がいた。笠原と希衣ちゃん……え?笠原と希衣ちゃん?

「俺も高森さんとおんなじ科なんだけどさ、あの笠原ってやつ、いっつも高森さんと話してるんだぜ」

笠原、僕の幼馴染み。希衣ちゃん、僕の女友達。

頭がこんがらがった。なんで笠原と希衣ちゃんが仲よさげに話してるんだ?

「あいつらデキてるのかな、高森さんみたいな秀才と付き合えて笠原ってやつは羨ましいや」

目から離れない。なんで?なんでよりによって笠原なんだ?でも、どうすることもできなかった。今僕には理紗ちゃんがいる。浮気など、許されないんだ。今ここで笠原に理由を問い詰めたって、お前には彼女がいるんだから、で済まされてしまう。違うんだ、僕と理紗ちゃんは……


「実はね、私、拓海くんと付き合って、大学は別々になっちゃったけど分かったことがあるんだ」

「なに?」

理紗ちゃんは紅茶を一口飲んで、間を空けてから、口を開いた。

「前まで、異性と話すのが苦手だったの。でも、拓海くんが話しかけてくれて、嬉しかった。それで、付き合うことになったよね。でも、私達って、普通の恋人って感じじゃないと思うんだ。なんていうか、友達以上恋人未満、みたいな」

「それ、ちょっと思ってた」

僕は、実に臆病な奴だった。理紗ちゃんには、恋人という関係にあるんだけど、それらしきことはほとんどしてあげられなかった。

「おんなじ学科の人に、告白されたの。それで、付き合うことになっちゃった」

心の中の、何かが壊れた音がした。


二つの複雑な思いが交わって、とても気が重かった。

あのあと、僕は風邪なのか知恵熱なのかよく分からない熱で、早退した。希衣ちゃんと帰る約束も断ってしまった。きっと、笠原と帰っているんだろう。僕は今家で、ずっとうずくまって、いつかに撮った、希衣ちゃんの写真をスマホのフォルダから引っ張り出して、見つめた。

美味しそうにお昼ご飯を食べて、にこにこしている写真だった。僕は、希衣ちゃんの笑顔が大好きだ。柔らかな、そして僕の記憶の片隅にある誰かと似ているような、似ていないような、不思議な感覚に陥る希衣ちゃん。

それと相反して、彼女の時折見せる悲しげな表情は、僕の胸を締め付けた。もう、あんな顔させたくない、守ってやりたいと何度も思った。

遅かった、最初から知ってたくせに。僕は、希衣ちゃんに恋をしてしまったんだ。でももう手遅れなんだ。多分、僕はもう恋愛なんてしなくていいんだろう。恋人に浮気されて、好きな人を奪われて。もう、散々だ。それでも、浮気されたことより、希衣ちゃんを奪われたことの方が辛かった。


ピンポン。この鳴らし方は、何度も何度も聞いて、分かるようになってしまった。希衣ちゃん。なんでこんな時に来るのさ。寝転がっていたソファーに、水溜まりができていた。こんな情けない格好、希衣ちゃんになんか見せられないよ。

涙を拭って、ドアを開けた。希衣ちゃんがいた。

「早退したっていうから、心配したんだよ」

走ってきたのか、息を切らせて、額から汗が見えた。

少しクラクラした。その時、希衣ちゃんがまた誰かに重なって見えた。でも、目の前にいるのは希衣ちゃんだと分かってか、その誰かに見えたのか、そのときの僕には冷静な判断なんてできなかった。

どうにでもなってしまえ、と

泣きながら希衣ちゃんを抱き締めてしまった。

希衣ちゃんは、状況が理解できず、呆然と立ち尽くしていて、その間に僕は、抱き締めながら、ごめん、本当にごめんね、と連呼して、確実に希衣ちゃんの綺麗な髪の毛を濡らしていった。

