仲間が死んだ
回転数良好ー
スロットルを全開にし
操縦捍を前に倒す
機体は前へと走り出す。
だんだんスピードも速くなっていき
機体の尾部が上がってくる
約90ノット(150キロ)になってくると
機体も水平に近くなってくる。
操縦捍を今度は引く、するとガタコトと
なっていたタイヤの音は止み空へと舞い上がる。
「おい、ちゃんとついてきてるか」
渡辺 「ついてきてますよ」
機体はグングンと上昇する。
今回の任務は米空母から発艦した
F6F戦闘機4機の迎撃である
進藤 「敵さんも我々がいたんじゃ
思うようには動けんでしょう」
「ハハッハハハ油断は禁物だぞ
進藤 一飛曹 」
「そろそろ戦闘空域にはいるな
各員油断するなよ 」
左下方に敵機が見えると俺は機体をバンクさせ
部下に知らせると操縦捍を左前に倒し
足元にあるペダル、方向舵を踏み敵に向かって
突撃する。この20ミリ4門がついている
紫電改(N1K2-J)の機銃をぶっ放せば
たいていの敵はぶっ飛ぶ。
「敵一機を撃墜!」
俺の部下達も一機を撃墜する。
残りのF6Fグラマンは攻撃をさけ後ろに
まわりこもうとするが、
長年修羅場をくぐり抜けてきた俺は
そう簡単には落ちない自信はある
機体を左に滑らせ弾をかわしていく
そして、一挙に機体を捻らせ機体をを敵の後ろに
つけ機銃を放つ。そうして敵をまた一機撃墜する。
「おい!お前ら生きてるか?」
渡辺「こんなとこでくたばっていられませんよ」
進藤「そうですよ。伊達に生き続けていませんよ」
「早くくたばっちまえ」
渡邉 「酷くないすか?ハハッハ 」
「まぁいい帰投するぞ」
その時だった…
渡邉 「うっ…」グオオオォォオ
渡邉一等飛行兵の機体は急に炎につつまれ
陸地に撃墜していった
「渡邉ーーー」
進藤 「くそっ!」
進藤機は機体を滑らせ一撃を回避し今度は
敵編隊へ突っ込もうとする。
奇襲だった雲と雲の間から太陽を背に
9機のP51ムスタングが突っ込んできた。
「おい!無理だ進藤このままだと
俺らもやられる。撤退するぞ」
俺たちは二機しかいない多勢に無勢。
勝ち目なんてほとんどない。
グオオオン ?
上を見上げるとなんとそこにはB25爆撃機が
無数に飛んでいた
「おい!進藤聞いてるのか!」
進藤 「渡邉を見捨てろというんですか
俺はあいつの仇をとります」
「無理だ数をみろ!」
「お前が生き残れば
救える命ももっとあるはずだ
今は耐えろ」
進藤「今やらなきゃあいつら……下にいる
人たちまで死にますよ」
「 …… …」
進藤「じゃあ俺は行きます」
「進藤ーーーーー!」
俺は追うことはできなかった…
そして数分後火につつまれた一機の機体は
陸地に激突していった。なぜだか、あいつは、
その時、笑顔で俺に敬礼をしていった。
俺は申し訳なさと何もできなかった後悔で
潰されそうになっていった。
結局その日は民間人にも多数の死傷者が発生し
多くの家が全壊した。
仲間内からは冷たい目線もあったが、
あの場にいなかった自分を悔いている奴の方が
多かった
夜ーー
「くそっ!」ドン!
俺は机を叩いた
分隊長「おい菅井お前の気持ちは
わかるがあれは俺でも無理だ
お前の判断は正しいとは一概には
言えんが間違えではない」
俺は分隊長の胸ぐらをつかんだ。
「俺があいつらを殺したんですよ
あそこにいなかったあなたに
何がわかるんですか」
「あっ……すいません……。」
「いやいい…俺こそすまん。」
そうして長い一日は終わった。