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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第3章 終わった機械と刻む歯車
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77 今回の報酬と目的


「そういえば、今日はどうしてドラゴン狩りだったの?別に他にいい依頼あったと思うんだけど・・・」


アースドラゴンが落とした魔石とドロップアイテムである爪と牙を拾いながらノアがそう聞いてくる。


「え?やっぱりドラゴンを放置すると誰かが困りそうだったからな。ここは1つ人助けの気持ちもかねて・・・」


「嘘だよね?」

その質問を適当に流そうとしたが、ノアが先回りするように言葉を発する。

凄く胡散臭いものを見るような目で俺のほうを向くノア。


彼女は俺の言葉が嘘であると確信しているようだ。


「え・・・いや、ね?報酬がね」

俺はそんなノアに気圧され、今回ドラゴンを狩りに来た理由を口にしてしまう。

そう、今回のドラゴン狩り、報酬が結構よかったのだ。


それはもう、今までコツコツためてきたのが馬鹿になるくらいに・・・

そして相手は飛ばないドラゴン、これはもう狩るしかないだろう?


「やっぱり!!タクミは人のために働くとか絶対しそうにないもんね!!」

おい、それはどういうことだよ・・・

そう突っ込みたくなるがよく考えてみれば間違いというわけではないので言い返す言葉が見当たらない。


「で?いくらだったの?タクミが進んでうけるくらいだから結構よかったのでしょ?」

今回の報酬額がいくらになるのか、それを知りたいのだろう。


「2000万G」


それが今回の報酬額だ。


「え!!?2000万!!?今回の仕事ってそんなにもらえるの!!?」

それを聞いたノアが目を丸くして驚いている。

それもそうだろう。

今までなんて10万Gをこえたくらいで喜んでいたのだ。


それを2桁も超えているのだ。

驚かないはずがない。


「そう聞いても、どうにも実感がわかないわよね?それほどの仕事をした感じはしないというか・・・」

リリスは今回の仕事にあまり充実感を得ていないようだ。

おそらく、先ほどの戦闘が味気ないものだったのが原因だろう。


だがそれは仕方ない。


攻撃性に特化したような俺たちが一方的に攻撃してなお削り切るのに時間がかかった相手だ。

普通に戦ったら負けてしまう可能性のほうが高い。


そんなリスク、何でもないような戦闘で背負うべきではないのだ。


多少戦闘が楽しくなくなっても安全なほうを選ぶ。それが俺の方針だ。


「でも今そんなにお金に困ってないけど何か欲しいものでもできたの?」


「ああ、それについてはまた今度のお楽しみだな。」

今言ってしまっても味気ないだろう。

これを隠したかったから先ほどのノアの質問に嘘をついたのだ。

言ってしまってはその意味がなくなる。


「えー、教えてくれたっていいじゃん!!」


「まあまあ、1週間もしないうちにわかるからそれまで楽しみにしてな?」


「むー、1週間後には絶対教えるんだよ?」


「分かってるって。」

俺たちはそんな会話をしながらアイテムの回収を終える。


アースドラゴンのドロップ品は通常の魔物を倒した時に比べてかなり多く。

多くの爪や牙が手に入った。

それに魔石も一回り大きなものが俺の手の中に納まっている。


アイテムの回収を終えた俺たちは遠くに待機しているリアーゼとシュラウドのもとへと向かう。


2人は俺たちが言った通り、元の位置から全く動かず待機をしていた。

ずいぶん前に戦闘が終わったのだから別に近づいてきてもよかったのだが、2人は俺たちの指示のほうを優先したみたいだ。


「待たせてしまったみたいだな。」


「いえ、問題ありません。」


「みんなお疲れ~。」

そうして待っていた2人に声をかけると各々が俺たちにねぎらいの言葉を投げかけてくれる。


そしてリアーゼは俺たちが抱えているドラゴンから手に入ったアイテムを残さず回収して、背負っている大きなカバンの中に詰めていった。

ドラゴンの素材なんかはかなりの大きさだったのだが、それらは綺麗に収まっていく。


そういうアイテムなのか、それともリアーゼの収納がうまいのかは不明だが、何とも不思議な光景だった。


「じゃあ今日はもう帰るんだよね!!?」

リアーゼがすべてのアイテムをしまい終えた時、ノアがすべてをやり切ったような顔でそう言った。


彼女はリリスと違って今回の戦闘に対する不満はほとんどないようだ。

あれかな?


MPをほぼすべて使い尽くしたから今日はもう満足したのかな?