「ねぇ、さっきから意味わかんないよ、なんで急に……」

声がか細くなって、希衣ちゃんも泣き出してしまった。

この際、恋人だとか女友達だとか、関係なかった。好きな人が悲しんでいたら慰める。それだけ考えて、しばらくずっと、抱き締めていた。


「なんで、笠原と仲良くしてたの?」

二人とも泣き止んで、お茶でも飲みながら話すことにした。で、理由を聞くことにした。

「それはちょっと、いえない」

ぷいっとそっぽを向いて、目を合わせてくれなかった。

「ごめんごめん。ちょっと気になっただけで」

本当は何があったか根掘り葉掘り聞き出したいところだったが、希衣ちゃんに怪しまれることは明確なので、黙っておくことにした。

「わたしだって聞きたいことあるよ」

「なに?」

「なんで抱きついてきたの?」

あぁ、恥ずかしい。感情が高ぶってつい、なんて。君が好きだから、とか、言えるわけない。

「男にだって泣きたいときがあるんだよ」

「困ってるなら聞くよ?」

高森さん。高森希衣ちゃん。あなたのことで困ってるのに、そんな本気で心配している顔をされると、胸がズキズキしてしまう。

「彼女に浮気されちゃった」

「ふぅん」

割と真面目に相談したのに、希衣ちゃんはそれだけだった。

「で、別れようか悩んでる」

そういうと、希衣ちゃんは腕組みをして、うんうん唸り始めた。それから、こう話した。

「別れちゃいなよ。一瀬くん、彼女に浮気されたっていうのに、なんでそんなに冷静なの?本当に好きなら、もっと奈落の底に落ちたみたいになってそうなのに」

ちゃんと答えてくれた。希衣ちゃんは、なんでもお見通しなんだろうな。でも、君のことが好きなのは分からないだろう。言えないもんな。

「他に好きな人ができたから、いいよ」

そう僕がいい放った後に、希衣ちゃんが机を叩きつけた音と一緒に席を立ちがった。

「だ、誰!?」

目をまんまるにして、こちらを見てきた。立つ勢いがすごすぎて、驚いた。

「教えない。今日はこれからバイトあるからお帰り願います」

むぅー、と唇を尖らせた。早速、胸打たれてしまった。

「友達が彼女とか作ったら話す機会が減るじゃない。たまには、わたしと構ってね」

それでもまだ友達止まりなことに、少し悔やまれた。せめて、親友とかにならないかなぁ、とか、そんなことを考えた。

「おう、お前こそ」

「へへ。じゃあね、バイト頑張れ」

そういって、希衣ちゃんは帰っていった。


笠原から希衣ちゃんを奪い返そうという気持ちは、もう心の奥にしまっておこう。友達で居続けよう。好きと思う分には、何も害なんてないんだから。


また電話が鳴った。スマホの画面を見てため息をついた。理紗ちゃんだった。

「もしもし、拓海くん」

「どうしたの」

「別れよう」

予想通りの返答が返ってきた。返事は、一つしかなかった。

「おう、好きな人できたからな」

「よかったね。私と付き合ってたとき、拓海くんずっと元カノの話してたもん。2年も一緒にいたのに、それだけ思い入れのある人を振り切るぐらい好きになっちゃったんでしょ?」

そうだ。僕は理紗ちゃんとお付き合いをしていたとき、ずっと元カノのことを引きずっていた。元カノと別れたときに、仲の良かった理紗ちゃんに告白された。最初こそ嬉しかったものの、後から押し寄せてくるのは、その子を振ったことへの後悔だった。

