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ゴミスキルだって、育てりゃ、けっこうお役立ちです!  作者: アイイロモンペ
第六章 帰って来た辺境の町、唐突に姿を現したのは・・・
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第126話 お約束の反応だったよ…

 父ちゃんが帰ってきた日。

 ミンミン姉ちゃんが幾ら小柄だと言っても、狭い父ちゃんのベッドで二人で眠るのは無理ということで。

 おいらとミンミン姉ちゃんが一緒に眠ることになったの。


「マロンちゃん、モリィシーを助けてくれて有り難う。

 私、モリィシーが何時いなくなっちゃうかと思うと不安で仕方なかったの。

 モリィシーったら、死ぬ前に一目マロンちゃんの顔を見たいって言ってたし。

 まさか、マロンちゃんに助けてもらえるとは思わなかった。」


 隣のベッドで寝息を立てる父ちゃんを見ながら、ミンミン姉ちゃんがおいらにお礼を言ったの。

 父ちゃん、すっかり体は良くなったはずだけど、ここまで旅してきた緊張感が切れたのか。

 夜になったら早々に寝ちゃったよ。


「うんうん、こちらこそ、父ちゃんを助けてくれて有り難う。

 父ちゃんをここまで連れて来てくれて有り難う。

 おいら、もう、父ちゃんに会えないと思ってたんだ。

 でも、何処かで生きていて欲しいって願ってたの。

 こうして、また会えるなんて嬉しいよ。

 ミンミン姉ちゃんみたいなキレイな母ちゃんも連れて来てくれたし。

 おいら、母ちゃんって知らないから、母ちゃんが出来て嬉しい。」


 おいらの本当の母ちゃんって、今どこにいるんだろう。

 父ちゃんに聞いても、母ちゃんのことは全然知らないって言うし…。


「私も、マロンちゃんがそう言ってくれると嬉しいわ。

 これからよろしくね。」


 そう言ったミンミン姉ちゃんも疲れていたようで、そのまま眠りに落ちたの。

 おいら、ミンミン姉ちゃんのお腹を蹴とばさないようにビクビクしながら寝ることになったよ。


       **********


 そして翌朝。


「随分早くから起きてると思ったら、毎朝庭の草刈りをしているの?」


 おいらが『カタバミ』の魔物を狩っているとミンミン姉ちゃんが起きてきたよ。


「うん、大きな声では言えないけど、これ魔物なんだ。

 凄い繁殖力が強くて、毎朝一掃しないと庭から外へはみ出しちゃうの。

 魔物が蔓延ると迷惑でしょう、だから毎朝、こうして全部狩っているの。」


「へえ、その雑草みたいなのが魔物なの? 初めて見たわ。」


 『カタバミ』を見て感心した声を上げたミンミン姉ちゃんだけど。

 なんで庭に生えているのかとか、どんな『スキルの実』をドロップするのかとは聞いて来なかった。

 庭で魔物が繁殖しているなんて普通じゃないんで、空気を読んでくれたのかな。


 すると、隣の家の扉が開いて。


「タロウ君たら、凄いわ。

 日に日に上手になっていくんだもの。

 そのスタミナにテクが備わったらもう無敵ね。

 もうお姉さん、メロメロよ!」


 タロウとシフォン姉ちゃんが出て来たの。


「おや、お隣さんは新婚さんかい。

 仲が良くて良いね。」


 ミンミン姉ちゃんは二人に声を掛けるでもなく言ったんだけど、タロウには聞こえたようで。

 こちらを振り返ったタロウ、しばらくミンミン姉ちゃんを凝視して…。


「エルフっ()、キターーーーーー!」


 何時もの病気が出たんだ、奇声を上げるやつ。

 おいら、慌てて周囲を見回して、誰もいないことを確認すると。

 タロウの庭に行って、タロウとシフォン姉ちゃんを連れて来たよ。


 四人でおいらの家に入ると、おいらはミンミン姉ちゃんを紹介したんだ。

 おいらの新しい母ちゃんだってね。


「タロウ、ミンミン姉ちゃんのことはご近所さんに秘密だからね。

 ミンミン姉ちゃんは、耳長族って言って人から狙われている種族なの。

 ここにいる事が知られて、ミンミン姉ちゃんを捕まえようとする人や。

 耳長族の里を聞き出そうとする悪者が出てくると困るから。」


 おいらは、ミンミン姉ちゃんを紹介しながら、耳族狩りの話もしておいたの。

 おいらの言葉を聞いたタロウは頷いて。


「ああ、やっぱり、美人のエルフを狩ろうとするけしからん奴らがいるのか。

 しかも、冒険者ってのがお約束だな。

 ホント、あいつら、ロクでもない事ばっかり仕出かして。」


 そんな風に冒険者の所業に憤慨してたよ。

 でも、そのエルフって言葉、いったい何処から出て来たの?


