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第七話 コミュ障の俺、割と口悪いというのをご存じだっただろうか


地図と、俺のノートと筆談用の紙を睨みながらうんうんと唸っている男女二人。

俺はノリノリで筆談用の紙にどんどん説明を書き連ねていく。

ふふ・・・。

人と会話できてる、俺、成長した(※会話してません)。


[で、フライシュライト州の特産が主にグローベリーで、用途は蝋燭や食用、薬、毒など…]


「待て、一旦ストップ…おい、聞いてるか!?一旦ストップ!」


あ、ペン取り上げられた。

二人はもう訳がわからんといった具合に頭を抱えている。

まあ、手が痛くなってきたし、いいか。


部屋に常備されている筆談用の羊皮紙を大量消費しながら、俺は部屋であんまり授業内容がよくわかっていない二人に授業内容のおさらいをしていた。

氷空がどこからか眼鏡を取り出し始める。

あ、もう疲れて目が機能してない。

メリーはもうよくわからないけどおばかちゃんになってそう。


最近よくわかってきた二人の癖というか、その状態に、俺は一つため息をつき、氷空からペンを取り上げて言葉を書く。


[じゃあ今日は終わり]


「「え」」


急な授業終了宣言に氷空とメリーが困惑の声をあげる。

そんな疲れた頭では入るものも入らない。

勉強には向き不向きがあるんだから、ゆっくりやればいい。

…最低でも、抜き打ちテストで赤点取らないくらいには。


こっちの世界の赤点は30点となかなか優しめ(※彼の大学での赤点は70点です)なのでまあ、どうにかなるだろう。


最初の授業から三週間が過ぎ、一通りの座学は終わった。

これからは戦闘訓練も視野に入れていくとのことで、明日テイムモンスターを従える前準備として召喚スキルの取得をしたら、本当に座学は少なくなる。


戦闘訓練で疲れた体になってからだと座学は難しいと思ったが、これはゆっくりじっくりやらなくては無理そうだ。


因みに、物理法則とか以外に地球で習ったものはあまり役に立たないので侮ることなかれ。

いや、なんで砂漠に松の木(らしきもので、正式名称フィエン)があるんだよと聞きたかった。

異世界だから、と割り切ったが。

そんなもんだから、あんまり知識に期待してはいけない。


「お、俺はまだ勉強できるぞ」


「わ、私もれふ〜」


[死臭が漂ってきそうだから終わり]


これは個人的な感想になるが、今にも死にそうな顔と目をしているので、そう言う表現をしたわけだ。

俺は家族に顔はいいが口は悪いと言われ続けた男…。

いいんだよ、どうせ他人と話さないから。


俺がさっさと勉強道具を片付けて仕舞えば、二人は何も言えない。

イヴァに頼んで部屋に置いておく酒の量も制限してあるし、あとは寝ろと言いたい。

というか、酒盛りし過ぎたら記憶飛ぶ、からの勉強したところがパァとか、笑えない。


「わかったよ…」


理解してくれて何よりである。

俺は頭を使った分の糖分補給に砂糖菓子を口に放る。色は白寄りの黄色、クリーム色みたいな感じで、この世界ではサトウキビ(らしきもの、正式名称ソルサ)で作る砂糖はいいものはこんなクリーム色をしているらしい。


地球だと黒糖が体に良く、白砂糖はあまり体に良くないとされていたが、こっちではまるっきり逆らしい。色が。


すると、氷空がそういえば、と言った感じで俺とメリーに向き直る。


「お前らの称号の効果ってなんだ?」


グフッ。…吹き出す音出せないってなんて鬼畜?

唐突すぎる質問に、砂糖を吹き出しかけたが、どうにか抑えた。

メリーが確かに、という顔をしているあたり、俺に逃げ道はなさそうだ。

ハァ・・・。

俺はゴロンとソファに横になると、筆談用の紙に一言書いて耳を塞いだ。


[勝手に見てくれ]


「お、おう・・・なんかごめん」


俺たちは座学の中で鑑定スキルを取得した。

相手との実力差があったり、隠密等が発動していたりすると文字化けしたり不発に終わったりするのだが、今は全員同じレベル、俺も隠密なぞ全く発動すらしていないので丸見えである。プライバシーは守られない。


因みに、前見たのはスキルの名称とかだけなので、効果は知らない。

俺はなんと無くスキルの効果とか見たくないので見ていないのだが。

いや、戦闘訓練とか始まったらみるけど。流石に戦闘スタイルに響くし。


そんなことをしている間に向こうは鑑定を発動させたらしく、真剣そうな声色でふむふむと効果を確認している。


「因みに今好感度どれくらいなんだ?」


[2]


と指で示す。

好感度レベル2以下の奴とは話せないので、実質あと一個上がったら会話できる。

けど、そもそもまともに喋れる気がしない。

もう永遠に好感度上がらないでと思っている。

因みに、好感度はお互いがお互いをどう思ってるのかに関係してくるため、たとえ氷空が俺のことガチで愛してる、とか言われても、俺がそうでもなければそこそこの数値に落ち着く。

と、前好感度について鑑定したら出てきました、まる。


俺は起き上がって筆談用の紙につらつらと言葉を書いていく。


[因みに、俺は根っからのコミュ障だから喋れるようになっても喋れない可能性大]


「あ、うん。無理はすんなよ」


氷空がやんわり慰めてくれた。

もとよりするくらいなら脱走する心持ちです。


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