「そうだな。でもな、その好きな人、最近思ったんだけど、元カノに似てるんだよ。そういう意味では、まだ忘れられないのかも」

「分かるよ。私の告白された人も、拓海くんとどこか似てるんだよね。お互い様かな」

ずっとそばにいると、どこかその人との忘れられない要素を抱えて生きていかねばならないと、思う気がする。

「違うよ、僕の場合はもう相手がいる。ただ見つめて、友達として過ごすのさ」

「ねぇ、そんとにその子、笠原と付き合ってるの?」

「え?」

言われてみれば、確かな証拠は一つもない。希衣ちゃんと笠原がただあの時一緒にいただけで、本当は何もないのかもしれない。

それに、さっき僕が好きな人がいると言った時のあの反応。気がないのなら、あんなに驚くものだろうか。

「信じた道を突き進め。拓海くんが選んだ道は間違ってないよ」

理紗ちゃんの言葉に、涙ぐみそうになった。それと一緒に、すごく頼りになる大きな力を得た気がした。

「理紗ちゃん、ありがとう。こんなこというのもなんだけど、この先も友達でいてくれるかな?」

「当たり前だよ。別れたからって、二人の積み重ねた時間が消えるわけじゃないんだから」

僕は本当にいい彼女を持っていたな、と今になって痛感した。

「ごめん。今言っても無駄だけど、理紗ちゃん、大好き」

「ありがとう。その気持ちは、拓海くんの好きな人に伝えてきなよ」

大きな味方を持った僕のやるべきこと。希衣ちゃんに告白しよう。

「わかった。じゃあ、バイトだから、ばいばい」

君は一人じゃない。信じた道を突き進め。理紗ちゃんの声が聞こえた気がした。



「みーくん、なんで別れなくちゃいけないの?」

肩までの髪の女の子がいた。彼女は泣いていたが、顔がぼやけてよく見えなかった。

「今の僕には――きいを守ってやれることも出来ないんだ、分かってくれよ」

離れたくないのに、なんでこういうことをいってしまったんだろう。あのあと、何回、何百回と悔やんだのだろう。

「分かんないよ、そばにいてくれるだけで、それだけですごく安心できるのに」

先程の発言は建前で、本当は、彼女の将来のために、自らが一歩引いたのだった。彼女は勉学があまり出来なく、色恋沙汰をしていると成績が更に落ちて彼女の親御さんに怒られてはいけないと懸念したからだ。

「ごめん。ちゃんと、しっかりした大人になって帰ってくるから」

「わたしだって、もっと可愛くなって、別れたことを後悔させてやるんだから。2年後、大学が決まったとき、もう一度みーくんに告白する」

2年。途方もない長さだった。その当時、僕は、彼女のことだから、その年月のうちに新しい彼氏でも作るんだろう、と半ば当てにしていなかった。

「せいぜい頑張りなよ」

それでも僕は、2年経とうが、彼女を好きでいる自信はあった。

「そっちこそ。ばいばい、今まで楽しかったよ」

そう言い残して、彼女はそそくさと改札の先へと姿を消してしまった。

僕の方を振り向かないで歩いていく君の姿は、いつもは小さいけど、僕にとっては、僕の背なんかよりずっと、ずっと大きい存在だった。

目の前に当たり前にいた存在がなくなると、こうも悲しいものなのか。意識が遠退いてきた。あぁ、いっそこのまま――


目を開けると、少し埃の被った照明器具があった。昨日疲れて寝たからか、つけっぱなしだったようだ。

夢を見ていた。やけに、現実味のある夢。既視感のある、もう見たくもなかった光景。あぁ、そうだ。あれは、元カノと別れる際の、最後の会話だった。

「変な夢みたな」

少し早く起きたので、僕は渋柿を食べたような顔をしながらお湯を沸かした。

頭のなかで、あの奇妙な夢の考察を図った。

「きい、かぁ……ん?きい?希衣ちゃん?」

いやいやまさか。そんなわけないだろう。元カノの名前は、竹内希衣。そして、お隣の彼女は高森希衣。下の名前がおんなじなだけで、全くの別人だ。

名前くらい、いくらでも同じ人がいるだろう。それに、竹内希衣は数学の出来ない馬鹿だ。高森希衣は数学科の、学年首席の優秀な人間だ。とても比べ物にならない。ポニーテールの高森。ショートカットの竹内。けど、この二人にはある共通点があった。“笑顔“だ。

僕はあの高森の笑顔には度々既視感を覚えた。記憶の中にある、竹内の笑顔と繋がった。そう、僕の高森に惹かれたうちの一つには、竹内とよく似ていた笑顔があった。本当にもしかすると、高森は竹内なのかもしれない。

「希衣ちゃんに聞いてみるかな」

そう思うと、いても経ってもいられなくなった。外に飛び出して、隣の部屋に、少し震えながらもインターホンを押した。

「なんだ、一瀬くんか」

希衣ちゃんは少し忙しそうにしていた。綺麗なポニーテールを、結ぼうとしていたところだったらしい。

「忙しいとこごめん、今日一緒に行かない?」

「ん、いいよ。ちょっと待っててね」

少し早口に僕に伝えたあと、バタンとドアを閉めて、少しばかり待つことになった。


数分もすると、希衣ちゃんが出てきた。ふわりと、優しいシャンプーの匂いが漂った。

「お待たせ。いこっか」

「あ、う、うん」

昨日の事もあり、今更になって気恥ずかしくなってきた。

朝の爽やかな風に吹かれ、無言の状況が続いた。もうじき、夏になろうとしている頃だった。希衣ちゃんも、少し視線に落ち着きがなく、頬が紅潮していたような気もする。きっとそれは希衣ちゃんだけではなく、僕もおんなじ事をしていた。2本早い電車に乗ったので、車内は空いており、二人、座ることができた。