「おう、マロン、おはようさん。

 その二人はマロンの友達かい?」


 父ちゃんが起き出してきて言ったんだ。

 すると、タロウ、今度は父ちゃんとミンミン姉ちゃんのお腹を交互に見て…。


「お巡りさん、こいつでーす!」


 って、大きな声で叫びやがった、うるさいな、もう…。


「おい、おい、このニイチャン、頭は大丈夫なのか?

 突然、大きな声を上げてよ。」


「いやいや、おっさん、大きな声も上げたくなるって。

 俺の故郷じゃ、三十過ぎの男が十代半ばの娘を孕ましたら犯罪だぞ。

 お巡りさんを呼ばれても文句言えないぞ。」


 ああ、そう言えば大声はあげなかったけど、おいらも似たような事を言ったっけ。


「タロウ、おいら、言ったじゃない。

 耳長族は長寿なんだって、ミンミン姉ちゃん、今三十六歳だって。

 父ちゃんよりも年上、タロウと同じ姉さん女房だよ。」


「うおおおおお、合法ロリキターーーーーー!」


 ええい、(やかま)しい…。


「タロウ君、いったいどうしちゃったの?

 急に変な声を出して。

 もしかして、お姉ちゃん、毎晩無理をさせ過ぎちゃったかしら。

 今晩は少しだけ休ませてあげるから、正気に戻って。」


 ほら、シフォン姉ちゃんも心配してる。


「おい、マロン、そのニイチャン、本当に頭は大丈夫か?

 付き合う相手は少し選んだ方が良いぞ、父ちゃん心配だよ。」


 おいら、結局、タロウのことをみんなに説明することになったよ。

 早くチューニ病を治してもらわないと困るよ…。


「ほお、タロウ君はにっぽん爺と同じ場所からきたのか。

 そこは随分と変わった場所らしいけど。

 また、ずいぶんと妙ちくりんな病気が流行っているんだな。

 まあいいや、にっぽん爺が問題ないというなら、問題ないんだろう。」


 父ちゃんはにっぽん爺と懇意にしていて、にっぽん爺を変な人だとは決して言わないんだ。

 むしろ、物知りのにっぽん爺を尊敬している感じなの。


「良かった、お姉ちゃん、タロウを酷使し過ぎて壊れちゃったのかと思った。

 そう言う発作が出る病気なのね。

 お姉ちゃん、タロウが少しくらい変な病気を持っていても気にしないからね。

 これからも、ずっと一緒にいるから安心して。」


 シフォン姉ちゃん、タロウが心の病だと聞いて少し気の毒そうな表情を見せたけど。

 その後、一所懸命に励ましてたよ。

 良かったね、タロウ、見捨てられないで。


    **********


「全く、朝から騒がしいわね。ご近所にまる聞こえよ。」


 『STD四十八』の連中を迎えに来たアルトが呆れ顔を見せて入って来たよ。


「あっ、アルト、おはよう。

 聞いて、父ちゃんが帰って来たの。

 父ちゃん、酷いケガをしてたのに無理して帰って来てくれたんだよ。

 おいらに会うために。」


 そんなアルトにおいらは父ちゃんを紹介したんだ。


「あら、良かったわね、マロン。

 あんなに会いたがっていたお父さんが帰って来て。

 でも、こんな小さな子を放って三年も行方不明になるなんて…。

 よっぽど酷いケガをしていたのね。」


 アルトが父ちゃんの体を見ながら、そんな言葉を口にすると。


「あなたが、マロンを助けてくれた妖精の森の長ですか。

 マロンがお世話になり、本当に有り難うございました。

 マロンがこうして無事なのは、長のおかげだと伺っています。

 昨日までは体もボロボロで、何時まで生きられるものかと思っていたのですが。

 マロンから『妖精の泉』の水を分けてもらい、こうして元気になりました。」


 父ちゃんはアルトに感謝し、頭を下げたの。


「そう、元気になったのなら良かったわ。

 私は、近くにある妖精の森の長、アルトローゼンよ。

 これからは、マロンの傍にいてあげてね。

 まだまだ、甘えたい盛りの小さな子なんだから。

 よろしくね…、って、そっちの娘、『森の民』の生き残り?」


 アルトは、ミンミン姉ちゃんを見て驚いていたよ。

 『生き残り』なんて言っているし、アルトも耳長族の住んでいるところを知らなかったのかな。

お読み頂き有り難うございます。

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