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榊さんと鏡さん

「先程は失礼なことを言ってしまい、申し訳ございませんでした」

車に乗ると同時に、彼は私に頭を下げてきた。

「いえいえ、榊さんが言っていたことは本当だし、それに、そういうものだとは分かっていますから、どうか頭を上げてください」

そう言っても、彼は頭を上げなかった。

「上げてもらわないと、魔法を使ってどこかに逃げてしまうかもですよ」

そう言ったら、しぶしぶといった面持ちで顔を上げた。やっぱり綺麗な顔だ、溜息をつきそうなくらいに。


そうして彼の顔をじっと見つめていると、少し恥ずかしそうにしながら「俺の顔に何かついてますか?」と、聞いてきた。

「いえ、とても綺麗な顔をしているので、眺めていただけです」

そういうと、気恥しそうにしながらぷいと顔を背けてしまう。この人はかっこいいのに、こういう可愛い仕草もできるんだなと、思っていると、

「おい、お二人さん。俺の事も気にしてくれ。すっげぇ気まじぃ」

と、前の席から声が飛んできた。


「運転しててくれてありがとうございますー、鏡さん」

「ちっと棒読みじゃね?それと、俺の苗字のイントネーションそれじゃねぇ」

とツッコミがかえってくる。そんなわけない。ちゃんと感謝の気持ちは込めている。(多分)

そんなやり取りをしている私たちを見て、榊さんは小さく笑っていた。

それを見かねて鏡さんが言う。

「おっ、珍しいな、いっつも無口無表情なお前が笑うなんてよ」


「えっ?榊さんって笑ったりしないんですか?」

なんならあまり喋らないというのも驚きだ。執務室に入ってきた時にはすごく喋っていたのに、あれが普通じゃないのか?


「おうよ、こいつ顔がいいだろ?なんなら頭も良いし、魔力もすごい持ってるから、学校でも女子にはモテてたんだけどなー、あんまり笑わないし、喋らないし、すっげぇ酷く女子を振ってたから、女子からは『榊燎というすごくかっこいい人』ってレッテル貼られて遠くから見られるし、男子も男子で嫉妬するしで、友達俺しかいなかったんだよなー」

そうだったのか、と榊さんの方を見ると、彼はすごい無表情で、すごく不機嫌そうにしている。なんだろう、今にでも鏡さんに向けて即死級魔法をぶっぱなしそうだ。

鏡さんがそれに気づいて、どうどうと抑えている。


「まあ、お二人がいなければ私はこんな風に自由には過ごせなかったし、あの家に囚われたままでした。お二人共、助けて下さりありがとうございました」

そう言うと、彼らは一瞬びっくりした表情になり、その後、優しく微笑んでこう言った。

「何言ってんだ、困ってる人を助けるのは当たり前だろ!そう固くなんなって!」

「鏡の言う通りです。あんな所にいるくらいなら、どこへだって逃げた方がいい。それなのに逃げなかった。助けを呼ばずに独りで耐えていた。大変な事でしたね」

そう言って、榊さんの手が頭の上にのり、撫でられる。


「よく、頑張りましたね」

そんな言葉と一緒に。

げっ、すっげぇ長くなっちまった

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