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ゲーム攻略者とゲームの世界  作者: Fis
第3章 終わった機械と刻む歯車
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65 新たな拠点と動き続ける歯車




ある科学者によって、その機械は作られた。


ものを作り出す機械として生み出されたそれは、来る日も来る日も魔物と戦う兵器を生み出し続けた。

それが自分が作り出された意味であり、それが自分の役割だあったため、彼はその行動に疑問を持つことはなかった。


作って―――作って―――――作り続けて――――


そして―――――――――、壊れた。


当たり前だ。

作られてから、一度も整備されずに動かし続けて、壊れないはずもない。


当たり前の結末だった。


兵器を生み出し続けたその機械は、その時、彼を作り出した科学者本人に見限られた。

彼は森の奥に投棄された。


壊れた体が投げ捨てられ、木にたたきつけられてそこで止まる。


彼の胸の中では、カチ、カチ、という歯車の音が鳴り響いていた。






「ふぅ、」

額を伝わる汗をぬぐう。


あと少し、あと半日ほど歩けば目的地に着く。

それまでの辛抱だ。


「あの?タクミ、疲れたらかわるから早めに行ってよね。」

心配したようにリリスが話しかけてくる。


「ああ、気遣いありがとう。でももう少しだから大丈夫だ。」

リアーゼから受け取った鞄の中身を確認してみたところ、判明した壊れた機械。

これが一番重いのだ。


というか、この鞄の重量のほとんどがあの機械の残骸だ。


途中でおいてくることも考えたが、リアーゼが必死に運んだものをぞんざいに扱うことは俺にはできなかった。

というか、持って帰れば何かありそうだから持って帰ることにした。

せっかく持ってきてくれたんだ。


最後まで運んでやるとしよう。

それに確かにこれは重いがもって歩けないほどじゃない。


俺の力のステータスが高いおかげか、ちょっと多めに教科書を入れた鞄程度の重さしか感じない。

少し疲れはするが、持っていけないこともない。


「そう?でも疲れたらちゃんと遠慮せずに言うのよ?いつでも代わってあげるからね?」


「ああ、本当に疲れたらそうさせてもらうよ。」

そう言いはしたが俺はそのまま次の街へ到着する間、その鞄を一人で運び続けた。



そして半日後、予定通り街につくことに成功した。

大体午後三時くらいか?


「やっと着いたね!!森を抜けてから魔物とか出なかったからボク、ずっと退屈だったんだー!!」


新たな地にテンションを上げるノア。

今到着したばかりだというのに元気な奴だ。


見ているだけで疲れそうだ。


今はまだ太陽が昇っているがすぐにでも日が傾きそうだ。

今のうちに寝床の確保はしておかなければならない。


それに、リアーゼが結構疲弊しているためこのまま街の探索に繰り出すのは無理だと判断する。


「何はともあれまずは宿だな。俺たちの中にこの街に詳しい奴はいないから、早めに探し出さないと見つけられない可能性すらある。」


「それもそうね。明日からはずっとこの街にいるのでしょうし、今急いでも仕方ないわ。」


「むぅ~!ちょっとくらい街を見て回ってもいいじゃない。」


「それは宿を探しながらおいおいな。」




今日の宿をとるため、俺たちは街の中をのそのそと歩く。


俺の経験的には宿は人通りの多い中央――――から少し離れた位置にありそうだと思ったので、そこら辺を重点的に探す。


そして探し始めて30分程度で、目的である宿屋を見つけることができた。

こんなに簡単に見つけることができたのだから他にもあるのかもしれないが、今の俺たちには目的のものが目の前にあるのに別のものを探す余裕はほとんどない。


いや、若干一名まだまだ余裕そうなやつがいるが、それは考えないほうがいいだろう。


というか、体力のステータスは俺のほうが多いはずなのに、この差は何なんだろうな?

俺たちは迷わずに見つけた宿の中に入る。



「へい、いらっしゃい!!」


宿の玄関に入ると同時に、カウンターの奥から男性の声が聞こえてくる。

見てみると筋肉質のナイスガイが受付と思しき場所に座っていた。


「あの、部屋をとりたいんですが、いくらになりますか?」


「それなら朝食と夕食付きで一泊3500Gだぜ。どうする?」

お、結構安いな。


前いた街なんて食事すらついていなかったのに一泊3000G持ってかれたからな。

500Gで食事つきになったと思えば結構安いように感じる。


「そうですね。とりあえず3部屋でひと月分お願いできますか?」


どのくらいの期間いるかはわからないし、いつかは自分の家も持ちたいと思っているが、とりあえず一月はここにいるだろう。

そう思った俺はそう頼んでみる。


「ああ、すまねえが今は二部屋しか空いてないんだ。それでもいいっていうんなら少しだけおまけしてやるが、どうする?」


「そうですかー・・・・どうする?」


ノアとリアーゼは同じ部屋に泊まるとして・・・・・リリスが残っている部屋に泊まるだろう?

そうすると俺はどうする?


