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ゴミスキルだって、育てりゃ、けっこうお役立ちです!  作者: アイイロモンペ
第三章 女騎士(クッころさん)奮闘記
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第53話 えっ! 問答無用ですか?

 おいらが町へ帰ろうとしたら、唐突にアルトが一緒に行くと言い出したよ。


「アルトが人間の町に何か用があるの?

 妖精って人間と関わるのは好きじゃないんだよね。

 おいらの町に行くって言うなんて思わなかったよ。」


「そうね、マロンの住む町に行くのは二十年ぶりくらいかしら。

 ちょうど、今のギルド長が先代からギルドを引き継いだ頃以来ね。」


 おいらが尋ねると、アルトはそれだけ言って町の方向へ飛び始めちゃった。

 おいら、慌てて追いかけたよ。


 アルトって、小さな体なのに凄く速く飛ぶんだ。

 おいらのレベル四十に強化された身体能力とレベル三の『野外移動速度アップ』をもってしても、ついていくのがやっとだったよ。

 それでも、息を切らせつつ、道すがら何とかアルトの目的を聞き出したよ。

 おいら、それを聞いて思ったよ、親が子供に聞かせるお伽話は伊達じゃないって。


 大丈夫かな、大事にならなければ良いんだけど…。


    ********


 そうこうしているうちに町に着いたおいら達。

 『野外移動速度アップ』レベル三の効果、移動速度二十五%アップは侮れないね。

 必死にアルトについてきたらいつもより、大分早く町に着いたよ。


 うんで、今、おいら達は町で一番の繁華街、その大通りに立ってるんだ。

 目の前には石で出来た立派な建物。

 平屋の建物が多いこの町で唯一の三階建、人を見下ろすように建ってるんだ。


 今は、夕暮れ前で、そろそろ仕事を終えて家に帰る人が増えてくる頃なの。

 だから、おいら達が立っている大通りも結構人通りが増えているんだ。


 そんな中で、アルトは無言のまま目の前にそれを作り出したの。


 何で出来ているのかは分からないけど、おいらのコブシくらいの大きさの青白い光の玉。

 何やらバチバチと音を立てて、火花みたいのを出してるし…。見るからにヤバめだよ…。


 おいらが不穏なモノを感じていると。


「先手必勝よ! 行きなさい!」


 アルトがそう言うと光の玉は勢い良く飛んでったんだ。

 そして、…。

 

 ドーーーン!


 耳をつんざくような大音響と共に、目の前の立派な建物の重厚な扉が木っ端微塵に吹き飛んだよ。

 問答無用で攻撃するなんて、…。

 これじゃあ、こっちが悪者のようだよ。


 一瞬、爆音が響いた方向へ、道行く人々の注目が集まったけど、…。

 扉が破壊された建物を認めると、誰もがとばっちりを恐れて足早やに立ち去って行ったよ。

 今、おいら達の周りは見事に人通りがなくなってるの。


「どこの誰だ!こんな舐めた事をしくさりやがるのは!

 ここが、広域指定冒険者ギルト、『ソッチカイ』の事務所だと分かってんだろうな!」


 破砕されて埃を建てる扉の奥から、出て来たガラの悪い連中の一人がそう叫んだの。

 そう、ここは冒険者ギルドの事務所なんだ。


「広域指定? なにそれ?」


 おいらが、聞きなれない言葉に首を捻ると。


「ああ、今は詳しい説明をしてる暇ないけど。

 冒険者って、ゴロツキばっかりでしょう、野放しにしておくとロクな事無いから。

 ギルドを組ませて、所属する冒険者が不始末を起こさないようにさせたのよ。

 ギルドってこんなロクでもない組織だけど、一応お上のお墨付きがあるの。

 まったく、ビックリよね。

 その中で、幾つもの町をシマにして手広くやってるが、『広域指定』ギルドなの。

 『広域指定』を受けると、お上のお目付け役が厳しく目を光らせるんだけど…。

 こんな、片田舎の末端組織までは目が届かないようね。」


 アルトは、時間が無いからと、早口でそれだけ説明してくれたんだ。

 その間、建物から出て来たガラの悪い連中はと言うと…。

 辺りを見回して、扉を破壊したと思わしき人が見当たらなくて苛立ってたよ。


 目の前に突っ立ってる八歳女児と、その横を飛んでいる人形みたいなのが犯人だとは思いもしないみたい。


「おい、そこのガキ! 誰がこれをやったか見なかったか!

