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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第3章 終わった機械と刻む歯車
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88 見慣れた襲撃者と黒い襲撃


「よし、全員眠ったみたいだな。お前ら、入るぞ。」


その場にいたものが動かなくなったことを確認して店の中に入ってくる影がある。

足音から判断するに3人ほどが静かになった店の中に入ってきていた。


ぞろぞろと入ってきて、そいつらは何かを探すかのように動き回っている。


「こっちにはありません。たぶん奥の部屋にいるんでしょう。」

当然というべきか、こいつらの狙いはシュラウド―――というか、魔石を武器に入れることができる存在だ。

倒れている俺たちを無視するようにその者たちは店の奥に踏み入ろうとする。


そいつらはそのまま倒れている俺の隣を通り抜け、奥にいるシュラウドのことを探し始める。



「よし、完全に入ったな!!」

その瞬間に、俺は体を勢いよく引き起こしそいつらに対して後ろから強襲をかけた。


「なっ!!?ぉが、」

俺は相手に反応されるより先にその後頭部に強撃を加えることに成功する。

脳を揺らされたそいつは抵抗することはできず、その場に倒れ伏した。


「っち、おい!!1人眠っていない奴がいる!!」

後ろから2番目にいた男が、先頭にいた男に注意を呼び掛ける。

そしてその声を聴き、2人とも俺のほうを向きなおった。


「くそ!!なんでこいつは眠ってねえんだよ!!あれは不良品だったのか?」


「いや、ほかのやつらは眠っているんだ。そんなはずはねえ。」

俺が眠りについていないことが不思議でたまらない、そう言った様子で俺のほうを見てくる。


「やっぱりさ、人は自分のポテンシャルが存分に発揮できないことに一番苛立ちを覚えると俺は思うんだよ。」

俺が眠らなかった理由は至極単純なことである。

スキルポイントを大量に使って状態異常無効化のスキルをとっておいたからだ。


先ほど吐き捨てるように言ったセリフでもあるが、俺は状態異常で思うように動けないのが嫌いなのだ。

毒で継続ダメージを受けるのはまだいいが麻痺で一歩も動けなくなるとか本当にだめなのだ。


その為いつかは状態異常耐性のスキルはとっておこうとは思っていた。

それがたまたま今回だっただけだ。

というか・・・・・・おいリリス、お前神官職のくせに真っ先に状態異常にかかるってどういうことだよ!!?


つくづく神官職らしくないとは思うが、今までもそんなそぶりは一度も見せたことはないのでこれはこれでいいのかもしれないな。





俺は困惑から立ち直られる前にもう一人仕留めるべく前にでる。


この店はそこまでの広さはなく、敵がいるのは通路のためそもそも連携なんてできるわけがないのだが、それでも2対1という状況はそれほどいいものとは思えない。


ここは最低限、同数にしておくべきなのだ。


「こいつ!!抵抗するつもりか!?」


「さっきは不覚を取られたから1人やられたが、気を付けさえしてればショップ店員ごときにやられる俺たちじゃねえんだよ!!」

男たちは即座に俺の攻撃に対応仕様とする―――――が、俺をショップ店員ごときとでも思っているのだろう。

その動きは鈍い。


俺はまだ油断しきっているうちにもう一人仕留めることに成功する。

あと1人、ここまでくれば後はこいつを倒してふんじばってしまうだけだ。


「油断しなければ・・・?なんだっけか?」

新たに倒れた男を差しながら俺は挑発するようなセリフを口にする。

少しでも激昂してくれればそれだけ動きが単調になり、戦いやすくなるからだ。


「手前!!覚悟は・・・・って、あああ!!お前は!!」

俺の誘導通りそいつは怒り狂う―――かと思いきや、俺のほうを指さしながら何かに気づいた様子を見せる。


「手前はこの前の!!」

そんなことを言って怯えたような様子を見せてはいるが、俺としてはこんなやつに覚えはない――――覚えはない?


いや、よく見ればどこかで見たような記憶があるな。


こいつは確か――――――


「ああ、食べ物粗末野郎か。」

そうだ。イアカムの料理を床にぶちまけて足蹴にしていた奴だ。

だがそいつがなぜここに?


そういえば、イアカムが聞いた話によるとこいつはこの前別の店から雇われてあんな行動をとったんだっけか?


