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第三話 コミュ障の俺、王に謁見する


どうやら、勇者に与えられる称号は決まっているらしく、全部で108種類あるらしい。

なぜ108?煩悩の数?

まあ、それは置いておいて、彼曰く、日常的に喋るのが難しくなる称号もいくらかある、らしい。

大体それを持った人たちは魔法を使うときに必要な詠唱ができずに困るらしいが。

・・・俺も困りそう。ステータス魔法系に振り切ってそうな感じなのに。


「『言霊師』か、はたまた『強奪者(シーフ)』、『死人』…後あるとすれば…なんでしたかな。最後の一つは本当に稀にしか称号を受け取る人がいないものですから、老ぼれの頭には残ってないようです」


言霊師はいいとして、強奪者(シーフ)と死人って何?

死人はわかる。死人に口なしっていうからな。

後はわからん。


「…お前災難だったな…」


氷空が憐れむような目でこちらを見ている。

好感度ゲージ一回下がって同じとこまで戻ってきたんだが。

まあ、そんなものは見えないふりをして本当にそう思うわ…みたいな感じでうんうんと頷く。


「称号によっては何かに触っただけで特定のものに変質させてしまったり、壊してしまったりもしますから一概に災難ともいえかねますが…それ故強いのですよ。勇者様方は」


「では、参りましょう」とライゼンさんは歩く。

その間に国王様について、というかもう盲信的信者のマシンガントークを聞かされた。


超素晴らしくて超下々のことを考えていて超優しい最高の国王というのを50周くらい聞かされた。

これが耳にタコができるという感覚か、と会人は現実逃避と同時に悟ったのだった。


そして、もう何回聴いたかもわからない最高級の賛辞を右から左に聞き流していると、ようやく荘厳な扉の前にやってきた。


どちらかというと王座、というより執務室、という感じの扉の大きさだが、ライザンさんは護衛らしい兵士に何やら合言葉らしきものを言うと手を扉にかざす。


すると、薄く緑色に光ったかと思うと、扉が開いた。


「失礼いたします」


「んー入ってー」


ライザンさんのかしこまった声とは裏腹に、返ってきた声は間延びした軽い声だった。


それに俺たちは若干がくっとしつつも、部屋を見渡す。


王様がいそうな荘厳で美麗な雰囲気はあるが、そこまで飾り気の多い方では無い。

控えめな美しさを醸し出していて、さながら庶民的なセレブといったような感じだ。


会談を行うために置かれている椅子とソファは品質こそ最高級なのだろうが、こちらもシンプルな無地の布。

そして、部屋の窓側に置かれている執務机に頬杖をついている20代行ったかどうかというくらいの青年が一人。


率直に言おう。

クッソイケメン(特大ブーメラン)。

品の良さそうな薄紫に白のメッシュの髪、金色の琥珀のような目。

着ている服はスーツに近いが、軍服のような感じで所々に紋章や飾りが入っている。


「まーとりあえず座って。あ、お茶いる?」


そして超ノリが軽い。

同級生かってくらいノリ軽いわこの王様。


なんか薄い青っぽいお茶差し出してきたけど、とりあえずテーブルに置く。


「まー、ようこそ。歓迎するよ勇者様。現国王のイヴァル・コーツァル。ま、好きなように呼んで」


ひらひらと手を振って国王__イヴァルは自己紹介をした。

なんかイヴァルって呼びづらいからイヴァって呼ぼう。


「んじゃ、ちょっとこれからについて説明しよーね。まあ、今から言うことやってくれれば後はご自由に生活してくれて構わないんだけどね。じゃ、ライザン。後はこっちでやっとくから仕事戻っていいよ」


「はっ!!」


無駄に無駄のないキビキビとした動きで退室していったライザンを見送り、イヴァは3枚の紙と睨めっこを始めた。


「えーと、国王サマ?そんなにノリ軽くて大丈夫なのか?」


うわ、氷空、それはあまりにもデリカシーが。


「え?大丈夫だよ?こんなんでも僕はちゃんとした方だからね?他の国の国王なんて息しただけでキレる奴とかいるし。後国王は堅苦しいから却下ね」


超マシンガントークで氷空の疑問に答えたイヴァ。

氷空がポカンとしてしまっている。


「え、えーと、イヴァルさん?私たちは何をすればいいんでしょうか?」


メリーが恐る恐るといった感じでイヴァに進言する。

それにイヴァはん〜〜という感じで空を見上げた後、端的に答えた。


「勉強と訓練」


・・・。

エ、ソレダケ?


「まあ、それについては今から説明するね。とりあえず君たちお互いのステータス確認しよっか」


睨めっこしていた紙を氷空に手渡す。どうやら水晶に映っていたステータスを書き下ろしたものらしい。

…まあ、ステータス見られたら称号もバレるんだけど。

もうこれ割り切ってしまった方が楽だ。


「…会人、お前…ぷぷっ」


あからさまに笑うな馬鹿。

笑いたくなる気持ちわかるが。

すみませんでしたねコミュ障で。

ついでに隠れたがりで。


「ははっ!ヤベェ我慢できねえ・・・くくっぐへっ」


イラついたので一発殴ってやった。

この世界はHPの概念がないから、どれくらいで死ぬのかがわからない。そこんとこちょっと怖い。


「わ、悪かったな・・・くくっ。だが、それでとやかくいうつもりはねぇよ。俺の称号も笑われて当然だからな。仲間だ」


そう言われて手渡されたのは氷空のステータス。


_____________________________________


名前:ソラ・アマクサ


種族:人族(勇者)

Lv.1


MP:1000/1000

攻撃力:200

防御力:50

知力:70

器用:20

素早さ:85


スキル:創造[10]虚偽[8]表裏[5]再生[5]集中[5]闇魔法[1]


称号:創造者[1]仮面使い[1]

_____________________________________


ぶっ!!


思わず吹き出す。

器用が20のくせに創造者って・・・。

ついでに結構ぶっきらぼうなのに創造者って!


声には出せないが、お腹が痛い。

その様子を見て氷空は微妙な顔をしている。


そして、俺の笑いはむくれて自分のステータスを差し出し始めたメリーのジト目に気づくまで続いた。


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