序章
…我が記録を読む者達へ……今なお続く光と闇の戦争の始まりを知って頂きたいのだ…。
この広大な大陸には巨大な国が存在していた。そして《王都ダストニア》を中心に絶対神と呼べる王が治めていた。王は光ある者達を愛し、闇なる者達を受け入れ、民が平等に暮らせるよう…秩序を持って平和が保たれていた…。
…だが……。
偉大な王であっても病には勝てなかった…。日を追う事に病状は悪化し、時を待つのみとなってしまう。
王は己の後継者として2人の我が子に国の命運を託そうとしたのだが…。
兄《レイン=ダストニア》は言う…。
「我が力を持って如何なる不安を民から遠ざけてみせます。そしてあらゆる恐怖から守り、秩序と安定を望みます」
弟《アッシュ=ダストニア》は言う…。
「我が偉大な父上のように民を愛しています。他の国とも積極的に連携し、種族など隔たりなく繁栄と調和に努めたいと思います」
代々王族では王位継承者は1人と決まっており、その掟によって王は迷いに迷った…。レインは若くして騎士団長まで上り詰め、武芸においてその年代では群を抜いていた。一方、アッシュは王としては若干幼かったがその有り余る才能で内政と外交、共に長けていた。
……王は運命を呪っていた。王としての器と才能ある2人を同時に生み出し事を……。
そしてついに……苦渋の決断を下した。王位は弟であるアッシュ…。
……が、この決断が最悪の事態へと向かっていったのだった……。
長兄である自覚と期待…王族として責任…そして自らが信念が砕けさった時、レインの中で何か壊れしまっていた。
最悪な出来事が現実に……それはレインの手によって王が殺害され…そして王位継承者であるアッシュをも殺害を企てようとしたが幸いにも難を逃れた。
だが……王殺害の事件後には不可解な謎が残された…。
【重罪人のレイン】
【王剣=ヘリュンドラ】
【ミリア王妃】
いずれも行方が知れず、消息に関しても一切不明であった。この出来事に多くの民が悲しみに包まれ、絶望の淵にたたされた……。
しかし、亡き王に見いだされたアッシュはその才を振るい、徐々に復興に着手してゆく。
だが……いつの頃からか闇の民に反旗を翻す者達が現れ始めた。それは光への反乱である……。圧倒的な武力によって反勢力は拡大の一途を辿り、いつしか一つの国家として成り立つまで膨れあがっていた。
それが永きに渡る光と闇の戦争の始まりであったのだ……。
今…わかってること……闇側には神と崇められている強大な指導者の存在……。
黄昏の記憶 1章
~モートレッド卿~