また、沈黙の時間が続いた。

「あのさ」

最寄り駅から学校まで2駅なので、早く聞かなければいけないので、気まずい雰囲気を立ちきって、口を開いた。

「なに?」

聞いたのはいいものの、どういえばいいんだろうか。

「世界には自分に似てる人が三人いるらしいんだけどさ、希衣ちゃんにものすごく似てる人がいるんだ」

「へぇ、偶然だね」

希衣ちゃんは何でもないような顔をして、車内の広告の方に視線をずらした。

「冗談だと思って流してくれればいいんだけど、希衣ちゃん、僕の元カノなのかなあって思って」

本題を聞いたところで、ちょうど大学の最寄り駅に着いてしまった。希衣ちゃんは、ちょっと下をうつ向いていた。

「ごめん、今日用事があるから一緒に帰れない。じゃあね」

電車のドアが開いた途端、それだけいって先に行かれてしまった。

ますます希衣ちゃんの行動が怪しくなってきた。


昼までの講義が終わって昼食を済ませたあと、スマホを見ると、希衣ちゃんからメールが来た。先程の用事というのは、今日は美容院に行くから先に帰ってて、というものだった。女子というのはよくわからない。散髪をしたといってもどこも変わらないのに。

そんなことを思いながら、一人電車に揺られながら家に帰った。

家に着いてから、二人の希衣との思い出を交錯させながら、過去の記憶が頭によぎった。

希衣ちゃんは桜が嫌いだといった。きいとは、桜が咲き誇る時期に別れを告げた。希衣ちゃんが桜を見て泣いていたのは、僕と別れたあの時を思い出したからなのではないだろうか。

それに、僕の趣味を理解してくれることや、僕の性格を誰よりもよく理解してくれていて、意見がすれ違うこともなかった。

最初から、慣れたような口調で話しかけてきたのも――

過去の記憶と今の記憶を繋ぎあわせていたとき、電話が鳴った。勿論、希衣ちゃんだった。

「家のすぐそこの公園で待ってる」

それだけいわれて、通話を切られた。美容院からの帰りなんだろうか。もう一度、朝言えなかった事を聞こう。早く希衣ちゃんに会いたくて、猛スピードで走って向かった。


公園のベンチに、ショートカットの女の子がいた。希衣ちゃんに似ていた、ではなく、希衣ちゃんだった。

「き、希衣ちゃん!?」

驚くのも無理もない。髪をばっさり切って、ポニーテールが消えていた。あの、艶のある、僕の大好きな大きな尻尾はなくなっていた。

「どうかな?みーくん」

にこっ、と希衣ちゃんは懐かしい呼び名を呼びながら微笑んだ。ここで、また記憶が繋がった。あのときの竹内の笑顔と一緒だった。髪型で気がつかなかったけど、当時と同じショートカットにしている今、はっきりと分かった。高森希衣は竹内希衣だったのだ。

「どうもなにも、どういうことか、説明してよ」

まだ辻褄が合わない部分もあったので、僕の記憶が正しいか聞くことにした。

「まず、笠原のこと。笠原とはSNSで、みーくんと幼馴染みだってことを知って、みーくんのことを聞いていたの。大学の場所とか、家の場所とか。だから、笠原とはなんにもない、ただの友達だよ」

