ᓚᘏᗢ 秋の報せ ᗢᘏᓗ
十月も中旬に差し掛かる頃。
ふと覘いた網戸の向こうに影が映った。
網戸を開けると近寄って来るウチの猫。
中に入れると擦り寄って来た。
外から帰ってきた猫を脇に手を入れ、抱き上げる。
すると手に硬い粒々した感触が伝わった。
布団の上へと行き、私は腰を下ろす。
座った股座の上に猫を仰向けにして置く。
猫は慣れているためにされるが儘だ。
片手で前足を片方握り、暴れないようにして腹を見る。
白い腹。とりあえず、もふもふ。手で撫でる。
そこには緑色をした植物の種のようなものが引っ付いていた。これが先ほどの硬さの原因だ。
空いている方の手で摘まんで取っていく。
纏めて取れる分は良いが、数が少なくなると一つづつ取らないといけなくなる。
毛の奥に入り込んでいると取り難い。猫の手を押さえている方も伸ばして毛の皮膚側を押さえて強く引く。
見た目取り終えると、他にないかと右に左に横に向けたりして確認をした。
後ろ足にも見つける。二粒あった。
他に見当たらなくなったので、最後の確認。
仕方なく。そう、仕方なくだ。猫の全身を撫で捲る。目で見切れない物を見つけるためだ。
もふもふもふ。毛の奥に潜む硬い手触りを見つけ毟り取る。
もふもふもふもふ。他にないか丹念に確認する。
もふもふもふもふもふ。大丈夫そうだ。
もふもふもふもふぅー。念には念を入れて。
ももももも。ふふふふふ。あ、また尻尾に一粒見つけた。
しょうがない。仕様がないんだ。確認を怠るわけにはいけないのだから。
なでなでなで。くんかくんかくんか。わきわきわき。むにむにむに。
ちゃんと猫にも満足頂ける様に首筋なども掻いてあげる。カキカキカキ。
猫も満足そうにゴロゴロと咽喉を鳴らしながら手の上に顎を乗せて目を閉じる。
秋。
この季節になると、外の放し飼いの猫は身体にいろいろな土産物を付けてくる。
長年、猫と暮らしていると感じる秋の報せ。
秋の、猫とのスキンシップ。
たぶん2021年 10月09日ごろ作成