一応そのことを仲間に聞いてみる。


「私はリアーゼちゃんと一緒に寝るからまず一部屋だね!!」


「じゃあ私はタクミと一緒の部屋に泊まるわね。」


そうなるよなぁ・・・

異性と同じ部屋に泊まるっていうのは結構気を使いそうなものではあるが、俺たちの場合もうそこそこの期間一緒の部屋で過ごしているし、それが自然だろう。


「二部屋で大丈夫みたいです。えっと、いくらになります?」


「ちょっと待ってな。・・・・・・・っと、通常なら210、000Gのところを今回は190、000Gでいいぞ。」

ふむ、約一割引きか。

ひと月分ともなれば結構な差異が生まれるだろうが、それでいいといってくれた。


「ありがとうございます。では、これでお願いします。」

俺は財布から10、000G紙幣を19枚手渡す。


「17・・・18・・・19!!よし確かに受け取ったぜ。ちょっと帳簿とかつけないといけないから、名前をここに書いてもらえるか?」


料金がちゃんと支払われたことを確認した彼は俺のほうに帳簿と羽ペンを渡してくる。

俺は言われた場所に自分の名前を記入し、そしてそのまま返した。


「えっと、?アマカワ タクミさんだな?よし、これが部屋の鍵だ。お前たちの部屋は二階に上がって突き当りにある二つだ。」

帳簿と交換するように彼は部屋の鍵を二つ俺に渡してくる。

俺はそれを受け取り片方をノアに渡した。


「ほれ、ノア、わかっていると思うがなくすなよ。」


「なくさないよ!!タクミはボクのことを何だと思っているのさ!!というか、タクミこそなくさないでよ!?」


「はいはい、じゃあ、二階に上がって突き当りだったな。」


俺はリリスを、ノアはリアーゼを後ろに率いて言われた部屋の鍵を開ける。

鍵には番号が振り当ててあり、扉の横にはそれに対応した番号が記されていた。


俺は自分の手の中にある鍵の番号204号室の扉の鍵を開け、そのまま中に入る。



部屋の中はやはりというか、何も変哲のない部屋だった。

今まで泊ってきた宿と、ほとんど変わらないといっても差し支えないだろう。


そしてここは元々二人で泊ることを想定しているのか、ちゃんとベッドが二つ置いてあった。

それについては本当に良かったと思っている。


多分だけど、リリスの場合は俺が床に寝るって言っても無理やりにでもベッドに引き上げようとしてくるだろうから、そこだけが心配だった。



「あ、そういえば、リアーゼに鞄を返すのを忘れていたな。」


もうすでに鞄の重みに慣れてしまっていたため、自分がそれをかるっていることに違和感を覚えていなかった。

その為、部屋に入る際にリアーゼにこれを返すのを忘れていた。



・・・・・・これ、このまま返したらずっと持ち歩きそうだよな。


そう思った俺は、鞄の中で一番重量がある、壊れた機械人形だけを取り出し、部屋の壁に立てかけるように置いた。

こうしておけば、再びこの鞄を背負ったリアーゼの体力を悪戯に消費することはなさそうだ。


俺は軽くなった鞄をもって隣の部屋の扉を開いた。


「リアーゼ、これ返しておくな。」


2人は部屋の中を確認している最中だったため、俺は彼女たちの邪魔をしないようにそれだけ言って鞄を部屋の隅においてそのまま部屋に戻る。



「あ、タクミ、早かったわね。」

部屋に戻った時、ベッドに腰を掛けていたリリスがそう話しかけてきた。


「まあ、あっちはあっちで楽しそうにしてるから邪魔しちゃ悪いと思ってな。」


「思ったのだけれど、あの二人妙に仲がいいわよね?別に本当の姉妹ってわけじゃないんでしょう?」


「気づいてたのか・・・・」


「そりゃあ、2人は種族から違うしね。」


「まあ、そうだな。そしてどうして仲がいいのかっていうことは俺にもよくわからない。」


いつからあんなに仲良くなったのだろうか?

多分境目はリアーゼがパーティに加入して少ししてからだったと思うけど、その時よりも仲が良くなった気はする。


「まあ、考えても答えが出ないことだろうし仲がいいんならそれはそれでいいんじゃないか?」


どうせ考えても無駄なことだ。

例えわかったとしてもそれがどうなの?っていう話なので、俺はそこで施行を放棄してベッドの上にあおむけで倒れる。


「そうね・・・どうしてあんなに仲がいいのかわかれば、私ももっとあなたたちに溶け込めると思ったのだけれど・・・それは無理みたいね。」


少し残念そうにリリスはそう言った。


「別に気にすることはないと思うぞ?それに、俺はリリスが浮いているなんて微塵も思っていないしな。」


「そう、、ありがとうね。」


「そして俺は疲れたのでこのまま少しだけ休みます。リリスも長旅で疲れているだろうし、ゆっくりするといいよ。」


俺はそう言ったとすぐに全身の力を抜いて布団と同化した。






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