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SEKAINOOWARI 曲名→千夜一夜物語 オリジナル小説

作者: ふぁご
掲載日:2026/01/11

ご覧いただきありがとうございます。

SEKAINOOWARIの千夜一夜物語という楽曲のオリジナル小説です。

楽曲を聞きながらお楽しみください。


昔々、縄文時代よりも前、この日本は砂漠におおわれた国であった。

その国の名はアラビアンナイト。

そこには一人の王女がいた。彼女はきらびやかな衣類を身に付け、欲しいものは何でも手に入れられた。

それとはうらはらに、国の外では戦争が絶えず、アラビアンナイトからも多くの兵士が動員されていった。王女は生まれた時から城から外に出ることは禁じられていて、外の世界のことなど何も知らずに生きて戦争のことなども詳しいことは何も知らない。


朝起きれば色とりどりの朝食をとり、

昼間はお稽古、夜は贅沢な夕食をとり床に就く

そんな何不自由ない暮らしをしていた。

けれども、彼女は退屈で仕方がなかった。彼女にはこの生活に刺激を感じなかったのかもしれない。

その要因の一つに彼女は好奇心旺盛であった。

そこで彼女は、国中の兵士たちを集めた。そして外の国の話を眠れるまで聞かせてと家来たちに命令をした。

すると美しき王女を一目見ようと多くの兵士が城にやってきた。


そして兵士たちは「戦いの自慢話」「年寄りの説教話」などを彼女に自信がありげに話していった。

けれども彼女はそんな話を聞きたかったわけではない。

「皆、私の前では見栄をはったような話をするのね」

彼女は兵士が去った後、飽き飽きしながら家来にそう言った。

城の外を眺めると一面に砂漠が広がっているだけ。きっとこの世界を旅したら素敵なものがあるはずなのに。何でも手に入るのに孤独を感じるのはなぜなのだろう、彼女はそう考えながら眠りにつく毎日であった


そんなある夜に、「失礼します。」と彼女の部屋に一人の若い兵士がやってきた。

「よく来たわね。そこに座ってさっそく話を聞かせて。」

あまり期待をしていない彼女はいつものようにとりあえず兵士をソファーに座らせた。

「ありがとうございます。王女。」そう言って若い兵士はお辞儀をした。

そしてゆっくり

とソファーに腰を掛けた。

「私は、幼いころから兵士をやっております。なので色々な国々へ訪れました。」

「国々とは、異国のこと?」

「はい。」若い兵士は頷いた。ここまでは、みんな口をそろえて言う。今回も大した話ではないなと彼女は内心思った。

「王女、雪を知っていますか?」

「雪?その食べ物は美味しいの?」

若い兵士は「違います。」といって笑った。

「雪というのは寒い国で舞う氷のことです。」

「氷?氷が空から降ってくるの?」

「そうです。それは大そうきれいなものです。まるで一面魔法にかけられたようなものでございます。」

王女は初めて聞く言葉に興味を示し、

「雪・・。空から氷が降ってたら痛いじゃない。」と純粋に言葉を投げた。

「痛くないです。降ってくるのは本当に柔らかいのです。手のひらにおちたらすぐに溶けてしまいます。」

「そんな氷が存在するのね。今度家来に作らせてみようかしら。レシピを教えてもらえる?」

彼女は頷きながら紙とペンを若い兵士に渡した。

「雪は作れませんよ。天の恵みのものですから。」

「天の恵み。。神様の気まぐれなのね。」彼女は残念そうな顔をした。

「王女、では虹を知っていますか?」

「初めて聞くわ。それは何者なの?」彼女は目を輝かせた。

「虹はめったに見られない特別な現象なのです。七色の色が空に浮かび上がり空にかかるのです。見た人は幸せが訪れるとか!」

「そうなの!初めて聞く話だわ!私も見てみたい。でも、無理な話ね・・。」

彼女はため息をついた。

「私は、この城から出ることは出来ない。雪や虹もみてみたいけれど、私はこの果てしなく続く砂漠しか見ることは出来ない。これからも、ずっと・・。」

「雪も虹も素敵ですが、私が一番この世で美しいと思っているものがあります。」

若い兵士は立ち上がり、彼女の前にひざまずき手を差し伸べた。

彼女は少し頬を赤らめ「それは何?」と聞いた。

「こちらへ。」

そう言って若い兵士と彼女はテラスへ出て行った。

「王女、上を見上げてみてください。」

彼女は上を見上げる。

「これが私がこの世界で一番美しいと思うものです。」

夜空には無数の星が広がっている。

「わあ。きれい。」

彼女は目を輝かせうっとりとした。

ずっと夜空を見上げて見なかった彼女は、その時生きてきた中で一番美しいものを見た気分になった。


「ここでは世界中のどこよりも美しい星が見えます。」そう言って若い兵士は彼女に微笑んだ。

「そうね。」彼女も若い兵士を見てほほ笑んだ。

「あなた、名前は何というの?」

「ザビエルです。」

「ザビエル、ありがとう。素敵な夜だったわ。またお話を聞かせてちょうだい。」

「はい。ぜひ。」二人はほほ笑みあい、また夜空を見上げた。



それからというもの、彼女は毎日夜空を見上げては、ザビエルのことを考えていた。

考えれば考えるほど、胸がきゅっとする。

愛しくも苦しいも同じに思える、この感情は初めてである。

きっと恋をしてしまったのだろうと気づいたのはそれからしばらくたったころであった。


彼女はずっとザビエルのことを待ち続けた。


しかし、それから戦況が悪くなり、ザビエルが彼女の前に現れることはなかった。

「魔法の絨毯があれば、私もザビエルと一緒にまた星空を見られるのにな。」と

それでも彼女は星を眺めながら思いをはせつづけたとさ。







おしまい。


読んでいただきありがとうございました。

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