自己紹介
遅くなってすみませんでした
「着いたぞ」
しばらくしてたどり着いたのは本通りから離れているだけのいたって普通の小屋だった。
「とりあえず中に入れ」
そういって、中に入っていった。ここまで来て考えることもないのですぐ後に続いて家に入ることにした。
「お邪魔しま~す」
たぶん気にしないだろうけど一応挨拶をして中に入った。中を見渡してみたが、中も外見から得られる印象と同じで必要最低限のものが置いてあるだけの質素なものだった。一通り部屋を見渡したので、そろそろ泊めてくれる目的を聞こう。そう思い荷物を片付けている家主に声をかける。
「あの~、何で自分を泊めてくれるんですか」
「ん?ああ、単純に興味が湧いたからじゃ、そんなことよりもお主料理はできるか?できるならそこの食材を使ってなんか作れ」
「え?」
突然料理をねだられたんだがそういうのって初対面の人に頼むか普通、まぁ自炊はしてたから料理はできるけどさ、何か気乗りしないな。
「作れますけど、どうして僕が作ることになるんですか?」
「面倒くさいからに決まっておろう。それにわしは宿無しのお主を泊めてやってるんじゃ。恩返ししたくて仕方がなかろう」
「・・・」
いろいろ言いたいことはあったけど恩があるのは事実だから何も言えなかったため、言われたとおりにするのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とりあえず料理は作った。といっても大した設備がなかったので適当に炒め物を作った。
「さあできたぞ。言われた通りにしたんだからいろいろ教えてくれよ」
「うむ、いつまでも引き延ばすのも飽きてきたからよいぞ。とりあえず自己紹介でもしようかの」
これってもしかしなくてもからかわれていたってことか。しかも勝手にやっといて勝手に飽きるのかよ・・・、厄介な奴に目をつけられたもんだ。
「わしの名はレウィンという。エルトピア王国西区の冒険者ギルドのギルドマスターをやっておる」
「・・・マジ?」
「冗談は言わんぞ」
うわーい、ただものじゃないと思ってたけど相応の地位にいる人だー。
「ほれ、次はお主の番じゃ。偽名ではなく本名じゃぞ」
レウィンは出会ったときにとぼけようとしたせいか釘を刺してきた。この人には嘘をついてもとぼけても意味がないことを完全に理解したのでこの人の前では極力素直でいよう。
「自分は佐藤翔太といいます」
「ふむ、珍しい名じゃの。やはり王は勇者召喚を行ったか」
「ゑ?どうしてそれを」
勇者召喚のことを知っているとか絶対やべーやつだよこの人。
「なに、最近王城で気になる動きをしていたから少しな。それよりも異世界人があそこを出歩いていて何をしていたんじゃ?」
「ああ、それはですね、召喚時の強い光を利用して隠れて町まで出てきたんですよ。ちなみにもう一人召喚されていてそいつが勇者にされていますね」
「なかなか薄情な奴じゃのうお主は」
うん、正直申し訳ないと思っているから機会があればあいさつしに行きたいと思っている。
「まぁこんな感じで路頭に迷っていたわけです」
「つまりこれから何をするかも決まっていないということじゃな。そこで、提案じゃがわしのギルドに所属しないか?」
「・・・え」
今俺スカウトされた?
「なんで自分を?先に行っておきますけど俺全然戦えないですよ」
「いや別に戦闘面に期待して誘っているわけじゃないから安心せい、連れてくる前にも言っていたがお主の隠密能力を買っているんじゃ」
「いやでもギルドで活動するには力不足ですよ」
「これは秘密なんじゃが、わしのギルドは表向きは冒険者ギルドじゃが裏の仕事も行っておるのじゃ。そういう仕事をしているのも一部の組員だけでの、そこでお主の能力はそこで活躍してもらおうと思うんじゃ。まぁ普通のギルドアピールとして普通の依頼も受けてもらうがな」
秘密だと言われたら、断ることができなくなったじゃないか。もう観念しておとなしくギルドに所属するしかないじゃないか。
「はぁ、分かりましたよ。所属すればいいんでしょう」
「おお、感謝するぞ。まぁ安心するがよい、裏の仕事とは言ってもわしらは抑止力みたいな立ち位置じゃからな。お主に対しての依頼も戦闘がないようなものを選んでやるしこちらでもサポートはしてやるからの」
そういって俺に笑いかける。この見た目だけ少女コワイ。
「よし、そうと決まれば登録をするぞ」
「ここでできるんです?」
「うむ、わしには権限があるからな。さっさとやるぞ、善は急げじゃ」