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第二十六話 金ヶ瀬ダンジョン 第一層 料理街

 僕達は寂れた料理屋の中に入る。


 看板には「匠屋」と短い店名と店の前の横に動かすタイプの引き戸があった。

 暖簾はだいぶ使い込まれていて古い感じだった。


 店主の名前は竹田 匠。店の名前は店主の本名から取ったらしい。


「気張っていきんしゃい!」


 店主の渋い声で気合が入る。どうやら開かずの間にダンジョンの入り口ができたらしい。


「うん、ここから穢れた魔力を感じるよ。どうやらダンジョンの中に魔力をため込んで浄化しようとしているみたいだね」


 咲夜先輩が護桜ごおうを腰に携えながら皆に言う。


「ダンジョンの主になった土地神様のためにも頑張らないとね」

 僕は決意を胸に少し大きな声で言う。


「仁は中衛だからな。前衛と後衛のサポートを頼むぜ」

 遥が僕を諫めるように言ってくれる。


 そうだね、僕がパーティーの要になるんだ。クロノグラスをやや強い力で握るとクルクルと真ん中のコアの時計の針が回り、蒼色のフレームが任せろと言わんばかりに光る。


 五十嵐兄妹は兄の徹が前衛で透子さんが後衛だ。


 徹さんは城壁戦士フォートブリンガーという前衛の盾役だ。

 うちのパーティーには盾役がいなかったので素直に嬉しい。

 話を聞いたところ、状態異常耐性も高めで安定した前線維持が得意なようだ。


 大盾と大斧を担ぐザ・タンク役といった感じだ。


 透子さんは、爆術師アークボマーという後衛の魔法使いだ。


 石造りの杖に透明で美しい宝石がはまった杖を使っている。

 爆発と聞くと火属性がメインなように思えるが日・水・雷・風・氷など様々な属性の爆発を使えるようだ。


 徹さんがDランク、透子さんはEランクだ。僕はFランクで遥はEランク。竹田さんは僕と同様にFランク。前にも言ったが橘先輩がCランクで一番高い。


 ランク分けの基準は職業によるものが大きいようだ。黒神所長は詳しくは言えませんが、と言いつつそう教えてくれた。


 勿論探索者支援センターに持ち込む品物によって査定が高まるとランクは上がるし、最初は弱かったり普通だと思われる職業でも続ければランクは上がる。ランクが上がると色々なメリットがあるみたいだけどそんなに僕は興味ないかな。


 一応説明しておくと……。



 Fランク(新人)

 •探索者登録したばかりの段階。

 •単独での依頼は基本NG(例外的に同行や低リスク任務はOK)。

 •正式な報酬が出ない場合もある。

 •「見習い」「経験積み中」として扱われる。

 ________________________________________

 ●Eランク(初級)

 •一部の低リスク依頼に単独参加可能。

 •支援センターからの装備レンタル・消耗品支給が解禁。

 •成長の兆しが見られると評価される段階。

 ________________________________________

 ●Dランク(中堅)

 •一人前と認定される。

 •正式な依頼報酬が発生するようになる。

 •中層ダンジョンへの探索が許可される。

 •小規模パーティの中核メンバーとして重宝される。

 ________________________________________

 ●Cランク(上級)

 •パーティリーダーとして活動可能。

 •中〜大規模な調査依頼に選ばれる。

 •スポンサーがついたり、個人活動の幅が広がる。

 •支援センターの推薦探索者となるケースもある。

 ________________________________________

 ●Bランク(特級)

 •特殊依頼や未踏ダンジョン調査の対象に。

 •重要人物の護衛や都市防衛任務を任されることもある。

 •装備や支援の優遇措置が増える。

 ________________________________________

 ●Aランク(精鋭)

 •国家・自治体レベルの依頼を受けることが可能。

 •探索者制度や政策に意見できる立場に近づく。

 •「都市を救うレベル」の働きが期待される存在。

 ________________________________________

 ●Sランク(伝説級)

 •ほぼ都市伝説。

 •公式には存在しているが、一般の探索者はまず見ない。

 •ダンジョン世界に大きな影響を与えるような存在。

 •いわゆる“英雄”枠。名誉・報酬・影響力のすべてが桁違い。



 まあ僕は隠しルートの調査依頼とか受けてるけど、Cランクの咲夜先輩が居るから受けられたって感じかな。


 今回の調査依頼も公的には咲夜先輩がリーダーだね。まあ私的には僕がリーダーやってるんだけどね。なんでだろうな。


 さあ、金ヶ瀬ダンジョンの話に戻ろうか。


 僕達は開かずの間を開けるとそこは和風の料亭とチェーン店の料理屋が並ぶ巨大な街のようなダンジョンだった。


「ここはすごいね。まるで料理屋の街みたいだ」

 僕が呟く。


「ダンジョンの一層がこんなに広いのは初めて見るよ」

 咲夜先輩も圧倒されてるみたいだ。


「あ、ゴストもあるぜ! 中に料理人がいたりしないよな?」

 遥は現実にあるチェーン店を見つけて喜んでいた。


「なんか、いい匂いがするな」

 徹さんが鼻をすんすんとして、腹をさすっている。


「……美味しい料理、好き」

 透子さんが可愛い独り言をつぶやいていた。


「土地神様は料理が本当に好きやったんやなあ。あ、匠屋みたいな料理亭もあるやん!」

 竹田さんは少し遠い目をしながらキョロキョロしていた。


 僕達はダンジョンの中とは思えない街を歩いていく。

 平和な感じだなと思っていたのだが。


 僕が何気なくクロノグラスを除くと建物を分析するモードに入る。

 どうやら、それぞれの料理屋は幻影で中にはモンスターがたくさんいるようだ。

 その店の出す料理によって食材を落とすモンスターがいるようだ。


 それをみんなに伝えると……


「なら、匠屋に似た料亭を一番にしてくれない? あたし気になるんや!」

 竹田さんの提案に乗ってみることにして、前衛、中衛、後衛の順で匠屋の暖簾をくぐる。


 すると狭い店内が大きな森の空間になり、巨大な鳥のモンスターと巨大な蝶のモンスターが出てきた。


「うちで出してたオムライスと……蝶は何なんや?」

 竹田さんが首を傾げる。


 その答えはすぐにわかる。蝶が羽を広げて飛び立つと風がぶわっと流れてきてその鱗粉も飛んでくる。この匂いは……カレーのスパイスだ!


「各自、所定の戦闘位置について! 徹さんはタンク役で頑張って! まずは蝶から倒そう」


「「了解!」」

「承知した」


 僕はクロノグラスの観測照準(オーバークロック)を発動する。

 ついに戦闘開始だ。


小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

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