「そうだな。俺もやりたいことがあるし依頼の達成報告もしなくちゃいけない。少し早い気もするが今日はもう帰ろう。」

俺たちはみな足をそろえて街に戻る。




そしてそのまま以来の報告のために冒険者ギルドに向かった。


「では、これが報酬の2000万Gでございます。ご確認を、」

受付の人が俺に向かって札束を手渡してくる。


1枚1枚が10万Gの価値がある札束が200枚で2000万だ。

聞いてみたところ10万Gより大きい紙幣はないらしい。


ということはこの世界では10万G=1万円くらいに考えてもいいのかもしれない。

一円が10Gということだな。

それを考えるとこの世界の物価はそこまで高くないのではないかとも思ってしまう。


前の街では3000Gが1泊の宿代で高いと思ったのだが、300円で1泊できると考えるとむしろ安いようにも思える。



・・・・にしても、1Gの価値は日本円にして10分の1


――――どこの地下帝国の通貨だ!!!


とも思いはしたのだが、それはおそらく関係のないことなのだろうな。


「ほら、みんな今回の報酬分だぞ。」


俺は2000万Gを5等分した400万Gをそれぞれの手の上に置いていく。


「えっと、何もやっていないのにこんなに貰ってよろしいのでしょうか?」

何気に始めて俺たちと依頼を達成したシュラウドが戸惑ったように聞いてくる。


そして俺がそれにこたえるよりも早く、

「そうだよね。私もいつもそれは思ってるんだけど・・・・タクミお兄ちゃんは頑なに譲らないんだよ。」

リアーゼも申し訳なさそうな様子でそう言った。

おそらく、彼女は自分の同じ境遇、とでも思っているのだろう。


「そんなこと気にするなって。それに何もしていないわけじゃないだろう?武器強化も荷物持ちも俺にとっては等しく重要な役割なんだぞ。」


「そうおっしゃっていただけるなら助かります。」

俺の言葉にシュラウドがゆっくりと頷く。

リアーゼはどこか腑に落ちないような顔をしているが、文句を言ってくるようなことはなさそうだ。



「そんなことよりみんな!!今からどこかに買い物にでも行かないかな!!?」

俺たちの会話を度外視したようにノアがハイテンションでそう誘ってくる。


その手には先ほど渡したお金が握られていた。

大金を手に入れたので買い物にいきたい!!そんな素直な感情を表しノアははしゃいでいる。


「私としては今日はもう休んだほうがいいんじゃないかと思うよ?あっさり倒せちゃったけど一応、ドラゴンが相手だったんだから・・・」

そんなノアに対してリアーゼが反対意見を提示する。

今日は相手が強敵だったから早く休んだほうがいいのではないかとのことだ。


だが俺からしたら若干作業に近いものを感じていたため、あれが強敵だったなんて思っていない。

どっちかで言えばクリフォトの樹のダンジョンの第三階層に出てくる敵のほうが明確な弱点が少ない分倒しにくいようにも思えた。


「あー、俺はノアの意見に賛成・・・というかこれから買いに行きたいものがあるんだ。だから俺も買い物に行ってくる。」


ということで俺もノアに便乗する。


別に彼女が言い出さなくても勝手に行くつもりであったが、一応味方をつけて止められにくくしておいたほうがいいと思ってのことだ。


「あら?それはさっき言っていたものを買いに行くのかしら?私も一緒に行っても?」

察しのいいリリスは先ほど俺が秘密といっていたものを買いに行くことが分かっているみたいだ。


同行許可をもらおうとしてくる。


「さっきも言ったがこれはサプライズだからな。買うところを見られたら意味がないだろう?」


サプライズをするということを言ってしまっている時点でもうすでに負けているような気がするのだが、それについては触れないでいただければ助かるところではある。


「そう、それは残念ね。じゃあ私は一足先に宿に戻っていようかしら。おなかもすいているしおやつでも食べて待ってるわよ。」


「では、ご一緒します。」


「私も宿に帰ってるね。特に買いたい物はないしこんな大金もって歩くのは怖いからね。」


リリス、シュラウド、リアーゼの3名はそろって宿に戻るみたいだ。

ということでこのまま活動を続けるのは俺とノアだけだ。


それも俺は1人で行動するのが決定しているためノアは結局一人で出歩くことになる。


「ノア、1人で大丈夫か?またどっかに行ってしまったりしないだろうな?」


「もう!ボクは同じ失敗を2度しないんだよ!!」

彼女はそんな言葉を残して小走りにギルドを出ていってしまう。


「じゃあ、私たちは先に戻ってるけど、タクミもちゃんと帰ってくるのよ?」


「ああ、わかってるって。じゃあまたあとでな。」


そして俺も宿に戻る予定の3人に手を振りながらギルドの外に駆け出して行った。





今日はもう1話いけそうな予感が・・・

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