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第29話 仁の答えとシルクハットおじさん


「ちょっと待て、俺が先に告白したんだぞ!」

「遥ちゃんの気持ちはわかるよ、だからこれは仁君次第なんだけど……」


 二人は小声でごにょごにょと話し出す。なんか圧がすごいので黙って見守ることにする。


 しばらくすると振り返りににこやかな笑顔で話し出した。


「ここは仁君に決めてもらおう。仁君はどっちが好きなんだい?」

「勿論、俺だよな? 幼馴染の俺だよな?」

「申し訳ないけど私だよね? 先輩の私だよね?」


 僕は二人に挟まれて上からめちゃくちゃ笑顔で圧を掛けられる。


 遥は勿論昔からの仲で好きだ。女としても長身で赤髪で胸が大きく魅力的だ。

 咲夜先輩はモデル体型ですらっとしていて性格も魅力的。


 つまり……。


「選べません!」

「男のくず!」

「最低!」


 二人にパシーンと平手打ちされる。い、痛いよ。両頬がじんじんとする。

 ううう、なんでこんな目に。


「でもそんな優柔不断な仁君がたまらなく好きなんだ」

「お、俺も仁のことを愛してるんだ」


 二人に両側から抱きしめられる。遥のお日様みたいないい匂いと咲夜先輩の香水をつけた大人の香りが僕を幸せにしてくれた。


 二人は涙目の僕を上から見下ろしてこういった。

「大丈夫、ダンジョン探索者法で探索者は重婚が認められてるから」

「これで三人とも幸せになれるな」



「二人はそれでいいの?」

「良いんだ、仁君がそばにいるなら」

「そうだぞ、仁がいるならどんな場所でも天国だ」



 二人はそう言って僕を抱き締めた。


 この三人ならなんでものりこえられる気がしたよ。



 **



 一夜明け、特にモンスターは出ず、金ヶ瀬ダンジョンの奥地へと向かう僕達。

 まだできたてのダンジョンで第二層までしかないようだ。


 第二層は巨大な厨房フロアになっていた。


「大きな厨房のフロアになってるね」

「どんなモンスターがいるんだろうね」

「もしかしてあいつじゃないだろうな?」

「まさか、仁君の映像にいた……あいつか⁉」

「……あの人、絶対いる」

「一発ぶん殴らんと気が済まんわ!」


 厨房のような広い場所に煙が立っていて見えない。

 だけど僕の解析なら……いた! やっぱりそうだ。


「これはこれは皆さんごきげんよう」

「シルクハットおじさん!」


 素早く、クロノグラスで解析をするも弾かれてしまった。


「気を付けて! あの人解析ができません!」

「ほっほっほ、未だ未熟なのですよ。アナリスト君」


 僕達は戦闘準備に入る。


「絶対にシルクハット野郎をぶっ飛ばすで!」

「戦闘隊形に入るよ!」

「前衛は任せとけ!」

「俺が護る!」


 徹さんが前に出て大盾を構え、その横で咲夜先輩と遥が構える。

 中衛は僕で後ろから解析弾ブルーバレットを打つ準備をする。

 後衛は琴葉さんと透子さんが支援と爆発の準備をする。


「僕達は負けないよ!」

「やれるものならやってみなさい!」


 僕は解析弾ブルーバレットを装填し、シルクハットおじさんに向けて撃ちぬいた!

 後ろには土地神様の気配が何となく感じられる。


 土地神様のためにもやるしかない!

 僕達の探索はまだまだ始まったばかりだ!



 第一部 完


小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


突然の完結申し訳ありません。なかなか伸びず、苦悩していたこの作品を読んでいただいた皆様本当にありがとうございました。しっかりとした終わらせ方ができず、心残りはありますがここで一旦完結とさせていただきます。読んでいた皆様本当にありがとうございました。

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