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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第3章 終わった機械と刻む歯車
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82 シュラウドの頑張りと不思議なこと

一通り工場周りの敵は一掃して俺たちは街に戻った。


依頼としては全体の9割以上を倒した時点で目標達成となるため、あのゴブリンを1匹見逃したところで大した問題はないみたいだ。

ちなみに、肝心のゴブリンのほうは工場に置いてきた。


あんなパット見ただけで魔物と判断できるようなやつを連れ歩くのはさすがに不可能だったからだ。


1匹にしたら逃げてしまうのでは?と思ったりもするだろうが、そこについてはリリスがスライムを監視役としてくっつけておいてくれたので大丈夫らしい。


俺たちは依頼の報告を終えてシュラウドの待っているであろう店に戻ることにした。






そこには多くの人だかりができていた。

「———ってなんだあの人だかり・・・何かあったのか?」


「うーん、あそこって確かボク達の店がある場所だよね?・・・あ!!まさかシュラウドに何かあったのかも!!」

それだったら問題だな。

急いだほうがいいかもしれない。


俺はできている人だかりを避けるようにして店の裏に回る。


正直人が多くてあれを押しのけるのは無理だと思ったので裏口から中に入るのだ。


「シュラウド!!?何があった!!?」

俺は急いでシュラウドのもとへ向かう。

彼は生産能力は高いが、戦闘技能が皆無だ。

もし何か問題があった場合、彼だけでは処理することができないと思ったからだ。


「あ、タクミ様、お帰りなさい。」

しかし俺の心配もよそに、彼は何もないような顔でこちらに笑みを見せてくれた。

そしてその手には一本の剣とお金の入っているであろう袋が握られている。


「あ、こちら商品になります。」


「おう!ありがとな!」

シュラウドはその剣を目の前にいる男に渡すと、そのまま次の客を処理し始めた。



「えーっと、、?これは?」

どういうことだろうか?

どうしてこの店にこんなに客が来ているのかがまったくもって理解できない。


この店は今日、オープンしたばっかりのはずだし、その情報をどこかに出回らせたわけでもない。

完全に謎な現象が俺の目の前で起こっていた。

それに今みんなが買って行っている武器だってどこから出てきたものかがわからない。


俺がここを出る前にシュラウドに預けたものは確か今まで大量にため込んできた素材類だけだったはずだ。


「あ、この武器ですか?これは近くの武器屋で購入したものを強化して売りさばいているんですよ。ついでに宣伝もやっておきました。」


疑問が顔にでも出ていたのだろう。

シュラウドが何をしたのかを簡潔に教えてくれる。


なるほど、よく見てみるとみんなが買っていっている武器は武器屋でも安めに手に入るものばかりだ。

特に俺が愛用している木の武具シリーズが結構多いようにも見える。


「ちなみに、これ1ついくらで売っているんだ?」


「木製のものは一律で4000G、石製のものは5000Gで売っています。」

ふむ、もともと木の武具は300Gのため、一見ぼったくりのように見えなくもないが、性能のことを考えるとむしろこれでも安すぎるような気がするな。


というかあれみたいだな。


某有名RPGの隣の店から武器を仕入れて売りさばく奴・・・・


「でも魔石のことも考えるとそれだと安すぎないか?ちゃんと利益は出てるのか?」


先ほどちらっとアイテム詳細を見させてもらったのだが、魔石は10個フル投入だった。

いくら大量に余っているといっても、このペースで使い続ければすぐになくなってしまうだろう。


「そのことなら、冒険者の方々は魔石の使い道に困っていたみたいなので、提供してくださった方にサービスするという形で、いただいたものはここに貯蔵しています。」

そう言ってシュラウドはカウンターの下から大量の魔石の入った箱を俺に見せてくる。

その数は俺たちが出発する前より多いようにも見える。


はー、魔石の供給も十分ということだな。


「ちなみにサービスっていうのは?」


「持っている武器を強化する費用を少しだけ安くしたりですね。ちなみに武器の強化は魔石1つ入れるにつき1000Gもらっています。魔石を余分に収めてくださったお客様には10個につき支払いの1割引きするようにしています。」


まだ初日だというのに、色々考えているんだな。

俺としては暇つぶし程度にしてもらえればよかったのだが・・・・



「あ、そうだ。1人で接客も大変だろう。俺も手伝うよ。」

確か初めに練習として自分用の服も作っていたはずだし、問題なくできるだろう。


「よろしいのですか?お疲れになられているのでは?」


「いや、最後は多少楽をしたからまだ結構余裕があるんだ。遠慮するなって。」

工場の外に残っていたアンデッドは工場の上から聖水を散布することで一掃したからあまり疲れたとかはない。


どっちかで言うとここに来るまでに歩いた方が疲れたくらいだ。


「あ!お店屋さんごっこ!!?ボクもやりたい!!」

ノアが店の奥から手を上げてそういうのが聞こえる。

ごっこというよりガチ物の店なんだけど・・・・あんまり言っても仕方ないよな。


「これは私も手伝ったほうがいいわね。少し待っててね、すぐに着替えてくるわ。」

どうやらリリスまで手伝ってくれるらしい。


「じゃあ接客は女性陣に任せて俺はその他の―――武器の補充とかをやっていくよ。」

日本にいたころは基本的に家の中にいた俺に接客業が務まるとも思えないしな。



その日は暗くなり、そろそろ宿の食堂が閉まりそうな時間帯まで、俺たちの店は開いていた。

流石に夕方を超えたあたりから客足はまばらにはなってきていたが、開店一日目の成果としては大成功もいいところだろう。



「それにしても、あそこまで繁盛した一番の要因って何だったんだろうな?」


「値段ではないのですか?同じ性能の武器を買おうと思えば、数倍はどころの話じゃありませんし。」


「それもあるとは思うんだけど、それだけじゃないと思うんだけどなぁ。」

いくらいいものであってもそれが知られていなければ買う人間がいるはずがない。

それに、ああも人が集まるのはある意味不自然なんだよなぁ。


「ちなみにだけど、シュラウド、あなた宣伝って何をやったのかしら?」

可能性としてはここで何かをやったと考えたリリスが先ほど言っていた宣伝の内容を聞いている。


「いくつか無料で提供したくらいですね。冒険者ギルドで声が大きそうな人数人に配ってみました。」


なるほど、宣伝自体は冒険者同士のつながりを利用したわけだな。

だが、それだけであそこまで人が集まるか?



う~ん、何が原因かよくわからないな。


そんなことを悩みながら、俺たちは宿に戻るべく歩いていたのだった。

きりが悪かったので今回は短いですがここでいったん終わりにします。

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