ホッとしたのと一緒に、僕の一人暮らし生活を一変させたあの事件の謎が解けた。

「だよな。ストーカーか、ってな」

「ごめんごめん、あとね、苗字は両親が離婚して変わっちゃったの」

どうりで、苗字がちがうわけだ。

もうあの事件については、偶然でもなかったけれど、それでも嬉しかった。

「それからね……」

きいは、僕に抱きついてきた。僕の胸に、きいの涙が染みた。それから、こう続けた。

「あれから、勉強して、大学の首席になれた。別れたあと、ずっと勉強してたけど、みーくんのことを好きじゃなくなった日なんて一度もなかった」

ぽつり、ぽつりと泣きながら呟くきいの、僕を抱き締める力が段々強くなってきた。振った後にも、ずっと想っていてくれていたなんて、僕はなんて幸せ者なんだ。

「ねぇ、なんで僕と再会したときにきいだっていわなかったの?」

「だって、後からつけてきたなんていったら、またどこかに行っちゃうのかなって思って、見た目とかも全部変えて黙ってたの」

「そんなことするもんか。最初からきいじゃないかなって、思ってたよ。きいみたいな可愛い名前の子、なかなかいないからね」

きい。最初に疑った僕を許してほしい。あんなこといったけれど、僕もきいがずっと好きだった。嬉しくて、たまらなくて、僕もきいを強く抱き締めた。

「ずっといいたかった。みーくん、私と付き合ってください」

「勿論。是非お願いします」

ずっと、時が止まってしまえばいいのに。告白は僕からすればよかったな、と思ったけど、結果はよかったんだから、ともかく嬉しかった。

「みーくん」

きいは、何か物欲しげな、甘えた声で囁いた。

「なに?」

僕も、期待を寄せて耳を傾けた。

「二年間、ずっと我慢してたから、してほしい」

言われなくても、するつもりだった。僕だって、こんな甘えられると、歯止めが効かなくなっていた。

「きい、大好き」

二人見つめあって、唇を重ねた。長い間、愛を確かめあっていた。今まで過ごしてきたなかで、一番時間が進むのがゆっくりしていただろう。

きいはやっぱり、運命の人だった。


あれから、僕たちは大学を無事卒業し、そのあとすぐに市役所に婚姻届を出した。きいはその秀逸な頭のよさをいかして、有名企業に就職し、僕も、負けじと、一般的なサラリーマンとして働いている。理紗ちゃんの結婚式にも呼ばれ、きいと同席した。理紗ちゃんに、きいと結婚したことを伝えると、かわいい奥さんをもらえたね、と微笑んだ。

結婚式は挙げないの?といわれたけれど、二人とも忙しかったので、まだまだ先になりそうだった。

笠原は、高校の数学の先生になったらしい。久々に話したときに、教職は大変だ、と早速愚痴をこぼしていた。

そしてこの間、少しの休みを見つけて、ブライダルフェアという、ドレスの試着会で、きいにウェディングドレスを着させてあげた。

お世辞抜きで、世界で一番可愛くて、美しいものを見た。普段とは違った、綺麗なきいを見て、僕はきいを選んでよかったな、と涙ながらに思った。

何度でも思う。

きいは、やっぱり僕の運命の人だ。




この度は、「ポニーテールが消えた日」を読んでいただきありがとうございます。

このお話は、振られた相手を想い続けて、もう一度正体を隠して再会するとどうなるのか、というふとした考えから始まりました。以前、恋愛経験0の私が執筆した小説(他のサイトですが)は壊滅状態に等しく、だらだらとありきたりな展開で未完成のままです。今回、恋愛経験を生かして書くことができました。すべて、事実ではありません。笑


拓海の人物について、希衣と別れたあと、希衣への想いを抱えたまま理紗と2年の交際の末、大学は別々になり、理紗は大学で告白された人と付き合うと仄めかし、仲は悪いものの浮気されることになります。が、理紗自身は白黒はっきりつけたい性格なので、ちゃんと別れを告げました。優柔不断かと思いきや、ちゃんと想いを貫く一途な拓海。

希衣の人物について、拓海よりとっても純粋で一途な子だと思います。拓海のために苦手な勉強を克服し、首席にまでなっています。すべては拓海を見返すため。でも、その中に憎しみは一つもなく、むしろ愛に溢れていました。正体を隠して復縁しようと、赤の他人のふりをするのはとても大変なことなんじゃないかなぁと思います。拓海のことを知らないふりをする希衣をどうやって表現するかとても難しかったです。

話を見ていると、昔、付き合っていたころの拓海と希衣はどんな関係だったの?と疑問に思う方もいらっしゃると思います。作中にはそのような説明が一切なかったのですが、拓海と希衣は遠距離恋愛でした。分かりにくくてすいません。


あと、もしかすると、希衣サイドの「ポニーテールが消えた日」を執筆するかもしれません。そのときはまた、よろしくおねがいします。

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