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プロローグ コミュ障の俺、召喚されて勇者になる

新作です。

勇者がコミュ障だったら…?と思って作ってみました。

ちょっとした羽のばし作品なので、ちょっと設定がガタガタしてるかもですが、よろしくお願いします。

渡辺会人わたなべ かいとは日本にはどこでもいるような大学一年生だ。

人と違うところと言えば、若干見た目麗しいのと、ちょっと科学に興味があるのと、コミュ障なところくらいである。


見た目としては、身長は平凡で、雪のように白い髪を後ろで束ねている。目は黒、ほとんどの確率で死んで見える。

そして、カッコいいのかださいのかがいまいちわからないバツ印のついたグレーのマスクを常時着用している。

ものを食べる時はマスクを着けたまま食べるので、家族以外が顔の下半分を見たことがないという。


そんな彼は、今まさに戸惑っていた。


昨日は明日大学の授業とバイトが詰まっているため、早めに寝ようとベッドにダイブインしたはずなのだが、気が付いたら見知らぬ暗い部屋にいたからだ。

こういう時、人はそのまま叫んで周りに迷惑をかけるか、一周回って冷静になるかのどちらかである。

会人はぎりぎり冷静になって、今いる部屋をきょろきょろと見渡し始めた。


壁、床共に石でできており、そこに座っている自分の尻が痛い。

床は淡く光っており、その発生源は床に描かれている幾何学模様の図形。

これはいわゆる魔法陣という奴か、と彼はあたりをつけた。


そして、目の前で結構な喜びの雄たけびを上げている成人男性約10名。

一瞬原始の地球に来たのかと思った。

彼らは皆一様にデザインの同じ色違いのローブを着ていて、その中でも装飾が多い人がなおさら喜んでいる。

その人、恐らく60代前半くらいなのだが、子供のように喜んでいるさまはなんだかシュールだった。


と、他人事のように考えていると、窓がないことに気付く。

恐らくここは地下室なのだろう…と思っていると、不意に両サイドから肩を叩かれた。


「おい、おい!聞こえてんのか!」


「ちょっと、もしかしたら耳の障害をお持ちなのかもしれないでしょう、手話ならわかるかしら」


急いで会人がチラ見すると、茶髪に赤メッシュの2,3才ほど年上に見える男と、こちらは2,3歳ほど年下に見える金髪碧眼美少女がいた。

言葉から察するに、二人に呼ばれ続けていたのに、気づかず自分の世界に没頭していたらしい。

とりあえず返事をしようと、口を動かした。


が、


「ッ!!?」


思うように声が出ない。

声帯が活動停止した様な、無理やり止められている感じがする。

その様子にいっそういら立つ男と、困惑する美少女。

なんだか申し訳なくなって、とりあえず手話…は無理なので、メモ帳に筆談という形でコミュニケーションをとることにした。

幸い、昨日はめんどくさがっていつも通りの服で寝たため、メモ帳もパーカーのポケットに入りっぱなしだ。


とりあえず言葉を書いていると、なんとなく二人は会人が耳が聞こえないんじゃなくて喋れないんじゃないかと察し始めた。

そして、メモを見せる。


[今諸事情で喋れません。耳は大丈夫です。少し考え事をしていただけなので]


それを見て、男はようやく落ち着いたようで、ぶっきらぼうながら、自己紹介をしてくれた。


「俺は天草氷空(あまくさ そら)。カリカリしちまってすまねえ。大学三年生だ」


「私は秋雨(あきさめ)メリーです。高校三年生です。よろしくお願いします」


[俺は渡辺会人です。大学一年生です。よろしくお願いします]


普段会人はそんなに言葉使いがいい方ではないのだが、流石に初対面だ、頑張るに越したことはない。氷空は良い感じの兄ちゃん感があって少し落ち着く。メリーは礼儀正しくて、人をイラつかせないような感じだなと思った。


すると、若干仲良くなった三人のもとに、ようやく興奮が収まった10人組の中から、装飾が派手な人が出て来る。

恭しく一礼すると、跪き、会人達に向かって言葉を発した。


「取り乱し、お見苦しい姿をお見せいたしましたこと、お詫び申し上げます。わたくし、コーツァル国宮廷魔導士のライザンと申します」


聞いたことのない国名に、魔導士という単語。

今気づくのは超鈍感だが、会人はここが恐らく異世界なのだということを悟った。

何で遅くなったかと言えば、彼自身が最近忙しすぎて日本のエンタメ文化を堪能する暇がなかったからである。


「んで?なんで俺らを呼んだんだ?」


そんなことはどうでもいいとばかりに氷空がライザンにかみつく。

それをメリーははらはらしたように見つめている。

会人はというと、止めたほうがいいのはわかっているが、なんとなく止めれそうな感じがしなかったので静観している。

というか、いまだに声が出そうにないので、筆談でやるにしても、口喧嘩を止められる気がしなかった、というのが真意だ。


ただ、そのかみつきに動じず、むしろ少し申し訳なさそうな顔をしてさらに一礼するライザン。


「まずは私の話を…いえ、結論から言ったほうがよろしいでしょう」


会人たち三人がゴクリとつばを飲み込む。

ライザンは一つ咳ばらいをすると、目的を端的に述べた。


「皆様には勇者様となり、この世界の破壊をもくろむ魔王を倒していただきたいのです」


その時、会人はこう思った。

俺、テンプレに巻き込まれたらしい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] キャラクターの名前や設定画とてもいい、コミュ障勇者、初対面の魔王にわざわざお辞儀と化しちゃうのかな~とか、そんな事を思いながら読み進めたい [気になる点] 真面目に二つほど ・いきなり異世…
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