 正直に話さないとガキだからといって容赦しないぞ!」


 連中の一人が、おいらにそう凄んで来たんだ。かなり苛立っている様子で…。

 おいらがどう返事をしようかと迷っていると。


「おっ、こいつはなんだ? 珍しいモン連れてるじゃねえか。

 そいつを物好きな金持ちに売れば、扉の修理代くらいになりそうだぜ。

 犯人がいねえなら、しょうがない。

 おい、ガキ。

 関係ねえオメーには悪いが、ちょいとそいつを寄こせや。

 こんなところにぼうっと突っ立ってたのが運が無かったと諦めてな。」


 別の男がアルトに目を付けて言ったんだ…。

 こいつ、アルトが妖精だとは思わないのかね。

 美しい長い金髪に、ひらひらのドレス、背中にはカゲロウのような翅を付けてて。

 まんま、お伽話に出てくる妖精の姿をしているのに。


 そう言って、男はアルトに手を伸ばしたんだ。


「その汚らわしい手で、妖精の長たるこの私に触るんじゃないわよ!

 この無礼者が!」


 アルトは容赦なく、その男にビリビリを食らわせたの。

 それに、とどまらず、表に出て来た連中、全体を覆い尽くすようにビリビリの範囲を拡大したんだ。


「「「「「ウギャァーーーーーー!」」」」」


 その辺中から響き渡る耳障りな男たちの悲鳴。

 アルトはそんな悲鳴を無視するように、ビリビリを放ち続けている。

 あびきょーかんの地獄絵図って、きっとこういう光景を言うんだろうね。


 すると、アルトのビリビリの範囲から免れていた年配の男が叫んだんだ。


「やべえ、あれは、『厄災のアルトローゼン』じゃねえか!

 誰だ、虎の尾を踏んだ大馬鹿モンは!

 おい、早く親分を呼んで来るんだ。

 早くしねえと、このギルドは壊滅するぞ!」


 アルト、『厄災』なんて物騒な呼ばれ方してるんだ…、ワイバーンと変わらないじゃん。

  

「誰が、『厄災』よ! 失礼ね!」


 アルトはそう叫ぶと、年配の男にもビリビリを放ってたよ。

 ただ、その前に、下っ端みたいな男が建物の中に飛び込んで行った。

 親分を呼びに行くのかな?


 しばらくすると、アルトの気が済んだようで、ビリビリが止んだの。

 おいら達の目の前には、かつてガラの悪い連中だったモノの残骸がごろごろと転がってる。

 その数は十六体もあったよ。


「ねえ、アルト、大分強めにビリビリでお仕置きしたみたいだけど…。

 これ、死んでいない?」


 おいらの前に転がっている連中はみんな、ピクピク痙攣してるよ。

 今回はかなりきつめのビリビリだったようで、髪の毛がチリチリになってるし。

 服が一部焦げて、ぷすぷすと燻ぶってるんだ。これで死人が出てなければそっちの方が驚きだよ。


「もちろん、妖精族の長たる私に抜かりはないわ。

 殺しはご法度だもの。

 みんな、死ぬ一歩手前で止めるように手加減してるわよ。

 十人中七、八人は無事だから安心して。」


 だから、それじゃあ、二、三人死んでるって。全然安心できないよ。

 しゃあしゃあと言ったアルトに、おいらが呆れていると。


「これは、アルトローゼン様。

 私共、冒険者ギルドの者が、何かお気に障ることを致したでしょうか?」


 建物の中から出て来た一際ガラの悪い中年男が、腫れ物に触るような表情で言って来たんだ。

 このおっちゃんが冒険者ギルドの親分なのかな?

お読み頂き有り難うございます。

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