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プロローグ

初めましての人は初めまして。

お久しぶりの人はお久しぶりです。

タンバです。


今回は息抜きで書いている新作を投稿します。

あくまで息抜きなので、温かい心で見て頂けると嬉しいです。


それでは楽しんでいただけたら幸いですm(__)m


 ムーラント大陸中央部。

 ログレス騎士皇国。




「ねぇねぇ? Sランクの任務を一人で片づけるうちの隊長って何者っすか?」

「私が知るわけないだろ……聖騎士になったばかりで、功績をあげまくり、最短で小隊長になった逸材。魔法はまったく使えないが、とにかくめちゃくちゃ強いってことは確かだ」


 後ろでペチャクチャと喋っている部下の男達をよそに、俺は今回の任務である盗まれた宝石の奪還を果たす。

 周りには聖騎士たちを悩ましていた極悪非道の強盗団のなれの果てが転がっている。数名の実力者がおり、そいつらが何度も追撃部隊を追い返していたらしい。

 普通の強盗団にはあるまじきレベルの護衛だった。まぁまぁ強かったといえるだろう。


「任務完了っと。帰るぞー」

「まぁ任務完了は完了なんっすが……別の部隊の任務っすけどね」

「遅い奴らが悪い。準備なんてしてたら逃げられるだろ? 逃げた盗賊が村を襲う可能性を考えたら、さっさと倒すに限るさ」

「むちゃくちゃっすね……相変わらず。だから〝無法騎士〟とか言われるんっすよ?」


 魔法が使えないことと、ルールを破るということ。

 それらを合わせて俺のことを〝無法騎士〟と呼ぶ者は多い。

 まぁ任務を取られた奴らの僻みだ。いくら言われたってダメージはない。


「無法で結構。決まりがすべてじゃないさ。んじゃ、後始末は本来の部隊に任せて聖都へ直帰だ。姫様に会えるかな?」

「いや、無理じゃないっすかねぇ……いくら手柄をあげてるとはいえ……横取りじゃちょっと」

「横取りじゃない。俺たちが早かっただけだ。しかし、そっかぁ……まぁそのうち会えるだろう」


 暢気に呟きながら俺は馬に跨った。

 後ろでは部下たちがまたヒソヒソ話を始めていた。


「やっぱりあの噂は本当なんじゃないっすか……?」

「どの噂だ? 実は大国の王子だとか、実は英雄の弟子だとか」

「違う違う。それじゃなくて、隊長は円卓の聖騎士セント・オブ・ラウンズの座を狙ってるっていう噂っすよ」

「さすがにそれはないだろ……円卓の聖騎士はログレス騎士皇国の最高幹部だ。それに化け物揃いの集団でもある。大陸最強といっても異論が出ないほどな」

「でも……しきりに姫に会いたがってるし……」

「ただ単に姫殿下に憧れているだけさ。聖皇家に仕える聖騎士なら誰しも憧れる。あの人が特別ってわけじゃない」

「けどぉ……会えるのが当然みたいな口調で話すし……」

「やめておけ。噂は噂だ」


 部下たちの無駄話が終わる。

 あえて何も言わなかったが、噂話ってのは恐ろしいものだ。

 誰かの想像から発生した話だっていうのに、的を射ているんだから。

 そう、俺は大国の王子だし、英雄の弟子だし、円卓の聖騎士の座を狙っている。

 まぁ、惜しいのはそこで止まっている点だ。

 俺が本当に狙っているのは円卓の聖騎士のさらに上。

 ログレス騎士皇国を束ねる姫殿下の夫の座だ。

 それも十年前から狙ってる。

 とはいえ、楽な道ではない。会うことすらまだ叶ってないし、円卓の聖騎士の座も遠い。

 だが、そんなに簡単に行くとは思っちゃいない。


「早く城に行きたいなぁ」


 俺はまだまだ新米聖騎士。

 手柄を立てて、隊長になったとはいえ全体から見れば下っ端だ。

 呼ばれないかぎり城には行けない。

 もどかしく感じるが、それもまた一興。

 十年待ったのだ。

 今更、焦ったりはしない。

 ゆっくり、確実に行くとしよう。

 彼女はあの城から動かないのだから。




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