「それで今回はここにきているということは・・・・お前って結構暇なのな。」


「暇ではない!俺はこうして仕事としてここにきてるんだ!!ということでお前を倒させてもらうぞ!!」

男はナイフを右手に握り締め走ってくる。

ふむ、こういった狭いところでは俺の持っている剣よりああいったナイフのほうが実用性が高いからな。


俺もこれが終わったらサブウェポンとして何かああいうものを持ち歩くのもいいかもしれない。


俺は迫りくるナイフを少し大きめに横にそれることでかわす。

動きが直線的なのだ。その動きを見切るのは簡単だ。


俺は勢い余っている男に向けて軽く足を出す。


男はその勢いのまま前に進み、そして俺の足に引っかかりその場に転んだ。

顔から床にたたきつけられていてとても痛そうだ。


「くそっ!!ショップ店員の分際で、、生意気だぞ!!」

鼻を抑えながら立ち上がり不満を叫ぶ男。

その認識は間違っているのだが、ご丁寧に訂正してあげる必要もないだろう。


「そうだな。生意気ついでにちょっとそのショップ店員に気絶させられて縛られてもらえると助かる。」


「誰がっ――――、」

抵抗しようとはしたが、何の問題もない。

こいつは弱すぎるのだ。


憶測でしかないが、ハイスケルトンといい勝負程度の能力しか持ち合わせていないようにも思える。

そんな相手を気絶させるのは俺にとっては訳ないことだった。


最後の一人も制圧することに成功した。

そうなったら事後処理だ。


まずはこの3人を逃げられないように縛り上げる。

別にこいつらは雇われの身でありそうなのでこうやって縛り上げたとしても大した効果は得られないとは思うのだが、一応は犯罪を犯しているわけなので拘束はしておく。


まぁ、この世界にこうやって店を襲ったら犯罪というルールがあるのかはわからないが・・・・・



「よし、襲撃者も無事撃退、拘束するのもこれで終わったし後は―――「後は貴様を倒して奥にいる奴共々、連れて帰るだけだな。」」



――――――!!?


「誰だ!!?」

俺はとっさに剣を引き抜き、それを後ろに向かって振る―――がしかし、そこには何もいない。

確かに先ほどの声は耳元で聞こえていた。


だから後ろにいないとなれば・・・


「上か!!?」

この店は基本的に隠れるところは用意していない。

その為見渡していないとなると人間の絶対的死角である真上にいる可能性がある。


俺は自分の要る真上を見る。


「ん?早かったな、感心したぞ。」

そいつは俺の予想通り、天井に張り付いていた。

黒い装束を身に纏って天井に体を張り付けるその姿は暗殺者のような風貌だ。


そいつは俺に見つかったというのに余裕の表情を崩さない。

見つかったことなど、何も問題としていないのだろう。


「お前も雇われてこの店を襲いに来た口か?」


「ああ、雇い主は貴様なら言わずともわかっているだろう?なにせ俺たちがここに今日来ることを知っていたのだからな。」

っち、気取られないように誰にも話さず自分一人で最低限の備えだけをしていたつもりなのだが、こいつはいつからか俺を見ていたのだろう。

俺がこの襲撃に対する準備が終わっていることに気が付いている。


「そうかい、ならお前もこれを知ってるんだろう!!?」


俺はそう言って店のカウンターの下から1つのボールを取り出しそれを天井に向かって投げつけた。


「ああ、当然、知っているさ。敵拠点を落とすとき、一番大切になるのはその拠点の戦力を正確に知ることだからな。」

男はそれをよけるなんてことはせずに、正確に、優しく受け止めるようにキャッチした。


俺が投げたのは催眠効果を付与する粉末が入った玉、それも強い衝撃でそれが爆散するようになっているものだ。

耐性を獲得したのだからそれを活かすためにと作っておいたものだったのだが、防がれてしまった。

先ほどの対応を見るに、それを知っているというのは本当のことなのだろう。


「っち、これは通用しないか。ならば・・・・」


俺は今度は別に玉を取り出し自分の足元の床に叩きつけた。

それは床と衝突すると同時にあたりに粉を散布する。


これは睡眠状態を解除する回復アイテムだ。


本当はすべてが終わってから使うつもりだったのだが、今使ったほうがいいだろう。

なにせ俺の勘が目の前の男は危険だと告げているのだ。


「・・・ん、、」

よし!


俺の使ったアイテムは即効性は抜群みたいだ。

ノアなんかはすぐにでも目を覚ますだろう。


「どうせならそれは先に使うべきだったな。」

余裕をかました声が俺の頭上から聞こえてくる。


そしてその直後、爆発するような音ともに当たりに粉が散布される。


何を―――!?

そう思って俺はいまだ天井に張り付いている男を見る。


すると先ほど彼がキャッチした睡眠玉がなくなっていた。

いや、見てみると彼の真下にその残骸が残っている。


「っち、慎重になったのが裏目に出たのか!!?」

吐き捨てるようにそう言って俺は剣を握り締める。

この部屋の天井は高くない。この位置からでも十分攻撃は届く。


俺はそいつをまず天井から引きずり落そうと攻撃を仕掛ける。



「ふむ、ではそろそろこちらも仕事を終えさせてもらうぞ。」

その時、そんな言葉が俺の耳に届き、俺の意識はそこで途切れた。






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