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勇者は嫌なので隠れる

 学校終わった後、俺こと佐藤翔太は友達と共に帰路についていた。


「そうだ、今週の日曜日翔太の家に遊びに行ってもいいか?」


 今しゃべったこいつは浅野光輝、抜群の運動神経をもち気配りがうまいやつで、勉強以外のことなら頼りになる。


「別に気にしないが、どうせ来週までの課題を見せろって言うんだろ。いい加減に一人でもできるような努力をしろ」


 小学校の時からの腐れ縁で家もそれなりに近かったため、自然と一緒に過ごすようになった。光輝はスポーツ万能でコミュ力もあるからすごい人気がある。それに比べて俺は、成績も身体能力も容姿も地味で、光輝に注目が集まるため、クラスでは空気のような存在である。正直目立つのは嫌いだし、自ら背景にいるモブになることを意識して過ごしているから気にしないし、むしろとても助かっている。ちなみに俺は授業終わりに出席していたことを教師に毎回報告しなければならないぐらい空気であり、店でもお会計や注文でも苦労していた。光輝がいなければかくれんぼで探されることもなく一人寂しく隠れていたんだろうなぁ(泣)。


「前もそういわれたから、やろうとしたんだけど分からなかったから仕方ないだろ。後生だから頼む」

「はぁ...どうせ何を言っても変わらないだろうから不本意だけど見せてやる」

「サンキュー!」


 そんな他愛のない話をしていると、突然地面が光り始めた。


「何だこれは!」


 二人が突然の現象に驚き慌てている中、俺は何となくこれが何が起きるかが分かった。

(これはラノベでよくある異世界召喚なのでは?ということはこの後は勇者にされるか、女神が現れるかだろうなあ、目立ちたくないなあ)

 そう思ってカバンからサングラス(パーティーなどで使う用)を取り出し、装着した。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 まだ強い光が出ているがサングラスのおかげで景色が変わるところを確認したところで近くの大きな柱に急いで隠れて息をひそめ、光から目を覆っている国王やその部下らしき人々を観察する。そして、光が収まっていったところで国王が話し始めた。


「よくぞ来てくれた、勇者よ。私はニバル・ベル・フォン・エルトピア、このエルトピア王国の王である。此度は突然のことで、混乱していると思うがまずは名を聞きたい」

「あ、はい、ええっと、浅野光輝です」

「アサノだな。では召喚の理由についてだが最近各地で魔物の動きが活発化していてな、調査したところ魔族が魔物を率いている姿が確認されたとの報告があったのだ。このことから魔王の出現が危惧されている。その魔族を討伐したいのはやまやまだが魔物の対処に追われていて魔族の討伐にまで手が回らなくてな。そこで勇者には件の魔族の討伐と魔王の情報収集を頼みたい」


(魔王が現れたかもしれない、か...。まだ情報がなさ過ぎて何もわからないが独自で調べていくしかないな)

 話を聞き考え事をしていると光輝が口を開いた。


「三つほど質問があるんだがいいか?」

「うむ、答えられることならば何でも答えよう」

「じゃあ、一つ目は俺は元の世界に帰ることができるのか?」

「そのことについてだが今は無理だ。勇者を召喚するに当たって召喚の魔法陣の魔力を使い果たしてしまったため、かなりの充電時間が必要なのだ。もしかしたら、この世界の神にお願いすると帰られるかもしれぬがそれでも今は無理だ」

「そうか...」


 国王は申し訳なさそうな顔で質問に答える。それを聞いてから隆二は二つ目の質問をする。


「二つ目は俺たちに本当に戦う力があるのかということだ」

「召喚されたものにはスキルと力が備わるそうだ。落ち着いてから魔道具でそなたの能力を鑑定し、その後戦い方や知識を授けるつもりだ」

「分かった。じゃあ最後の質問だ。俺たちがこっちに来る前にもう一人いたんだが知らないか?」


 光輝すまんな。いるにはいるが俺にとってはいないと思われたほうが助かるんだ。後で、姿を見せるから今は隠れさせてくれ。


「誰のことを言っているかはわからぬがそなたしかおらんかったぞ」

「そうなのか...、他にすることもないからその魔族の討伐に協力しよう」

「感謝する。ではそなたの部屋に案内するのでそこの侍女について行ってくれ」


 そして、光輝は部屋を出ていく。それから少しした後国王が動き出した。


「それでは私も部屋に戻る。各々部屋に戻ってそれぞれの業務に戻れ」

『ハッ!』


 部屋にいた人々が国王に続いて出ていく。


「やっと、全員出てったか...、俺もバレずに城を抜け出そう」


 この後、何事もなく城を脱出した。

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