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転生したら後宮妃!? ―料理で陛下の胃袋を掴んだら、寵妃になってしまいました―  作者: 島崎紗都子
第1章 もしかして、これは転生? オレが後宮妃?
6/12

5 オレは料理人 出される飯がまずいなら、自分で作ればいい

「そうだ! オレは料理人じゃないか。どうしてそのことを忘れていたんだ!」

 落ちぶれた凜答応のために料理を作る人がいないというなら、自分で作ればいい。

「ナイスアイデアだ! 詩夏、ここに厨房はあるか?」

「もちろんありますよ。ずっと使われていないですけど」

「OK! 手入れをすればなんとかなるはず。で、食材を手にいれるには、どこに行けばいい?」

「御膳房に行けば手に入ります。何をなさるのですか?」

「自分で飯を作るのさ。詩夏の分も作ってやる」

「でも凜答応さま、お料理なんてしたことないですよね。ご実家にいた時だって作っているところを見たことがないです。作れるんですか?」

「ああ、今までのオレはオレじゃないから、それは問題ない」


 詩夏は目をまん丸くさせ、きょとんとして首を傾げる。

「詩夏にとびきりうまいもん食わせてやる。食べたいだろ?」

「はい、食べたいです。おいしいものをたくさん、凜答応さま!」

 思わず一心は、詩夏の痩せた体をぎゅっと抱きしめた。

 なんて素直で可愛いんだ。よし、この子のためにも腹一杯うまいもんを食わせてやろうじゃないか。


「妹よ! 料理人のオレの腕前を見せてやる。期待して待ってろ」

「え、ええ? 凜答応さまはいつから料理人に? それに妹って」

「私にとって詩夏は可愛い妹みたいなものだからな。妹妹(メイメイ)

「妹だなんて、恐れおおいです」

「なに言ってんだ。子どもの頃から私に仕えてくれてたんだろ? だったら、妹みたいな存在じゃないか」

「凜答応さま」

 詩夏の目にじわじわと涙が浮かび上がった。


 くーっ! 可愛いなあ。オレもこんな愛くるしい妹が欲しかったんだよ。


「そう思ってくださるなんて嬉しいです。凜答応さま、この先もずっと、誠心誠意を込めて凜答応さまにお仕えいたしますね! あの、私も姉姉(ジエジエ)とお呼びしてもいいですか?」

「もちろんだ。なんなら、お兄さまでもいいぞ」

「それは意味がわかりません」

「はは! よし、そうと決まったら御膳房とやらへ行ってくる」

 旗袍の裾をぐいっとたくしあげ、一心は大股で歩き出す。


「待ってください! 御膳房の場所、わからないですよね。ご案内します」

「おお、助かる」

「それから!」

 奥の部屋に行った詩夏は、あるものを手に戻って来た。

「絶対にこれが必要です!」

「なるほど。確かに必要かもな。さすがオレの妹は賢くて気が利く。行くぞ」

「はい!」


 二人で部屋を飛び出すと、林杏とばったりと会った。

 彼女の手にしているカゴには、暖をとるための炭が入っていた。内務府に出向いて貰ってきてくれたのだ。

「凜答応さま、どちらへ? 風が冷たくなってきました。お風邪を召します」

「食材の調達に行く。林杏にもオレの料理を食べさせてやるからな。楽しみに待ってろ」

「やっと火鉢用の炭をいただけました。体を温めて……」

「林杏こそ、暖かくして休んでろ」

「林杏さま、すぐに戻りますー!」

「な、なりません凜答応さま! 宮中の掟に反します。ちょっと、詩夏あなたまで!」

 一心は足を止め振り返る。


 そこには青い顔でおろおろする林杏の姿があった。

「生きるか死ぬかの直面で掟なんて、クソくらえだ!」

 と吐き捨て、詩夏の手を取り、勢いよく月明宮を飛び出して行く。

「く、く……そ? 凜答応さまは今クソと? ねえ、言った? 言ったわよね?」

 林杏はぽかんと口を開け、周りにいる侍女や太監に同意を求める。

「いえ……存じません」

 彼らは揃って、知らない何も聞いていないというように、表情を強ばらせ首を振った。

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